2013年8月29日木曜日

敵基地攻撃能力の検討で日米防衛相が一致

 ブルネイを訪問中の小野寺防衛相は28日、同国のホテルで米国のヘーゲル国防長官と会談し、北朝鮮の核・ミサイル開発を念頭に、ミサイル攻撃を受ける前に相手国の基地などを攻撃する敵基地攻撃能力を日本が保持することに関し、日米で検討していく方針で一致したということです。

 「敵基地攻撃」とは、例えば、弾道ミサイルなどで日本に攻撃を仕掛ける他国の基地を、巡航ミサイルや飛行機による空爆などで攻撃することで、他国から攻撃を受けたときに国民を守るための軍事力を保持することは許されるとする、現在辛うじて有している9条第2項との整合性から大きく逸脱するものです。当然日本がそれを主張すれば、アジア全体の軍事的緊張は著しく高まります。

 そうした解釈改憲に相当する軍事政策について、何の躊躇もなくアメリカと合意するというのは安倍政権ならではのことです。
 衆参両院で多数を握った以上何でもできる、世論の反対も目ではない、憲法9条何するものぞ、という思いなのでしょう。恐ろしい話です。

 そもそも安倍首相は02年、北朝鮮が高濃縮ウラン計画を認めた第2次核危機の際に、石破防衛庁長官が「敵基地攻撃は法理上は可能、敵基地への打撃力の保有は検討に値する」と答弁したときに、前原誠司氏らとともに「敵基地攻撃論」を打ち上げました。
 また06年に北朝鮮が弾道ミサイル発射実験を行った際に、額賀防衛庁長官が「敵基地攻撃論」の口火を切ったときにも、安倍官房長官(当時)も同様の発言を繰り返しました。
 要するに集団的自衛権の行使と同様、敵基地攻撃論は安倍氏とは切っても切れない関係にあります。

 それにしても日中間の緊張が高まることを危惧しているアメリカは、この時点で日本が集団的自衛権の行使に踏み切ることには反対している(といわれているにもかかわらず、その一方で中国が大いに警戒する筈の「敵基地攻撃論」を日本にそそのかすとは、相変わらずの無原則・ご都合主義ぶりです。
 
 そして安倍首相の暴走は留まるところを知りません。

 読売新聞の記事を紹介します。
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日米防衛相会談、敵基地攻撃能力の検討で一致
読売新聞 2013年8月28日
 【バンダルスリブガワン(ブルネイ)=松下正和】ブルネイを訪問中の小野寺防衛相は28日午前(日本時間同)、バンダルスリブガワンのホテルで米国のヘーゲル国防長官と会談した。
 両氏は、北朝鮮の核・ミサイル開発を念頭に、ミサイル攻撃を受ける前に相手国の基地などを攻撃する敵基地攻撃能力を日本が保持することに関し、日米で検討していく方針で一致した。

 小野寺防衛相は会談で、敵基地攻撃能力について、「日米の役割分担の一つで、慎重に検討することが大事だ」と述べた。有事における自衛隊と米軍の協力を定めた「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」改定の議論を通じて検討することになりそうだ。
 ヘーゲル氏は会談で、近く訪日する意向を表明した。今秋をメドに日本で開催する外務、防衛担当閣僚の「日米安全保障協議委員会」(2プラス2)が念頭にあるとみられる。