2013年9月10日火曜日

国民投票法改正案、自公が共同提出へ

 自民党はこれまで憲法改正の手続きを定めた国民投票法改正案について、維新の会が通常国会に提出し継続審議となっている同法改正案修正協議に入ることを模索してきましたが、9日、連立を組む公明党との共同歩調を優先させ、秋の臨時国会に公明党と共同で改正案を提出する方針を固めました。

 国民投票法は、付則で法の施行までに次の3つの宿題を果たすこととしています。
  投票権年齢18歳に伴う公職選挙法、民法等の改正
  国民投票運動における公務員の運動制限の緩和について
  国民投票制度の拡大の是非
 このうち①は、国民投票の投票権年齢は18歳以上と定められているものの、公職選挙法では投票権を20歳以上とし、成年年齢は民法で20歳以上と定めているため、これらの年齢も18歳に引き下げることを前提に、関連法令について必要な措置を講ずるものです
 ②については、維新が5月に提出した改正案では、公務員の政治的行為の制限緩和を打ち出しており、公明党もその方向だといわれています。それに対して自民党内には「公務員が特定政党の主張に肩入れしかねない」などと慎重論があって、意見が一致していません。
 ③については、もともと国民投票の対象を「憲法改正」以外に広げることには、憲法採用している間接民主制との整合性の問題があって、これも自公の間でも意見がまとまっていません。
 
 3つの宿題のほかにも、改正を有効とする最低投票率についての議論があり、これも根源的な問題なのですが全く進んでいません。

 結局自公の改正案は、両党間で一致できる①の「国民投票の投票年齢を18歳以上で確定させる」という内容に限定したものであり、それ以外の課題は当面なおざりにされます。
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改正案、自公が共同提出へ=国民投票法
時事通信 2013年9月9日
 自民党は9日、憲法改正の手続きを定めた国民投票法改正案を、10月15日召集予定の臨時国会に公明党と共同で提出する方針を固めた。自民党は当初、日本維新の会が通常国会に提出し、継続審議となっている同法改正案をたたき台に修正協議に入ることを模索していたが、連立を組む公明党との共同歩調を優先させた。
 
 自公の改正案は、国民投票の投票年齢を18歳以上で確定させる内容。投票年齢に加え、国民投票法の「三つの宿題」とされる公務員の政治的行為の制限緩和や、国民投票の対象拡大については与党内部の調整がついておらず、「引き続き検討」などとして、結論を先送りする方向だ。 
 維新が5月に提出した改正案は、自公案と同様に国民投票年齢を18歳以上としているが、公務員の政治的行為の制限緩和を打ち出しており、自民党内には「公務員が特定政党の主張に肩入れしかねない」などと慎重論がある。
 
 加えて、参院で憲法改正の発議に必要な3分の2以上にあたる162議席を確保するには公明党の取り込みが不可欠という事情もあり、国民投票法案でも「自公」の枠組みを維持することとした。改憲に慎重な公明党も「国民投票法までは反対できない」(幹部)として足並みをそろえた。
 憲法改正の機運を高めたい自民党は、衆院憲法審査会での審議を通じて、野党側にも協力を呼び掛ける方針。維新幹部は「求めがあれば、修正協議には応じる用意がある」としている。