2013年8月21日水曜日

集団的自衛権の行使は改憲しなければ難しい と最高裁判事


 安倍首相の内閣法制局長官差し替え作戦により、法制局長官を退職し最高裁の判事に転出した山本庸幸氏が判事の就任会見で「集団的自衛権の行使は憲法を改正しなければ難しい」との考えを示しました。そして集団的自衛権の行使に関する憲法解釈は、「半世紀以上維持されてきたもので、私自身は見直すことは難しいと思う」と述べました

 安倍首相の私的懇談会である安保法制懇の北岡座長代理は、集団的自衛権行使に条件を付けずに、集団的自衛権を共に行使する対象国の別も問わないとする全面解禁を首相に提言する意向であると公言しています。
 その、これ以上はないほど強い味方がまとめる提言を今年11月ないし12月に受けて、首相が起用した小松新法制局長官の下で法制局から合憲の判断を得て、集団的自衛権の行使を含む国家安全保障基本法を内閣提出法案とする、というのが安倍首相の作戦です。

 しかしさすがに法制局内で長年にわたって培われてきた見解を、長官一人の力で覆すというのには無理があると言われています。
 国民の意向にそぐわない非常識な政策を、与党の多数を持ってごり押ししようとしても、それは道理によって阻まれることをそろそろ知るべきでしょう。

 以下にTBSニュースとNHKニュースを紹介します。
 TBSニュースが事態を率直に報道しているのに対して、NHKニュースはタイトルからして、山本新判事が記者会見で集団的自衛権巡る憲法解釈に言及したことを如何にも不満そうに報道しています。それはとりも直さずNHKが安倍政権べったりになっていることの証明です。
 NHKのこうした例は枚挙に暇がないほどですが、公共放送がこのようなことでは大変に困ります。
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最高裁判事、集団的自衛権「憲法改正しないと難しい」 
TBSニュース 2013年8月20日 
 最高裁の判事に就任した山本庸幸・前内閣法制局長官が、就任会見で「集団的自衛権の行使は憲法を改正しなければ難しい」との考えを示しました。
 山本氏は、最高裁判事への就任会見で「憲法9条はすべての武力行使を禁止しており、集団的自衛権の行使を憲法解釈を変更して容認することは難しい」と述べました。
 その上で「集団的自衛権の行使を実現するためには憲法を改正するのが適切で、国会、国民の議論に委ねるべき」との考えを示しました。

最高裁判事 集団的自衛権巡る憲法解釈に言及
NHK NEWS WEB 2013年8月20日
内閣法制局長官から最高裁判所の新しい判事に任命された山本庸幸氏が会見し、集団的自衛権の行使を巡る政府の憲法解釈の見直しについて「半世紀以上維持されてきた憲法解釈であり、私自身は見直すことは難しいと思う」と述べました。

内閣法制局長官を務めていた山本庸幸氏(63)は、定年退官した竹内行夫判事の後任として20日、新しい最高裁判事に任命されました。
最高裁で行われた会見で山本氏は、集団的自衛権の行使を巡る政府の憲法解釈の見直しに関する議論について、「今の憲法の下で半世紀以上議論され、維持されてきた憲法解釈であり、私自身としては見直すことは難しいと思っている」と述べました。
さらに山本氏は「見直すのであれば、憲法9条を改正することがより適切だが、最終的には国会や国民が判断することだ」と述べました。
内閣法制局の長官は今月、山本氏の後任として、第1次安倍内閣の際、憲法解釈の変更によって集団的自衛権の行使を容認する議論に加わった、元フランス大使の小松一郎氏が就任しています。
山本氏は、内閣法制局の長官だった当時、国会での答弁で、集団的自衛権について従来の政府の憲法解釈を維持すべきだという姿勢を示していましたが、裁判で憲法判断を行う最高裁判事としては異例の発言となりました。