2013年8月11日日曜日

原爆の日 広島で平和記念式典 (2013年「広島平和宣言」) +

 原爆投下から68回目の原爆の日の日、約5万人が参列して広島平和記念式典が行われました。海外からも過去3番目に多い70カ国の代表が参加しました。

 松井広島市長広島平和宣言」で、「原爆は非人道兵器の極みであり『絶対悪』だ」と指摘し、政府に核兵器廃絶を目指す国々との連携を求めました。
 そして広島を「日本国憲法が掲げる崇高な平和主義を体現する地で、人類の進むべき道を示す地」と位置づけました。

 以下にNHKのニュースと広島平和宣言」の全文を紹介します。
 
 + 「広島からのよびかけ」を追記
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原爆の日 広島で平和記念式典
                                                                      NHK NEWS WEB 2013年8月6日 
広島に原爆が投下されてから68年となる「原爆の日」の6日、広島市で平和記念式典が行われました。
松井一実市長は「核兵器は非人道性の極みで絶対悪だ」と強調し、日本政府に対し核兵器廃絶を訴える国々との連携を強化するよう求めました。

平和記念式典は、爆心地に近い広島市の平和公園で午前8時から行われ、およそ5万人が参列しました。
はじめにこの1年間に亡くなった人や新たに死亡が確認された人、5859人の名前が書き加えられた28万6818人の原爆死没者名簿が原爆慰霊碑に納められました。
そして、原爆が投下された午前8時15分、平和の鐘が打ち鳴らされると、参列者全員が黙とうし、原爆で亡くなった人たちを追悼しました。
このあとの平和宣言で、広島市の松井市長は「罪もない多くの市民の命を奪い、一生にわたり心身を痛め続ける核兵器は、非人道性の極みであり、絶対悪だ」と述べ、日本政府に対し核兵器廃絶を訴える国々との連携を強化するよう求めました。
そのうえで松井市長は「世界の為政者の皆さん、いつまで疑心暗鬼に陥っているのですか。核兵器の威嚇によって国の安全を守り続けることができるのですか。広島を訪れ、被爆者の思いに接し、信頼と対話に基づく安全保障体制への転換を決断すべきではないですか」と訴えかけました。
続いて安倍総理大臣があいさつし「日本人は唯一の被爆国の国民として、核兵器のない世界を実現していく責務がある。非核三原則を堅持しつつ、恒久平和の実現に力を惜しまぬことをお誓いする」と述べました。
6日の式典には、原発事故の影響ですべての町民の避難が続く福島県浪江町の馬場有町長や、アメリカによる原爆投下の正当化に疑問を投げかけるドキュメンタリーを制作したオリバー・ストーン監督も参列しました。
また、ことしは初めて暑さ対策として平和公園にある会議場の中に参列席が設けられ、高齢の被爆者などおよそ100人が式典の中継映像を見守りました。
被爆から68年。
広島ではことしも平和への誓いを新たにする祈りが続いています。

2013年広島平和宣言」

 「あの日」から68年目の朝が巡ってきました。1945年8月6日午前8時15分、一発の原子爆弾によりそのすべてを消し去られた家族がいます。「無事、男の子を出産して、家族みんなで祝っているちょうどその時、原爆が炸裂(さくれつ)。無情にも喜びと希望が、新しい『生命』とともに一瞬にして消え去ってしまいました」

 幼くして家族を奪われ、辛うじて生き延びた原爆孤児がいます。苦難と孤独、病に耐えながら生き、生涯を通じ家族を持てず、孤老となった被爆者。「生きていてよかったと思うことは一度もなかった」と長年にわたる塗炭の苦しみを振り返り、深い傷跡は今も消えることはありません。

 生後8カ月で被爆し、差別や偏見に苦しめられた女性もいます。その女性は結婚はしたものの1カ月後、被爆者健康手帳を持っていることを知った途端、優しかった義母に「『あんたー、被爆しとるんねー、被爆した嫁はいらん、すぐ出て行けー』と離婚させられました」。放射線の恐怖は、時に、人間の醜さや残忍さを引き出し、謂れのない風評によって、結婚や就職、出産という人生の節目節目で、多くの被爆者を苦しめてきました。

 無差別に罪もない多くの市民の命を奪い、人々の人生をも一変させ、また、終生にわたり心身を苛(さいな)み続ける原爆は、非人道兵器の極みであり「絶対悪」です。原爆の地獄を知る被爆者は、その「絶対悪」に挑んできています。

 辛く厳しい環境の中で、被爆者は、怒りや憎しみ、悲しみなどさまざまな感情と葛藤し続けてきました。後障害に苦しみ、「健康が欲しい。人並みの健康を下さい」と何度も涙する中で、自らが悲惨な体験をしたからこそ、ほかの誰も「私のような残酷な目にあわせてはならない」と考えるようになってきました。被爆当時14歳の男性は訴えます。「地球を愛し、人々を愛する気持ちを世界の人々が共有するならば戦争を避けることは決して夢ではない」

 被爆者は平均年齢が78歳を超えた今も、平和への思いを訴え続け、世界の人々が、その思いを共有し、進むべき道を正しく選択するよう願っています。私たちは苦しみや悲しみを乗り越えてきた多くの被爆者の願いに応え、核兵器廃絶に取り組むための原動力とならねばなりません。

 そのために、広島市は、平和市長会議を構成する5700を超える加盟都市とともに、国連や志を同じくするNGOなどと連携して、2020年までの核兵器廃絶をめざし、核兵器禁止条約の早期実現に全力を尽くします。

