2013年12月25日水曜日

秘密保護法の廃止運動 寒中の街頭でも

 秘密保護法は、国民の8割が慎重審議を求めていたなかを、自民党議員自身が強い違和感を持つほどの強引な手法で成立しましたが、当然国民から強い批判を浴びました。
 国民の反対運動の盛り上がりに驚いた自民党は、批判的な新聞報道への反論文書を作り、それを党所属の全国会議員に「反論指南書」として法律が公布されたあと配っていたということです。
 当然ながら識者からは、「説明不足を反省すべきなのに、メディア批判をするのは筋違い」との声が上がっています
 
 そもそも審議の中であれだけ法案のいい加減さが明らかにされたものを、一片の文書などで反論できる筈がありません。
 政府が具体的対策の一つとして約束した「第三者機関」による審査にしても、安倍氏はこともあろうにそれを官僚で組織することを考えているというありさまです。そんな認識では問題のありかを何も分かっていないということになります。
 そんな党が反論書を作ってみても、せいぜいが国民を誤魔化す説明の仕方の指南書に過ぎません。
 
 それはともかくとして、国民の反対運動・廃案化の要求はこの厳寒のなかでも鎮静することはありません。
 この1週間の各紙の見出から、秘密保護法に対する国民の街頭での反対運動、反対集会、各級地方議会での反対決議などに関する記事を集めてみました。
 参考までに自民党の反論書についての記事を末尾に添付します。
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 「秘密保護法廃止を」 (茨城)県内駅頭で呼び掛け 市民団体
 東京新聞 2013年12月25日
 市民団体「特定秘密保護法の廃止を求めるネットワークいばらき」のメンバーらは二十四日朝、県内各地の駅前に立ち、今月六日に成立した同法を廃止する必要性を通勤通学客に呼び掛けた。
 水戸駅前では、指定される特定秘密の範囲が「際限なく広がる危険性がある」、秘密の扱いについて「(政府外の)第三者が関与する透明性のあるルールはない」などと指摘するチラシを配布。
 参加者は交代でマイクを握り、「特定秘密保護法は成立してしまったが、施行までに一年ある。その間にこの法律の問題を広く知り、廃止させるための活動に協力いただきたい」と訴えた。 (妹尾聡太)
 
自公の暴走 世界が心配 愛知 秘密保護法廃止求め集会
しんぶん赤旗 2013年12月24日
 秘密保護法をどう廃止に追い込むのかを考える集会が23日、名古屋市で開かれました。秘密保全法に反対する愛知の会、愛知県弁護士会、市内二つのアムネスティグループが共催。400人が参加しました。
 英エセックス大学講師の藤田早苗氏が「国際人権法上の〈知る権利〉特定秘密保護法批判のために」と題して講演。「人権条約に反する国内法は改定・廃止しなければならないとの規定があるのに、秘密保護法はさらに下回るもの。欧州では『日本は民主国家ではないのか』との驚きもあり、国連も懸念を表明している」と訴えました。
 情報公開市民センター理事長の新海聡弁護士が報告に立ち、「政府は議論が広がる事を恐れている。個々のレベルからでも発信していこう」と呼びかけ、「愛知の会」共同代表の中谷雄二弁護士は「撤廃させる運動が、今や全国に広がっている。確信を持って取り組もう」とあいさつしました。
 参加した女性は「廃止の可能性は十分にありそうだと元気が出ました」と語りました。
 
原発、オスプレイ 高崎から「反対」 200人 師走に大規模デモ
 東京新聞 2013年12月24日
 脱原発や特定秘密保護法廃止を訴えたり、県内で検討されている米軍新型輸送機オスプレイの飛行訓練に抗議したりするデモが23日、高崎市中心部であった。地元有志でつくる「原発とめよう群馬」が今年の締めくくりとして企画。市民ら約200人がプラカードや太鼓、鳴り物を手に約1時間、師走の街を練り歩いた。 (美細津仁志)
 (中略)
 独国籍で通訳のツッキー・カールさん(32)=玉村町=は「日本の政府は民主主義を理解していない」と憤った。東京電力福島第一原発事故で、日本人の妻たちとドイツに避難した体験を基に、脱原発特定秘密保護法廃止セットで訴え、「保護法で弾圧が起きる。力を合わせて民主主義を取り戻そう」と呼び掛けた。 
 (後略)
 
