2013年9月17日火曜日

「憲法を守るのは誰か」 若者を意識した「憲法」本

 「憲法を守るのは誰か」(幻冬舎ルネッサンス新書)の著者である学習院大学教授の青井未帆さんを、埼玉新聞がインタビューしました。
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若者意識した「憲法」本 学習院大教授・青井未帆さんが刊行
埼玉新聞 2013年9月16日
 憲法改正を目指す安倍政権の誕生で、憲法論議が慌ただしさを増している。しかし「そもそも憲法とは、何なのか」という基本はあまり論議されていない。若手憲法学者で、学習院大学教授の青井未帆さんが刊行した「憲法を守るのは誰か」(幻冬舎ルネッサンス新書)は、憲法の基本中の基本を、現憲法を積極的に評価する立場から、やさしく紹介している。若い世代を意識して執筆したという青井さんに聞いた。

 「憲法を―」は約240ページ。「改正論議の狙いは9条なので、それを語らないわけにはいかない。それを前提として『憲法とは何か』を語り目的を絞った」。

 序章「憲法の目的は人権を保障すること」、第一章「日本国憲法は立憲主義憲法」で、憲法の核を噛んで含めるように説く。憲法は、国家権力を制限し、基本的人権を保障するために存在し、日本国憲法が、そのような立憲主義に立脚していると評価する。
 「普段は憲法を考えないですむが、世の中に不正義が起き、法律で対応できない時に、憲法が保障する人権こそが最後の武器となります」と強調する。

 憲法論議の最大の争点となるのが、戦力の保持と交戦権を禁じた9条。青井さん自身は「自衛隊違憲論」の立場だが、政府解釈もありうる解釈の1つであるとのスタンスを取っている。その観点からみると、9条の存在が、「専守防衛」の政府解釈を引き出しそれが、安全保障政策や自衛隊をコントロールしてきたと「憲法を―」で指摘する。

 「違憲にこだわるのは、学説では圧倒的に違憲という背景があり、それで政府も9条を、自由に解釈をできなかった。内閣法制局の論理は精巧で、ある意味これだけすごいコントロール方法はない」と話す。一方で、9条を改正して集団的自衛権の行使を可能にするという議論に対してこう指摘する。

 「これまでの9条によるコントロール方法がなくなった時に、どうするのかを示さないで、『じゃ変えましょう」と言うのはどうか。エジプトをみても軍隊が意思を持つとコントロールが大変。歴史的に背負ってきたものを変えるという時に、その論証責任は圧倒的に変える方にある」
 「安全保障だけでなく、TPPもそうだが、国のあり方が、がらっと変わってしまうかもしれない時に事前に「こうなる」と青写真を示さないまま、国家的決定がなされる。私たちは真剣に恥ずかしいと思わないといけない」。
 若い人に憲法のことを考えてほしいとの思いが執筆の動機でもある。それは、憲法改正の先に徴兵制を見据えている。
 「集団的自衛権は非常に政治的なもの。徴兵制などの制度なしには世界に軍隊は展開できない。その時、楯となり、矢となり、弾となるの若い人たち。自分のこととして想像してほしい」。