2013年3月31日日曜日

梓澤弁護士が改憲問題でジャーナリストなどに「訴え」


 反権力の弁護士梓澤和幸氏が自民党の改憲草案の扱いについて30日、主としてジャーナリストに向けた「訴え」を発表しました。 

「訴え」は自民党の改憲草案が報道面に与える重大な問題点を下記のようにリストアップし、それにもかかわらずメディアは96条の改憲発議要件やせいぜい国防軍規定のことだけわずかだけ報道するのみであり、人々はほとんど改憲草案を知らず、参院選の最大の争点であることを知らされていない、と警告を発しています。 

 【リストアップされている報道面における問題点】
・改憲草案212項の「公益・公共の秩序を害する表現の自由の制限」は報道の自由を扼殺する条文であること
・同92 4項、5項の「国防軍の統制及び機密の保持に関する事項と審判所設置」は、軍事機密に関する報道規制、軍機保護法・秘密保全法の制定、非公開裁判に直結するものであること
・同19条の2の「個人に関する情報を不当に取得してはならない」は「違法に」ではないことから、現行の何倍も厳しい取材規制をまねくこと
・同98条、99条の「緊急事態宣言の規定」は、武力攻撃予測事態における緊急事態宣言が想定されていること 

 以下に訴えの全文を紹介します。(文中の太字は原文で施されたものです
                                                                  下線は事務局が行いました)
                               ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
改憲問題につき、ジャーナリスト、法律家、この小文をお読みくださる
市民の皆様へ
                                                                         弁護士 梓澤和幸 2013.3.30更新 

2012年4月に公表された 自民党改憲草案(以下、改憲草案という)(インターネットでダウンロードできます)は、人権と自由の抹殺につながる規定を含む総合的体系的治安立法です。

第1 改憲草案の自由抑圧
次の4点にご注目ください。

1. 自民党改憲草案21条2項は、「前項(表現の自由保障)にかかわらず、公益公共の秩序を害する目的の表現の自由並びに結社の自由は認められない」 としています。
これは明治憲法下の治安維持法、国体を変革し私有財産制度の否認することを目的とする結社を組織しまたは情を知りてこれに加入したるものは、死刑、無期又は7年以上の懲役に処するとの規定や、旧新聞紙法42条、「皇室の尊厳を冒涜し、政体を変壊し、国憲を紊乱する記事を掲載した新聞紙の発行人、編集人、印刷人は、2年以下の懲役または300円以下の罰金に処する。」 とほとんど変わらない表現の自由、報道の自由を扼殺する条文です。自由の基礎法である憲法草案において、この表現をとっているので 刑事法令が具体化されれば、戦慄すべき立法が用意されることになりましょう。

2. 改憲草案9条 2 の4項、5項には、国防軍の組織、統制及び機密の保持に関する事項は、法律に定めるとし、続けて国防に審判所を置くとしています。

すでに存在するMSA機密保護法(米軍の機密保護懲役10年以下)、自衛隊法の機密保護(5年以下)、いずれも独立教唆罪の規定あり。以上とあわせ軍事機密に関して取材報道への規制が強化されるでしょう。
審判とは、非公開の裁判とのことです。軍機保護法、秘密保全法の制定を招きます。

3. 改憲草案19条の2は、何人も個人に関する情報を不当に取得し、保有し、又は利用してはならないとしています。
不当に、であって違法に、となっていないことに注目すべきです。現行個人情報保護法の何倍も厳しい取材規制をまねきます。

4. 非常事態宣言と原発事故、戦争予測事態
改憲草案98条、99条には緊急事態宣言の規定があります。
改憲案では外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害、その他の法律で定める緊急事態のとき、内閣総理大臣が緊急事態の宣言を発することができるとしています。この場合、何人も国その他の公の機関の指示に従わなければならない。としています。
武力攻撃事態法の武力攻撃事態、同予測事態における内閣総理大臣の緊急事態宣言が想定されていると考えます。

また原発事故のことを想定すべきです。原子力災害特別措置法15条2項の原子力緊急事態宣言の事例(福島第一、第2の宣言事例)があります。福島第一原発事故のような原発過酷事故が起こったとき、その悲惨さを訴える一切の取材と報道に規制がかかります
餓死した牛、人のいない町、自殺した酪農家の残した落書きなど原発事故の悲惨さを訴える写真、報道、など苛酷な規制に会うでしょう。
パニックを起こすとの理由で放射能汚染の全国への拡大に関する情報の規制もきびしくなります