秘密保護法 廃止求め活動継続 県弁護士会「人権侵害悪化」と批判
東京新聞 2013年12月19日
 特定秘密保護法に反対してきた(千葉)県弁護士会(湯川芳朗会長)は十八日、千葉市内で記者会見し、同法成立を受け、今後は廃止を求める活動を継続していく方針を明らかにした。
 湯川会長は会見で、成立後も法律の内容や講師派遣などの問い合わせを市民から受けている現状を説明し、「市民に向けた活動に積極的に取り組んでいきたい」などと強調した。
 昨年七月に設置された対策プロジェクトチーム座長を務める守川幸男弁護士は「人権侵害が悪化し、監視社会へ突き進むのは明らかだ」と、あらためて同法を批判した。今後については、来月九日の会議で具体的な活動内容を決める。
 県弁護士会は十一日にも「さまざまな問題点が何ら手当てされていない」との抗議声明を出している。 (佐々木香理)
 
【群馬】 前橋でデモ「反オスプレイ」「反秘密保護法」
 東京新聞 2013年12月19日
 陸上自衛隊相馬原演習場(榛東村、高崎市)で来年行われる日米共同訓練への米軍新型輸送機オスプレイの参加や、特定秘密保護法などに反対する市民デモが十八日、前橋市内であった。参加者は神奈川県で起きた米軍ヘリコプターの事故に触れ、「米軍の情報提供が遅れている。県内でオスプレイの事故が起これば同じ事態になりかねない」と訴えた。(菅原洋)
 「神奈川の厚木基地近くに住む姉は、日ごろから米軍機の騒音に悩まされてきた」とデモに参加した高崎市の田島千佐子さん(69)。神奈川県三浦市で十六日に同基地を出発した米軍ヘリが人口密集地の近くに不時着し、乗組員二人が重傷を負った事故を知り、「姉を思い浮かべて怖さが身に迫った」という。
 険しい顔で「県内に来るオスプレイが事故を起こさないか本当に心配」と話し、疑問を投げかけた。「オスプレイがなぜ県内で訓練するのか、市民に納得できる説明がない」
 前橋市のホームヘルパー関口敏明さん(63)は、神奈川の事故で同県警が米軍に飛行ルートなどの情報開示を求めたのに開示が遅れていることに触れ、「秘密保護法が施行されると、神奈川のような事故や県内に来るオスプレイの情報は一段と隠されるだろう」。
 防衛省が今後オスプレイを十七機購入する計画についても「必要ない。その分は社会福祉に充てるべきだ」と主張した。
 デモは県内の弁護士、医療、労働組合などの十二団体が呼び掛け、約八十人が参加。一行は前橋公園を出発して「オスプレイは米国へ帰れ」などと声を張り上げ、県庁や前橋市役所前を通り、中心商店街まで約一キロを練り歩いた。
 
【栃木】 寒さに負けず「廃止を」 秘密保護法「知る権利脅かす」 
 東京新聞 2013年12月19日
 特定秘密保護法の廃止を求める市民団体「秘密保護法はいらない! ネットワークとちぎ」は十八日、宇都宮市の県庁前で街頭活動を行い、「国民の知る権利を脅かす秘密保護法を廃止にしよう」と訴えた。
 毎週水曜に実施しており、約十人が参加。厳しい寒さの中、順番にマイクを握り、「秘密保護法は憲法の精神を踏みにじる。憲法を守り抜ける国会議員は誰なのか、(次の国政選挙で)私たちの一票で選びましょう」と呼び掛けた。
 事務局の木塚孟(たけし)さんは「成立後の世論調査では、国民の過半数が反対しており、安倍内閣の支持率も下がっている。多くの人々が廃止を求めている」などと声を張り上げた。 (石井紀代美)
 
