2013年10月20日日曜日

米英の無人機攻撃で民間人479人犠牲

 米英軍などが実施した無人飛行機による攻撃で、パキスタンなど3カ国で2004年以降、少なくとも民間人479人(朝日新聞)が犠牲になっていることが、国連が依頼した調査でわかりました。調査報告は米国を名指しし、作戦や民間人犠牲者のデータを最大限公開し、説明責任を果たすよう求めているということです。 

 無人機攻撃は現地からの情報に基づいて、米本土にあるモニター室で画面を見ながら遠隔操作し、対象人物に向けてピンポイントでミサイル攻撃を行うものです。
 米軍は2001年の米同時多発テロ以後無人機攻撃を本格化しましたが、アメリカ軍の人的被害をゼロにできる上に経費も安くて済むため、軍事費の削減を求められているオバマ政権になってからは、中東やアフリカなどで大々的に使用されるようになりました。

 オバマ氏は「対テロ作戦」と説明していますが、無断で他国の領空に侵入し、テロの「容疑者」ということだけで司法手続きを経ずに殺害する方法は、「殺し屋による殺人」に他ならず、明らかな違法行為です。
 ですから仮に民間人の数をそう限定するとしても、その他の2000人近い犠牲者への殺人行為が正当であるということを意味するものではありません。
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米英無人機 市民450人犠牲 国連初調査 対テロで巻き添え
 東京新聞 2013年10月19日 
 【ニューヨーク=長田弘己】米英軍などがパキスタンなどで対テロ作戦の一環として実施している無人機攻撃で、市民四百五十人以上が巻き添えとなって死亡したことが、国連の専門家チームによる初めての調査で明らかになった。国連が十八日までに中間報告書を公表した。パキスタンでの攻撃は主権侵害の恐れがあるなどとして、米国に民間人犠牲の情報公開など説明責任を求めた。

 調査は、対テロと人権の関係を担当する国連のエマーソン特別報告者らが、今年一月に国連人権理事会の依頼を受けて実施した。
 最も犠牲者が多いパキスタンでは、同国政府からの情報で二〇〇四年以降、計二千二百人が犠牲となった。うち少なくとも四百人が民間人。このほか、さらに二百人が非戦闘員でテロリストではなかった可能性があると指摘した。
 アフガニスタンでは市民の死者は五十人以上。イエメンでは現地メディアによると、二〇一二年九月の攻撃で一度の攻撃では最多の市民十二人が犠牲になった。リビア、イラク、ソマリア、パレスチナ自治区ガザでも調査を進めている。
 報告書は、国際人道法を厳守すれば、多くの民間人の犠牲を防ぐことができるとも指摘し、国際的な運用ルールの構築が必要だと提言した。
 最後に米国を名指しし、攻撃実施の法的根拠の明示など最大限の情報公開を要請した。
 エマーソン氏は今月下旬に国連総会第三委員会(人権)で、報告書について説明する。

米英の無人機攻撃、民間人479人犠牲 国連依頼で調査図
朝日新聞 2013年10月19日
【ニューヨーク=春日芳晃】潜伏するイスラム過激派を殺害するとの名目で米英軍などが実施した無人飛行機による攻撃で、パキスタンなど3カ国で少なくとも2004年以降、民間人479人が犠牲になっていることが、国連人権理事会が依頼した専門家チームの調査でわかった。朝日新聞が入手した調査報告は米国を名指しし、作戦や民間人犠牲者のデータを最大限公開し、説明責任を果たすよう求めている。 

 非戦闘地域での無人機攻撃を巡っては、他国の主権を侵害し、多くの民間人を巻き添えにしているという国際社会の批判がある。こうした批判を受け、国連人権理事会は1月、英国の弁護士で国際人道法の専門家のベン・エマーソン氏に調査を依頼。民間人の殺害は国際法上、戦争犯罪にあたることから、同氏は専門家チームとこれまでの攻撃例を調査した。無人機攻撃について国連が依頼した調査は初めて。 

 パキスタンではエマーソン氏が3月に政府関係者に直接確認。全体の死者が2200人に上り、うち民間人が少なくとも400人と判明した。さらに200人が非戦闘員の可能性がある。国連の現地組織などの集計ではアフガニスタンの死者は58人。イエメンでは現地メディアの調査によると、少なくとも21人が殺害されていた。報告書は武装勢力と民間人を区別した基準を示していない。リビア、イラク、ソマリア、パレスチナ自治区ガザでも調査を進めている。 

 作戦を実行しているとされる米英は情報の一部を開示したが、イスラエルは協力を拒んでいるという。民間の犠牲はもっと多いとの指摘もあり、調査が全容を反映しているかは不明だ。