第2 改憲問題につき報道論評が遅れている
これだけ人権抑圧の憲法草案であるのに、自民党改憲草案の内容は、まったく知られていません。メディアは、96条の改憲発議要件や、せいぜい国防軍規定のことだけ、わずかだけ報道されています。
そのため人々はほとんど改憲草案を知りません。参院選の最大の争点であることを知らされていません。
cf 人権感覚のするどい法律家や報道の中堅幹部さえ改憲草案を見せると 「おう、それは大変だ。知らなかった。何とかしなければ」 と反応しています。取材にかかわる人たちの中からも 「初耳だ」 との声があります。
大切なことが知らされないこの状況、どこかおかしい。

第3 わずかなしかし希望につながる動き
市民メディア(IWJ)や若手法律家たちに、改憲草案に注目する動きがあります。
180名をこえる超若手弁護士が加入している 「明日の自由を守る若手弁護士の会(代表 黒澤いつきさん、早田由布子さん(旬報法律事務所)」 を取材してください。
ネットメディアでツイッター、フェイスブック、を活用し、最低賃金法廃止の提案を撤回させた、あるネットジャーナリストの経験もあります。

第4
4月2418時から国分寺市労政会館にて若手法律家と梓澤の共演で、「自由」 に焦点を当てて改憲草案を分析する集会が行われます。ご注目を寄せてください。
5月23日にはロフトにおいて若者にむけた集会の準備も進んでいます。

第5

7月には参議院選挙があります。それ以前に急速に改憲草案の危険性を広め、改憲発議を阻止しようと考えております。ご注目とご協力をお願いいたします。 

連絡先
    東京千代田法律事務所  弁護士 梓澤 和幸
    〒101-0041 東京都千代田区神田須田町1-3 NAビル4階
      TEL 03-3255-8877 FAX 03-3255-8876
      メールアドレス  azusawa@azusawa.jp
 
 
 

2013年3月30日土曜日

官邸前抗議行動が1周年を迎えました


原発ゼロを訴える首相官邸前抗議行動は29日(金)で1周年を迎えました。

当日は母親に連れられた1歳の子どもや82歳の女性など、主催者発表で6000人が参加しました。
赤旗の記者が参加者100人に聞いたところでは15人が初参加ということで、新しい人たちが次々に加わっているようです。 

以下にしんぶん赤旗の記事を紹介します。
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官邸前行動1年 初参加の若者・母親・高齢者 「原発ゼロ決断を」
    しんぶん赤旗 2013330 

 即時原発ゼロを訴える首相官邸前抗議行動が29日行われました。首都圏反原発連合(反原連)が昨年3月29日から始めた官邸前抗議行動は1年を迎えました。6000人(主催者発表)が参加し、長い列に。本紙記者が100人に聞いたところ、15人が初参加。原発再稼働・新増設など原発推進に逆戻りする安倍晋三政権に「原発なくせ」「再稼働反対」の声を突きつけました。
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 初めて参加した東京都三鷹市の女性(18)は「自民党政権になって原発推進政策が復活したので、参加しました。原発は廃棄物が心配だし、安全神話もコストが安いというのもおかしい。すぐにでもなくしてほしい」といいます。
 那覇市から6歳と1歳の息子と一緒に初参加した女性(44)は「一人ひとりの力は小さくても、毎週毎週たくさんの人が集まってアクションを起こしている。沖縄に帰ってもがんばるぞと思えました」。
 ドイツ在住の音楽家(69)は「私も何かできないかと初めて来ました。まだ福島の事故が収束していないのに再稼働なんてとんでもない」。初参加の東京都荒川区の女性(82)は「ヒロシマ、ナガサキ、ビキニ、フクシマという悲劇を繰り返してはいけない」。
 千葉県市川市の女性(68)も初参加。「原発はとめても、そのあと放射性物質の処理など長い時間がかかります。すぐに原発ゼロを決断してほしい」と話しました。