秘密保護法に反対・廃止・慎重 長野20市町村で意見書
しんぶん赤旗 2013年12月18日
 長野県内の市町村議会で秘密保護法の反対・廃案、即時廃止、慎重審議などの意見書や要望書が、16日までに20市町村で上がっています。各地の九条の会や平和委員会などの草の根の取り組みが議会を動かしています。
 県内には県と19市23町35村があり、3市8町9村で意見書を可決しています。このうち須坂、飯山、飯田の3市、長和町、木島平、南牧、青木、中川、喬木、豊丘の6村は全会一致で可決。大桑、阿智の2村は国会採決前に議会の意思を示そうと全会一致で要望書を提出しました。
 同法強行採決以降では、長和、木島平、中川の1町2村が全会一致で同法の廃止を求めています。
 小布施町では、九条の会ニュースを日本共産党の小林正子議員が全議員に配布し、意見書への賛同を呼びかけ、賛成多数で可決しました。
 各地の議会では、保守的な議員が同法成立に反対や懸念を表明する中、公明党が同法成立の推進役を果たしています。
 立科町では日本共産党の山浦妙子議員が提出した「同法に反対し、廃案を求める」意見書が賛成多数で可決。反対した公明党1氏は「適正な運用を求める」意見書を提出しましたが、賛成3反対8で否決されました。
 飯綱町では、九条の会会員が全議員に働きかけました。同町議会は、同法制定に反対する意見書を賛成多数で可決。公明党1氏が反対しました。
 
秘密保護法 慎重運用求める意見書 (鳥取県議会で可決
日本海新聞 2013年12月18日
 鳥取県議会は17日、特定秘密保護法の慎重な運用を求める意見書を賛成多数で可決した。議員の離脱や辞職で勢力が過半数を割った最大会派の自民党が「数の力」で敗れ、石破茂幹事長のお膝元の県議会が党の方針に注文を付ける事態となった。
 意見書では「秘密の意味があいまいで、秘密指定の妥当性をチェックする仕組みが不十分」などと問題点を指摘。国民の知る権利や行政監視活動の阻害につながらないよう慎重な運用を求める内容で、安倍晋三首相や衆参両院議長などに送付される。
 
(参考資料)
 秘密保護法:自民党が批判的報道への「反論指南書」
毎日新聞 2013年12月18日
 国家機密を漏らした公務員らに厳罰を科す特定秘密保護法を巡り、自民党が法律の公布された13日以降、批判的な新聞報道への反論文書を作り、党所属の全国会議員に配っていたことが分かった。有権者に対し議員らが説明する際に使う資料とみられる。世論調査で約8割が慎重審議を求める中、強行採決したのは自民党などの政権与党で、識者からは「説明不足を反省すべきなのに、メディア批判をするのは筋違い」との声が上がっている。
 文書は「特定秘密保護法に関する誤った新聞報道への反論」。A4判5ページの本文と8ページの別紙から成る。本文には「一部新聞は誤情報を流して国民を不安に陥れている」と記載。別紙に国会審議終盤に毎日、朝日、東京の各新聞が掲載した計23本の記事を取り上げ、いずれも「事実に反する」などと批判している。
 
 毎日新聞の記事は4本取り上げられている。このうち、6日の社説「国会や司法のチェックも及ばない」に対しては「事実に反します。(中略)国会の求めに応じ、特定秘密を提供しなければならず、国会で必要な議論ができます」と反論している。確かに法律上、国会への秘密提供は規定されているが、「安全保障に著しい支障がある」と政府が認めた場合は提供されない。さらに、国会法や議院規則の改正が必要で、こうした疑問点への言及はない。
 6日の朝日新聞社説「『行政機関の長』が、その裁量でいくらでも特定秘密を指定できる」についても、文書は「秘密の範囲が際限なく拡大することや、恣意(しい)的な運用が行われることはない」としている。しかし、指定の妥当性をチェックする「第三者機関」は、設置方針はあるものの、具体的内容が決まっていない。
 反論書を作った自民党政務調査会の担当者は取材に対し「執行部の指示で作った」とだけ説明。作成の意図を尋ねたが回答しなかった。【青島顕】
 ◇山田健太・専修大教授(言論法)の話
 公党として政策への賛否を色分けし、反対意見を認めないように思える。民主主義のありようや、言論の自由の大切さに対する理解がないことの表れだ。文書は「恣意的な秘密指定がない」と断言するが、政府はその点を国会で明快に答弁できなかった。説明不足を反省すべきなのに事後にメディアを批判し、反省を求めるのは筋違いではないか。