2013年11月26日火曜日

福島で公聴会 「アリバイ作りだ」 福島市民怒り

 25日、福島市で特定秘密保護法案についての初の公聴会(衆院特別委)が行われましたが、肝心の傍聴者が50人に限定されたうえ、傍聴券もうまく行き渡らなかったために、その席も半分ほどしか埋まらないという状況でした。1000人以上入れる会場はいくらでもあるのに、一体どうしてこんな設定をしたのでしょうか。これでは単に「公聴会をやった」という、アリバイつくりに過ぎないといわれても仕方がありません。
 会場のホテル前では、原発事故で被害を受けた福島県の住民らが「福島をアリバイに使うな」「情報を隠さないで」と、法案に反対するデモを行いました。
 
 抗議行動を呼び掛けた一人で元教員佐々木慶子さん(71)は、[福島原発事故収束作業も、テロ防止の理由から特定秘密にされる可能性があるそうなれば作業中にトラブルがあっても分からない。戦後最大の悪法だ」と訴えました。
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秘密保護法案 原発事故隠される 福島で公聴会 住民らデモ
 東京新聞 2013年11月25日
 「福島をアリバイに使うな」「情報を隠さないで」。二十五日に福島市で開かれた、特定秘密保護法案を審議する衆院国家安全保障特別委員会の初めての公聴会。会場のホテル前では、東京電力福島第一原発事故で被害を受けた福島県の住民らが法案に反対するデモを行い、公聴会に入れない人らが怒りの声をあげた。 
 
 JR福島駅東口にあるホテル前では肌寒い曇り空の下、朝八時ごろから「特定秘密法案 廃案しかない」と書かれた横断幕やのぼりを掲げた住民ら約百人が参加した。
 原発事故で飲食店を廃業した無職武藤類子さん(60)=福島県三春町=は「法案は原発事故の真実を隠す」と書かれたプラカードを持参。けさ自宅で作ったという。「今でさえ原発事故がどのように起きたか真実がわからないのに、法案ができたらどんどん隠されていってしまう」
 会場の傍聴者席は五十席。傍聴券が必要と知らない人も多く、席は半分ほどしか埋まらなかった。会場に入れない福島市野田町の佐々木慶子さん(71)は「公聴会は広く国民の声を聴く場所のはず。福島でも千人以上入れる会場はいっぱいあるのに」と衆院事務局員に詰め寄った。
 佐々木さんは「きょう公聴会があることを知った人もいる。立ち見でも全員入れてほしい。国会議員が(傍聴を認めると)決めれば済む話」と批判した。
 
 
秘密保護法案公聴会:「アリバイ作りだ」福島市民怒り
毎日新聞 2013年11月25日
 「原発事故の情報が隠されるのでは」「国民の意見を聞いたというアリバイ作りだ」。政府が臨時国会での成立を目指す特定秘密保護法案を巡り、衆院国家安全保障特別委員会が25日、初の地方公聴会を福島市で開いた。だが、26日にも同委員会で採決される可能性がある上、傍聴は50人に限定。入場できなかった市民らは会場前で「秘密保護法を許さない」「秘密保護法は原発事故の真実をかくす」などの横断幕やプラカードを掲げ、法案反対の声を上げた。【喜浦遊、蓬田正志】
 
 JR福島駅前では午前9時過ぎ、自民党の額賀福志郎・元防衛庁長官ら特別委の委員が会場入りする時間に合わせ、待ち構えた複数の市民団体の計約70人が「なぜ法律を作ろうとするのか」「原発情報が秘密になってしまう」などとスピーカーで訴えた。
 抗議行動を呼び掛けた一人で、福島市の元教員、佐々木慶子さん(71)は、東京電力福島第1原発で行われている事故収束作業も、法案で定める「テロ防止」の理由から特定秘密にされる可能性があると指摘。「そうなれば作業中にトラブルがあっても分からず、身の安全が脅かされかねない。戦後最大の悪法だ」と訴えた。
 傍聴に訪れた県民からも、次々と批判の声が上がった。南相馬市の漁師、志賀勝明さん(65)は「原発事故のとき、南相馬市より放射線量が高い郡山市に避難してしまった。正しい情報があれば、安全な場所に身を寄せることができたはず。情報公開してもらわなければ、自分たちの行動が安全か判断できない」と話した。
 郡山市のフリージャーナリスト、人見やよいさん(52)は「(政府に寄せられた)9万件以上のパブリックコメントの大半が法案に反対する意見だったのに、なぜ作ろうとしているのか」と批判。公聴会については「『意見は聞きました』というアリバイ作りにしか思えない」との見方を示した。
 市民団体は駅前で「秘密保護法反対」のビラをまき、手に取った福島市の無職、椎名千恵子さん(67)は「隣の伊達市に孫がいる。孫の安全を守るためにも情報を出してもらわなければ」と話した。