2013年12月8日日曜日

国民が簡単に忘れることはない 

  特定秘密保護法の強行成立に対し、7日の各紙の社説は一斉に、民主主義・民主社会にもとるもの、憲法を踏みにじるもの、民意無視の国会運営、権力の暴走、おごり極まる強権ぶりなどと非難しました。その表題は下記の通りです。
 
  秘密保護法が成立 民主主義を取り戻せ          東京新聞  
  特定秘密保護法成立 民主主義を後退させぬ       毎日新聞  
  秘密保護法成立 憲法を骨抜きにする愚挙         朝日新聞
  知る権利 揺るがす秘密保護法成立を憂う          日経新聞
  国民の知る権利、報道の自由の危機             八重山毎日新聞
  成立強行 許されぬ権力の暴走 解散し国民の審判仰げ  琉球新報
  特定秘密保護法成立 おごり極まる強権ぶり         沖縄タイムス
  秘密保護法成立へ 官僚の情報支配が進む         佐賀新聞
  秘密保護法 成立 今後を厳しく監視する           高知新聞
  秘密保護法成立 民意無視の国会運営許し難い      愛媛新聞
  秘密保護法成立 懸念置き去りの危うい動き         神戸新聞
  秘密保護法成立  国民の 「知る権利」 手放せぬ      京都新聞
  秘密保護法 強行成立 知る権利の扉どう開くのか     福井新聞
  秘密保護法 力ずくの成立 民主社会を守るために     信濃毎日新聞
  秘密保護法の成立 任務放棄の国会は不要         神奈川新聞
  秘密保護法成立 憲法を踏みにじる暴挙だ          北海道新聞
 
 6日には日比谷野外音楽堂に15,000人が集まりましたが、各紙の見出しをみると全国の各地にも燎原の火のごとくに保護法反対の抗議行動が広がりました。国会前のデモ行動は深夜にまで及んだということです。
 これだけ反対する国民がいるのに、またパブリックコメントでは圧倒的多数が反対したのに、そして公聴会でも全員が反対し、懸念を表明したのに、そうした民意をことごとく無視して強引に成立させた手法は 民主主義を形骸化させたと非難されて当然です。 
 
 不備だらけであることが明らかになった法案を、数を頼んでこんなに拙速に強引に成立させたのは、審議を長引かせればますます欠陥法案であることが明らかにされ、国民の間に反対運動が広がって収拾がつかなくなるからだと言われています。当の担当大臣自身すら成立した法案について「これから整備する」と発言しています。こんな法案の出し方、成立のさせ方はあってはなりません。
 
 「たとえどんなに強引な手法をとっても、いま法案を成立させてしまえば、3年後の衆参同時選挙時には国民はすっかり忘れているから」というのが自民党の読みだといわれています。しかしいまの自民党への支持がそのときまで維持されるなどということはありえません。秘密法の成立を機に支持率は凋落の一途をたどるはずです。
 
 現実に法の成立から一夜明けた日午前にも、渋谷区の代々木公園から渋谷・原宿を巡るデモが行われ、集まった人たちは「口まではふさがせない」と決意新たに声を上げました。市民たちは民意を無視した強行に怒り、「主権者は私たち」「新しい戦いの始まり」叫びました。そして参加者のひとりは「やっぱり選挙が大事なんだ」と思い知らされたと話しました。
 7日の午後には、JR渋谷駅前全国から駆けつけた仏教、キリスト教など宗派を超えた宗教者たちが集まり「この法律は国民の目、耳、口をふさぐ。みんなで民主主義を守ろう」と呼びかけました
 参加した宗教者たちは、「これからが本当の始まり。宗教者として反対の意思をはっきり示したい」「法律が成立したからといって引き下がるつもりはない」と語気を強めたといいます
 
 また6日夕方には「秘密保護法を考える全国学生緊急大集会」が開かれました。参加した学生は、「法律が成立してもそれで終わりではない。政治に関心を持ち、しっかり勉強して議論をぶつけ合わせていく」と語っています。
 
 成立した法案は戦前の「治安維持法」や「軍機保護法」もどきのものですが、決定的に違う点は、法律の成立時から「極めて危険な法案」という認識が国民の間に広がっている点です。
 そういうことを忘れてしまうことはありません。
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【特定秘密保護法案】やりたい放題許すな 決意新たにデモ
東京新聞 2013年12月7日
 六日深夜の特定秘密保護法成立から一夜明けた七日午前、東京都渋谷区の代々木公園から渋谷・原宿を巡るデモが行われ、集まった人たちは「口まではふさがせない」と決意新たに声を上げた。どさくさに紛れるように六日には、民意をくみ取って決まったはずの「原発ゼロ」の政府方針も覆された。市民らは怒りの声を上げ、「主権者は私たち」「新しい戦いの始まり」と、前を向いた。
 