 この日は、ファミリーエリアでの行動も行われました。

志位委員長ら連帯

 日本共産党の志位和夫委員長は29日、官邸前抗議行動に開始早々から駆けつけ、集った人たちとともに約30分にわたって「原発いらない」「さっさと廃炉」「再稼働反対」と声を上げ続けました。行動には、穀田恵二国対委員長、笠井亮衆院議員も参加し、参加者とともにコールを繰り返しました。
 徐々に夕やみに包まれていく官邸前。スピーチで志位氏は、この1年間、毎週、誰もが参加できる抗議の場をつくった反原連に敬意と連帯の意を表しました。 

 福島第1原発では汚染水タンクが増え続け、仮設の配電盤はネズミ1匹で停電事故が起きるなか、志位氏は「どこが収束ですか。事故は続いています。収束宣言を撤回し、被害者への賠償と除染をおこなえ」と官邸に向かって訴えました。
 「事故が収束していないのに再稼働など論外です。すべての原発をなくす日まで頑張りましょう」と参加者を激励すると、大きな声援と拍手がわきました。
 
 

秘密保全法が参院選後に


政府が、外交や安全保障、治安などに関する秘密情報を守るため、厳罰を規定する「秘密保全法案」を制定する方向で検討していることが明らかになりました。

29日開かれたNSC創設に関する有識者会議で、出席者から軍事情報を含む秘密保全の徹底を求める意見が相次ぎ、礒崎陽輔首相補佐官が「法律を制定する方向で検討している」と説明しました。法案提出は夏の参院選後になる見通しです。 

秘密保全法が対象とするものは(1)防衛(2)外交(3)公共の安全と秩序維持 のうちから行政が任意に指定できるとされ、指定されると国民はそれらについて知ることが出来なくなります
117日付「『秘密保全法』が動き出そうとしています」

メディア・個人・団体がそうした「秘密」の情報を公表することはおろか、「秘密」に関する情報を入手することや情報を得ようと教唆・共謀すること自体でも処罰されるので、国民の知る権利、表現の自由、学問研究の自由が制限され、議論自体も出来なくなると言われています。
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秘密保全法を検討=NSC創設で再浮上-政府
時事通信 2013329 

  政府が、外交や安全保障、治安などに関する秘密情報を保全するため、厳罰を規定する「特定秘密保全法案」の検討を進めていることが29日、明らかになった。同様の法案は民主党政権も検討したが、国会提出に至らなかった。安倍政権は、外交・安全保障の司令塔となる日本版NSC(国家安全保障会議)の創設と並行し、立法化を目指すことにした。

 政府は29日、NSC創設に関する有識者会議を首相官邸で開催。出席者から、軍事情報を含む秘密保全の徹底を求める意見が相次ぎ、礒崎陽輔首相補佐官が「法律を制定する方向で検討している」と説明した。政府関係者は、法案提出は夏の参院選後になるとの見通しを示した。 

 民主党政権は、2010年に尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件の際、海上保安庁が撮影した映像がインターネット上に流出したのを受け、法案の検討に着手。「国の存立に重要な情報」を指定し、情報を漏らした場合、「懲役1年以下」と規定している国家公務員法よりも格段に重い刑罰を科す方針を固めていた。安倍政権が検討する法案もこれに準じた内容になるとみられる。

 秘密保全法案に対しては「国民の知る権利が阻害される」として、報道機関や弁護士会などが反対している。
 29日の有識者会議では、軍事情報を集約するため、NSC事務局に自衛官を配置する必要があるとの意見が相次ぎ、今後の検討課題となった。
 
 
 

長引く避難、その後の福島の犠牲者は全員が原発関連死


 復興庁の調査で、大震災から1年以上経過した後で震災に関連して死亡した福島県の35人は、全員が原発避難者であることが分かりました。

 被災者の大部分は今なお仮設住宅生活で、少しでも住み心地の良い公共住宅への転居が実現できていません。
そうした中で、『生きているうちに今の避難先から出られない』という不安・ストレスにさいなまれ、希望や生きる意欲が持てない状況が大いに関係していると見られています。 

 以下に東京新聞の記事を紹介します。
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対象全員が原発関連死 長引く避難、福島の犠牲者 復興庁調査
 東京新聞 2013330 

 東日本大震災から1年以上経過した後で震災関連死した福島県の35人は、全員が原発避難者であることが29日、復興庁の調査で分かった。先行きの見えない長期の避難生活での死だった。自殺者も1人いた。報告書の中で、医療関係者は「天災と人災では影響の尾の引き方が違う」とし、人災の側面が強い原発事故で人々がストレスなどにさいなまれる特異性を指摘した。
 震災や事故後の避難中などに亡くなった震災関連死の認定数は、宮城、岩手、福島の被災三県で2554人で、半数以上の1337人を福島が占める。本紙の調べでは福島の震災関連死者のうち、少なくとも789人は原発避難者だった(いずれも310日までの集計)。

