2013年8月14日水曜日

今度は集団的自衛・・・の対象国は問わないと 北岡座長代理

 先(朝日新聞10日付)に、集団的自衛権行使全面解禁を首相に提言する意向と語った安保法制懇北岡座長代理は、今度は集団的自衛権を共に行使する対象国を米国以外に拡大する提言を盛り込むと語りました。
 「安全保障にはある種の曖昧さが必要」とし、線引きをあえて不明確にして抑止力を高めるべきとの考えからということです。
 
 因みに先には、集団的自衛権行使が認められる類型について記者に問われると、以下のように北岡氏は答えています。
 
Q : 前回の安保法制懇では米艦防護など4類型への対応を求めていました。
      A : 我々は今回、類型化を目指しているわけではない。法理的な禁止を全面的に解除するということだ。個別的自衛権に類型化ってありますか? 『北朝鮮から(攻撃が)海や空から来た時』、そんな類型ないでしょう

 類型上の制約もなく共に行使する対象国にも限定がないとなれば、組む国さえあれば何時でも自衛隊は交戦状態に入れるというわけで、まことに自由奔放な解釈です。
 安倍首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)は、総理にとって願ったりかなったりの答申を出す予定のようです。

 こういう状況を見るにつけても、内閣法制局の存在が如何に重要であるか、そこで蓄積されてきた憲法解釈・見解・見識が如何に重要であるかがよく分かります。

 以下に中国新聞の記事と10日付の朝日新聞の記事を紹介します。
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集団的自衛権、米以外にも 有識者懇、対象拡大提言へ
中国新聞 2013年8月13日
安倍晋三首相が設置した有識者による「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二元外務事務次官)が年内にまとめる報告書に、集団的自衛権を共に行使する対象国を米国以外に拡大する提言を盛り込むことが13日、分かった。安全保障環境の複雑化に対応するとして、中東からの石油輸送のためのシーレーン(海上交通路)確保などを想定し、政府が幅広く選択できるようにすべきだと判断した。
 座長代理の北岡伸一国際大学長が共同通信のインタビューで明らかにした。対象国は「安全保障上、日本と密接な関係がある国」と定義し、報告書には「密接な関係にある国が攻撃を受け、日本に重大な被害が及ぶとき」に集団的自衛権が行使できるとの趣旨の提言を検討しているとした。
シーレーンは「日本の生命線」とも強調し、シーレーンを防護する国が攻撃された場合の集団的自衛権行使の可能性にも言及した。
 集団的自衛権を共同で行使する対象国としては米国に加え、オーストラリアやフィリピン、インドなどを指摘する意見が専門家の間ではある。しかし北岡氏は「安全保障にはある種の曖昧さが必要なことがある」とし、線引きをあえて不明確にして抑止力を高めるべきだと主張した。今年11~12月に策定する報告書には具体的な国名は明記しない方向だ。

集団的自衛権行使、全面解禁提言へ 安保法制懇・北岡氏
朝日新聞 2013年8月10日
 【池尻和生】安倍晋三首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)の座長代理を務める北岡伸一国際大学長が9日の朝日新聞のインタビューで、集団的自衛権行使をめぐる憲法解釈で、全面解禁を提言する意向を明らかにした。解禁した場合の自衛隊の活動は自衛隊法を改正して定めるべきだとの考えも示した。

 安保法制懇は2008年に集団的自衛権行使を認め、「米艦への攻撃」など四つの類型への対応を求める提言をした。北岡氏は「情勢が前より切迫している」とし、今回は4類型に限らない考えを示した。
 そのうえで、北岡氏は集団的自衛権行使について「日本が行使することを許される必要最小限度の自衛力に入る。法理的な禁止を全面的に解く」と明言。解禁に伴う具体的な行使の範囲については「全面的な行使容認とするかどうかは、(自衛隊の活動内容を定めた)自衛隊法改正の時の議論になる」と指摘した。さらに「自衛隊法を改正し、予算をつけ、装備を増やして訓練をし、ようやくできる」と語り、解禁即行使ではないことを強調した。