2013年12月19日木曜日

参院選 7つの高裁判決はすべて「違憲」乃至「違憲状態」

 
 「1票の格差」が是正されないまま実施された7月21日の参院選は憲法違反だとして、二つの弁護士グループが47都道府県の選挙区について、全国の14高裁・高裁支部に一斉提訴した裁判で、18日に大阪高裁名古屋高裁で判決がありました。
 大阪高裁参院選は「違憲」、名古屋高裁参院選「違憲状態」とする判決を下しました。
 大阪高裁は全国で2例目の「違憲」判決でしたが、無効請求は退けました。
 
 これで判決が出たのは11月28日の広島高裁岡山支部の「無効」判決を皮切りに、丁度半数に当たる7つの高裁・同支部となりました。
 
 7つの高裁・同支部の判決の内容は下記のとおりです。
      高  裁           判 決        
   広島高裁岡山支部      違憲・無効   11月28日
札幌高裁            違憲状態    12月 6日
高松高裁            違憲状態    12月16日
名古屋高裁金沢支部     違憲状態    12月16日
福岡高裁那覇支部      違憲状態    12月17日
大阪高裁            違憲       12月18日
名古屋高裁           違憲状態    12月18日
 
 以下に18日の大阪高裁、名古屋高裁の判決と、最初に行われた広島高裁岡山支部の違憲・無効判決の記事を紹介します。
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7月の参院選「違憲」 無効請求は退ける 大阪高裁判決
朝日新聞 2013年12月18日
 「一票の格差」が最大で4・77倍だった7月の参院選をめぐり、弁護士グループが選挙の無効を求めた訴訟の判決が18日、大阪高裁であった。山田知司(ともじ)裁判長は、格差是正が可能だったのに国会が適切な措置をとらなかったとして選挙を「違憲」と判断。ただし、選挙制度の見直しには相応の時間がかかることなど「諸般の事情を考慮して違法宣言にとどめる」と述べ、近畿2府4県の選挙区の選挙は有効だとした。原告側は上告する方針。
 
 今回の参院選をめぐっては、弁護士グループが全国14の高裁・支部で、47都道府県の選挙区を対象に訴訟を起こしており、「違憲」とする判決は2例目。広島高裁岡山支部は「違憲・無効」としたが、広島、札幌など5高裁・支部は違憲手前の「違憲状態」としていた。また、この日は名古屋高裁でも同種訴訟について「違憲状態」とする判決が出た。
 判決は、2007年の参院選をめぐる最高裁判決(09年9月)が、格差解消のため選挙制度改革を求めていたのに、都道府県単位の区割りを維持したまま、定数を「4増4減」する是正にとどまったと指摘。「参院選の定数配分規定は投票価値の平等に反する」と批判した。
 
名古屋高裁は「違憲状態」 参院選、1票の格差訴訟
東京新聞 2013年12月18日
 「1票の格差」が最大4・77倍だった7月の参院選は憲法違反として、弁護士グループが全国で選挙無効を求めた訴訟で、名古屋高裁は18日、「違憲状態」と判断し、請求を棄却する判決を言い渡した。原告側は即日上告した。
 林道春裁判長は判決理由で、格差について「違憲の問題が生じる程度の著しい不平等状態に至っていた」と指摘。
 一方、早期の立法措置が必要とした昨年10月の最高裁判決から選挙まで約9カ月しかなかった―などの事情を考慮し「国会の是正実現への取り組みが立法裁量権の限界を超えるとは言えない」と述べた。(共同)
 
7月の参院選は「無効」、広島高裁岡山支部が初判断 「1票格差」で違憲判決
産経新聞 2013年11月28日
 「一票の格差」が最大4・77倍だった7月の参院選は違憲だとして、弁護士グループが全国各地で選挙無効を求めた訴訟の判決が28日、広島高裁岡山支部であった。片野悟好(のりよし)裁判長は定数配分を違憲と判断し、岡山選挙区の選挙を無効とした。参院選での無効判決は初めて。
 
 14高裁・高裁支部に起こされた訴訟で最初の判決。選挙制度の抜本的改革を先送りし、前回平成22年選挙の5・00倍から格差を微減させるにとどまった国会の取り組みへの評価が争点となっていた。
 前回参院選について、昨年10月の最高裁判決は「違憲状態」と判断。しかし国会は、選挙区の議席配分を「4増4減」する改正公選法を成立させただけだった。
 「4増4減」の結果、議員1人当たりの有権者数は鳥取が最少、北海道が最大となり、両選挙区の格差は4・77倍となった。岡山は3・27倍だった。