 今回、復興庁が調査したのはこのうち、震災から1年が経過した昨年311日から同9月末の半年間の福島の震災関連死者。この時期の全国の関連死者40人中、35人が福島に集中していたためだ。死亡に至る経緯などを市町村や医療機関から聞き取り、分析した。
 35人は南相馬市、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、浪江町、葛尾村、飯舘村の八市町村の出身。50代が一人で、ほかは60歳以上だった。複数回答による死亡原因の調査では、避難所生活での肉体的・精神的疲労が45%で一番多く、避難所などへの移動中の疲労が24%だった。

 報告書の中で、福島県の医療関係者は「『生きているうちに今の避難先から出られない』という不安や、生きがいも、希望も、生きる意欲も持てないというメンタル面の影響も大きい」と指摘している。
 医療関係者は、201112月~122月の施設での死亡率が前年同期比12倍になっている現状を挙げ「全体の死亡リスクがあがった。死亡は氷山の一角」とも懸念している。
 同庁の担当者は「仮設住宅より住み心地の良い公共住宅の早期再建が必要。国として財政支援をしたい」と話している。
 
 
 

2013年3月29日金曜日

東電が 原発事故は防げた+電力はカバーできる と


 東電は、福島原発事故は事前の備えが十分であれば「防げた事故だった」と総括したうえで、東電の組織問題などの改革プランをまとめ29日、公表するということです。

事故直後から一貫して「想定外の津波による事故」として、自己の免責を主張して来た姿勢がようやく改められることになりました。
ここまで丁度2年、随分と時間が掛るものです。 

また今年は節電を要請しないことも明らかにしました。
これは原発を稼働しなくても火力・水力だけでピーク需要を賄える現実がある一方で、いつまでも節電を訴えていては減収で自分の首を絞めることになるためで、ここでも「原発を稼働しないと電力が賄えない」という当初からの主張を改めざるを得なくなりました。
火力・水力だけでピーク需要を賄えることは、当初から多くの識者から言われていたことでこれもまた遅きに失しました。 

 以下にNHKの「原発事故 事前の備え十分なら防げた」の記事と、東京新聞の「東電 節電要請 原発なしで回避へ」の記事を紹介します。
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原発事故 事前の備え十分なら防げた
NHK NEWS web 2013329 

おととし3月の原発事故について東京電力は、想定を超える津波が事故の原因ではなく、事前の備えが十分であれば「防げた事故だった」と総括したうえで、事故で明らかになった組織の問題などを具体的に改善する6つの対策を盛り込んだ改革プランをまとめ、29日、公表します。 

福島第一原発の事故について東京電力は、去年まとめた社内事故調の最終報告では、事故を防げなかった原因が十分、分析されず、自己弁護に終始していると批判を浴びたことから、社内の特別チームで検証作業を進めていました。
29日に公表される検証結果と改革プランによりますと、まず事故の総括として、地震や津波への配慮が足りず、継続的に安全性を向上する努力が不足したことによって深刻な事故を招いたとして、事前の備えが十分であれば「防げた事故だった」と結論づけました。そのうえで、事故で明らかになった組織の問題などを具体的に改善する6つの対策を盛り込んだ改革プランを示しています。

この中では、まず経営側の問題を挙げて、原発という特別なリスクを扱う会社でありながら、経済性を最優先するあまりリスク管理が甘くなっていたとして、海外の専門家をトップにした内部組織を設置し、経営とは独立した立場で安全の取り組みを継続的に監視するとしています。
    また、事故対応が混乱した反省に立ち、1人の責任者が管理する人数を最大7人以下に制限するなど、緊急時の指揮命令系統を明確にするほか、実効性のある訓練を繰り返すとしています。

    このほか、事故のあともトラブルの公表などが遅れていることについて、「考え方や判断の尺度が社会とずれていた」と認め、専門の部署を新たに設けて、こうした社内体質の改善を進めるとしています。
この改革プランは、29日に開かれる第三者で作る改革監視委員会に報告され、東京電力は、来月から本格的に実行に移すとしています。
 

