2013年5月23日木曜日

吉永みち子氏が胸のすくコメント

 22日のNEWSポストセブン(電子版)に「憲法9条は日本の最後のアイデンティティー」とする作家の吉永みち子氏の意見が載りました。
 同氏はTVのコメンテーターもしていて、以前に見たときには保守に徹しているという感じで一向に共感がわかなかったのですが、この記事では胸のすくような論理で憲法9条の大切さを説いて、返す刀で自民党の改憲案を切り捨てています。
 さすがはノンフィクション作家です。これでは体制側の解説委員やタレントたちが束になっても敵わないのではないでしょうか。
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吉永みち子 「憲法第条は日本の最後のアイデンティティー」
NEWSポストセブン 5月22日
※女性セブン2013年5月30日号
 安倍政権による憲法改正に向けた動きに対して、様々な議論が起きている。ノンフィクション作家で『気がつけば騎手の女房』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞している吉永みち子さん(63才)は、このように考えている。
 「憲法のもと、少なくとも公式には戦争で外国の人たちをひとりも殺さないできたということは、日本が世界に誇れることです。第条は日本の最後のアイデンティティーなんです。
 これまで護憲派は、“子供を戦場に送るな”といった感情論のみで条を語っていました。でもそれだけでは“敵が攻めてきたらどうする。殺されますよ”という声に対抗できません。その結果が、今日のなしくずし的な憲法解釈の変更や改憲の嵐につながっているのです。理想を貫くのは大変なこと。でも、それは“母として”“女性として”といった情では、守りきれません。
 公民権運動に尽力したアメリカのキング牧師やキューバの革命家・ゲバラだって、単なる理想といわれたことを貫き通しました。理想の旗を現実にそぐわないと下ろすのではなく、理想として掲げ続け、現実を理想に近づける努力が大切なんだと思います」

 本当に必要で、それがよりよい方向に向かう改憲であれば否定しないが、自民党の草案は、立脚点が違うと指摘。
 「現憲法は国家権力の暴走を縛るものなのに、改憲の草案は、『家族は、互いに助け合わなければいけない』と家族の在り方を義務化しているなど、国民を縛るものに変わっている。96条改正の先には、前文と条を見据えている。後で『あ、しまった!』と思ったときの代償が大きすぎます」