2013年11月14日木曜日

自民の秘密保護法案 「Q&A」 ウソと危険 1

 しんぶん赤旗が、自民党所属議員に対外説明用配布した「特定秘密保護法案 Q&A」について、その「ウソと危険」を明らかにするシリーズを始めました。
 自民党はかつて自党の憲法改正草案についても「Q&A」を公表しましたが、それは実に巧妙な言い回しで改憲案の危険性を隠蔽しようとするものでした。決して油断はできないということです。
 その1回目です。
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秘密保護法案 自民「Q&A」ウソと危険 (1)
しんぶん赤旗 2013年11月13日
  国民の目、耳、口をふさぐ「秘密保護法案」―。自民党は所属議員に対外説明用の「Q&A」を配布しています。“秘密の範囲は限定”“身辺調査もプライバシー侵害にならない程度”“一般国民は処罰の対象外”など、さも「安心安全」かのような説明のオンパレード。しかし、法案と政府答弁などからみえてくるのは、そのウソと危険です。
 
秘密の範囲広がらない? 
4分野40万件に拡大も
 自民党のQ&Aは「今よりも秘密の範囲が広がることはありません」などといっていますが、大変なゴマカシです。
 そもそも懲役10年という厳罰を伴う包括的な秘密保護法はいま存在していません。懲役を伴うものには、自衛隊法で懲役5年が科される「防衛秘密」があります。
 この「防衛秘密」は4万件ありますが、秘密保護法案では「外交」「特定有害活動」「テロ対策」を含めた4分野に広がります。政府は約40万件になると示唆しています。
 しかも秘密の指定は、「国の安全保障に著しい支障を与えるおそれ」があると行政機関の長が判断すればいくらでも可能。「秘密指定」の基準も公表されず、何が秘密指定されたかも「秘密」です。秘密指定がどこまで広がるか計り知れません。
 特に4分野のいずれにも、別表には「防衛に関し収集した電波情報…その他重要な情報」「…領域の保全その他の安全保障に関する重要なもの」など、「その他」という言葉が11カ所も挿入されています。「その他」に何でも秘密として盛り込める、まったく無限定な仕組みです。
 
原発・TPP秘密じゃない?
「核物質防護」で統制強化
 自民党Q&Aや首相側近の礒崎陽輔首相補佐官は「原発が秘密になることは絶対ない」「原発事故は対象外」などと説明していますが、典型的な情報操作のウソです。
 政府は国会答弁で「原発の警備実施状況」が対象であることを認め(7日)、原子力規制庁も「核物質防護が(法案の)対象」(10月29日会見)と述べています。
 「核物質防護」を建前に原発情報への統制を強めようとしているのが実態です。福島原発事故時に放射能拡散予測システム「スピーディ」さえ公表しなかった政府、そして電力会社の隠ぺい体質をさらに助長します。
 TPP(環太平洋連携協定)についてもQ&Aは「法案別表のいずれにも該当しない」としています。しかし、別表には「その他の重要な情報」が入っており、無限の拡大解釈が可能。対象とならない保証はありません。
 そもそもTPP交渉では参加早々、「守秘契約」に署名させられ、協定発効後も4年間は秘匿にする国際合意があるとされます。秘密保護法で指定されれば、半永久的に国民から隠されます。
 
家族・恋人・友人は対象外?
人間関係全て調査・監視
 自民党Q&Aは、「秘密」を取り扱う者の「適性評価」について、「法定された調査事項以外の個人情報を収集することはありません」としています。
 しかし、「法定された調査事項」自体、プライバシー侵害そのものです。(1)特定有害活動(スパイ活動)およびテロリズムとの関係(2)犯罪および懲戒の経歴(3)情報の取り扱いについての非違歴(非法・違法行為歴)(4)薬物の乱用および影響(5)精神疾患(6)飲酒(7)信用情報や経済状況―など、人権侵害にあたる内容で明白な違憲行為です。
 「特定有害活動」や「テロリズム」との関係で家族や同居人の情報が調査・収集されます。「怪しい人物とのつきあいはないか」など、家族ぐるみで調査・監視されるのです。
 すでに国の行政機関で実施されている「秘密取扱者適格性確認制度」では、知人との「交友交際の程度」(自衛隊の調査)など詳細に申告させることになっています。その際は「本人に問い合わせて確認してはならない」としており、調べられてもわかりません。