 世界の為政者の皆さん、いつまで、疑心暗鬼に陥っているのですか。威嚇によって国の安全を守り続けることができると思っているのですか。広島を訪れ、被爆者の思いに接し、過去にとらわれず人類の未来を見据えて、信頼と対話に基づく安全保障体制への転換を決断すべきではないですか。広島は、日本国憲法が掲げる崇高な平和主義を体現する地であると同時に、人類の進むべき道を示す地でもあります。また、北東アジアの平和と安定を考えるとき、北朝鮮の非核化と北東アジアにおける非核兵器地帯の創設に向けた関係国の更なる努力が不可欠です。

 今、核兵器の非人道性を踏まえ、その廃絶を訴える国が着実に増加してきています。また、米国のオバマ大統領は核兵器の追加削減交渉をロシアに呼び掛け、核軍縮の決意を表明しました。そうした中、日本政府が進めているインドとの原子力協定交渉は、良好な経済関係の構築に役立つとしても、核兵器を廃絶する上では障害となりかねません。広島は、日本政府が核兵器廃絶をめざす国々との連携を強化することを求めます。そして、来年春に広島で開催される「軍縮・不拡散イニシアティブ」外相会合においては、NPT体制の堅持・強化を先導する役割を果たしていただきたい。また、国内外の被爆者の高齢化は着実に進んでいます。被爆者や黒い雨体験者の実態に応じた支援策の充実や「黒い雨降雨地域」の拡大を引き続き要請します。

 この夏も、東日本では大震災や原発事故の影響に苦しみながら故郷の再生に向けた懸命な努力が続いています。復興の困難を知る広島市民は被災者の皆さんの思いに寄り添い、応援し続けます。そして、日本政府が国民の暮らしと安全を最優先にした責任あるエネルギー政策を早期に構築し、実行することを強く求めます。

 私たちは、あらためてここに68年間の先人の努力に思いを致し、「絶対悪」である核兵器の廃絶平和な世界の実現に向け力を尽くすことを誓い、原爆犠牲者の御霊に心から哀悼の誠を捧げます。
 平成25年8月6日

 広島市長 松井一実
 
広島からのよびかけ

 68年前の8月6日、アメリカの原爆投下によって広島は「この世の地獄」となりました。14万もの人びとの命が、その年のうちに奪われ、かろうじて生き延びた被爆者たちは、放射線がひき起こすさまざまな病にむしばまれ、癒されることのない心の傷に、いまなお苦しみつづけています。原爆は、人間として死ぬことも、人間らしく生きることも許しませんでした。
 この苦しみを、世界のいかなる地にもくり返させない。それが、被爆者とともに歩んできた私たちの運動の原点です。原水爆禁止2013年世界大会は、核兵器の非人道性を再確認し、核兵器廃絶への決意を新たにする場となりました。

 いま世界では、政府のレベルで核兵器の非人道性を告発し、その禁止を求める流れが急速にひろがっています。それは、核保有国の抵抗を乗りこえて、「核兵器のない世界」の達成という核不拡散条約(NPT)再検討会議の合意の実行をせまる新しい努力です。国連や各国政府、自治体との共同をさらに強め、広範な世論と運動を発展させて核兵器廃絶への道を切りひらきましょう。

いまや7割を超える政府が、核兵器禁止条約の交渉開始を求めています。被爆70年の節目であり、NPT再検討会議が開催される2015年にむけ、「核兵器全面禁止のアピール」国際署名の運動を飛躍的に発展させ、「核兵器のない世界」の実現を求める巨大なうねりをつくりだしましょう。

「原爆展」や被爆体験を語る集いなどの取りくみを強め、被爆の実相を広範な人びとにひろげましょう。原爆被害の過小評価を許さず、原爆症認定制度の抜本的改善と国家補償を求め、被爆者援護・連帯の活動をいっそう強めましょう。被爆二世・三世とともに被爆体験を継承する取りくみを発展させましょう。

 核兵器の非人道性を告発し、その禁止を求める共同声明への参加を日本政府が拒否したことは、核兵器廃絶にむけた努力に対する裏切りです。その背景には、アメリカの「核の傘」への依存があります。政府に対し、非核三原則の厳守、「核の傘」からの離脱、被爆国にふさわしい役割の発揮を求める運動をいまこそ強め、日本の運動の国際的な責務をはたしましょう。

 安倍政権が改悪をねらう日本国憲法第9条には、ヒロシマ・ナガサキをくり返さない不戦の決意がこめられています。憲法を守り生かす運動、沖縄はじめ米軍基地の縮小・撤去を求める運動、集団的自衛権の行使など日米軍事同盟の強化に反対するたたかいを大きく発展させましょう。軍事費の削減、いのち・くらしと雇用を守る運動をいっそう強めましょう。

 「核の被害者をつくらせない」の願いをひとつに、原発の再稼働と輸出に反対し、原発からの脱却と自然エネルギーへの転換を求める運動との連帯をさらに発展させましょう。核兵器と原発との危険な関係や放射線被害の実態について学び、広範な人びとにひろげましょう。

 いまこそ被爆者の声に耳を傾けましょう。被爆の実相を世界へ、そして若い世代へとひろげましょう。被爆者とともに、若い世代とともに、「核兵器のない世界」への扉を大きく開きましょう。
2013年8月6日     
原水爆禁止2013年世界大会-広島