 代々木公園のデモに参加した川崎市の会社員中田絵美さん(33)は、特定秘密保護法の成立を国会正門前で知った。「こんなに多くの人たちが立ち上がり、反対の声を上げているのに。悔しくて国会に向かって泣きました。やっぱり選挙が大事なんだって、思い知らされました」
 
 横浜市の男性デザイナー(42)は「情報を秘密にして、国民の耳や目はふさいでも、口をふさぐことはできない」。民意を一票で示すため「正しい情報で、正しく投票しよう」とデモで呼び掛けた。
 「法の施行に向けて、これからどういう手続きを取っていくのか。その透明性は絶対に必要」と川崎市の会社員青木育代さん(46)は訴えた。六日深夜は国会正門前で、大勢の人たちとともに反対の声を上げた。「これだけ反対する国民がいるのに、パブリックコメントとか民意をくみ取る仕組みが形骸化している。あきらめずにウオッチしていく」と決意を語った。
 
 この日のデモはドイツやフランスのように気軽に参加できる「楽しいデモ」がテーマで、サンタクロースのコスプレや着ぐるみ姿の行列、レゲエ音楽の演奏も。相模原市の団体職員高尾洋平さん(34)は「デモに参加するのは市民運動家というイメージがあり、一般市民は入りにくい」とし、民意を示すデモの在り方にも変化が必要と話す。
 
 自民党の石破茂幹事長がインターネットのブログに、デモをテロと同一視するような書き込みをしたことも意識して、「デモは非暴力の市民の民意のひとつ。他力ではなく自力で民意を示すうねりを広げたい」と語った。
 
秘密保護法:「こんな法律認めない」市民らのデモ続く
毎日新聞 2013年12月07日
 特定秘密保護法の成立を受けて、同法に反対する市民らは7日、国会議事堂周辺やJR渋谷駅前で怒りの声を上げ続けた。
 
 国会議事堂前では朝から「秘密保護法廃止」と書かれたチラシや看板を持った市民が「こんな法律は認めないぞ」と訴えた。埼玉県蕨市の無職、仲内節子さん(68)は「このまま黙ったら政府の思うつぼ。今日は法律廃止に向けた第一歩だ」と話した。
 
 また、JR渋谷駅前では全国から駆けつけた仏教、キリスト教など宗派を超えた宗教者が集まり「この法律は国民の目、耳、口をふさぐ。みんなで民主主義を守ろう」と呼びかけた。
 参加した僧侶の武田隆雄さん(61)は「これからが本当の始まり。心の自由を縛りかねない法律に対し、宗教者として反対の意思をはっきり示したい」。静岡県沼津市の神父、河野淳さん(49)も「法律が成立したからといって引き下がるつもりはない」と語気を強めた。【斎川瞳】
 
秘密保護法:若者に危機感…「見ぬふりできぬ」学生集会
毎日新聞 2013年12月7日
 特定秘密保護法に危機感を募らせた東京都内の大学生らが参院本会議で採決があった6日、「秘密保護法を考える全国学生緊急大集会」を東京都三鷹市の国際基督教大で開いた。「見て見ぬふりできる状況じゃない。この『不』特定秘密保護法を本当に許していいのか」と、参加した約300人の学生に問いかけた。
 
 集会を企画したのは同大2年の小林叶(かなう)さん(20)。11月26日、衆院本会議を傍聴し、法案が強行採決されるのを見た。「これはマジでやばい」。同大の稲正樹教授(憲法学)に「みんなで考える場を作りたい」と相談。フェイスブックなどで参加を呼びかけた。
 集会では、与野党の国会議員に扮(ふん)した学生が「安全保障上不可欠だ」「秘密の定義があいまいで国民の権利を侵害する」などと模擬討論しながら意義や問題点を解説。「もし法案が可決されたら」と題し、原発や米軍基地の写真をインターネットで公開して逮捕されるというストーリーの寸劇も披露した。
 
 一橋大などの法律専門の3教授による質疑応答では、学生から「政府の狙いは何か」「なぜ多くの問題を含む法案が採決されるのか」と質問が飛んだ。
 学生のスピーチもあり、中央大法学部4年、青山昂平(こうへい)さん(22)は「法律ができればそれが集団的自衛権の行使を認めることにつながり、戦争ができる国になってしまう。兵隊として真っ先に連れて行かれるのは私たち若者だ」と話した。
 
 また、小林さんは「賛成か反対の意見を強いるのではない。でも、傍観して自分の意見を言わないことは中立とは言えず、権力に力を与え続ける暴力行為だ」と呼びかけた。
 参加した国際基督教大3年の佐藤久実さん(21)は「法律が拡大解釈されていくのが怖い。強行採決なんかじゃなく、もっと時間をかけて話し合うべきだと改めて思った」。同大3年の能田昴(すばる)さん(20)も「法律が成立してもそれで終わりではない。僕たち学生が政治に関心を持ち、しっかり勉強して議論をぶつけ合わせていくことが大切だと思った」と話した。【斎川瞳】