東電 節電要請 原発なしで回避へ
東京新聞 2013329 

 東京電力は28日、2013年度の電力需給見通しを発表した。今夏の最大供給力は、新たに石炭火力発電所二基が加わり、最大需要を大きく上回る見通し。昨夏に続いて原発なしでも、数値目標を掲げた節電要請は回避できる見込みだ。

 今夏の最大需要は、企業の生産が増えるなどして、昨夏の4911万キロワットをやや上回る4982万キロワットと予想。一方、供給力は、原発の再稼働時期が分からないため、「未定」とした。
 ただ、原発が動いていなかった昨夏の供給力は、渇水による水力発電の減少で想定を300万キロワット程度下回ったが、最大で5453万キロワットを確保。数値目標を定めない節電要請にとどめた。

 さらに今年は、4月から広野火力6号機(福島県)と常陸那珂火力2号機(茨城県)の試運転が始まり、計160万キロワットが加わる。震災後に一時的に設置した小さな発電機44万キロワット分を廃止するものの、水力発電が平年並みに稼働すれば、単純計算で5800万キロワット以上の電力を確保できる見通しだ。

 一方、同社は収支改善のため、停止中の柏崎刈羽原発(新潟県)の早期再稼働を主張。しかし、原子力規制委員会が規制基準を決めるのは7月以降で、新潟県の理解も得られていない。再稼働が遅れると、火力発電の燃料費負担が膨らみ再値上げが必要になるとの見方もあるが、同社は「昨年値上げしたばかりなので現時点で言及できる状況ではない」としている。
 
 

2013年3月28日木曜日

衆院1票の格差、16判決出そろう


 「1票の格差」が最大2・43倍に拡大した昨年12月16日の衆院選をめぐる選挙無効の全国訴訟は、提訴から100日後の27日、仙台高裁秋田支部の違憲判決を最後に14高裁・高裁支部で計16件の判断が出そろいました。

 16件の内訳は「違憲・無効」が2件、「違憲・有効」が12件、「違憲状態」が2件でした。

最高裁大法廷は今夏にも「統一判断」を示すと見られていますが、厳しい結論は避けられそうもありません。
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衆院1票の格差、違憲判決は16件中14件 無効2件
共同通信 2013327

 「1票の格差」が最大2.43倍だった昨年12月の衆院選は憲法違反だとして、升永英俊弁護士らのグループが秋田1区の選挙無効を求めた訴訟の判決で、仙台高裁秋田支部(久我泰博裁判長)は27日、「違憲」と判断した。選挙無効の請求は棄却した。

 二つの弁護士グループが全国14の高裁・高裁支部に一斉提訴した16件の訴訟で最後の高裁判決。これまでに広島高裁、同岡山支部が「違憲で選挙は無効」と判断。「違憲だが選挙は有効」が秋田を含め12件。「違憲状態」が2件で、「合憲」はゼロだった。

 最高裁大法廷は20113月、最大2.30倍だった09年衆院選を「違憲状態」と判断。47都道府県にまず1議席を配分し、残りを人口比で割り振る「1人別枠方式」の廃止を求めた。国会は昨年11月、この方式を廃止し、小選挙区の議員定数を「05減」とする選挙制度改革関連法を成立させたが、昨年の衆院選には適用されず格差は拡大していた。

 昨年の衆院選で議員1人当たりの有権者数は全国最少の高知3区に比べて、秋田1区は1.30倍だった。
 
 
 

ベアテさんの長女が来日


日本国憲法草案の起草に関わった米国女性の故ベアテ・シロタ・ゴードンさんの長女のニコル・ゴードンさんが、ベアテさんをしのぶ会に合わせて来日し、26日、広島の原爆資料館を訪れました。
 
ベアテさんは少女時代を日本で過ごし、アメリカの大学を優等な成績で卒業したのちGHQで日本国憲法草案の作成に加わりました。そして女性と児童の権利の拡張に努力し、憲法14条、24条をはじめ2527条などの形にまとめました。
 
1990年代に彼女のそうした活躍が明らかにされてからは何回にもわたって日本に招待され、全国200ヶ所以上で講演を行いました。 

  ※
2012716日付 「【憲法制定のころ4】 ベアテ ・ シロタ ・ ゴードン」
2012720日付 「【憲法制定のころ5】 憲法調査会におけるベアテ参考人の陳述」
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憲法起草者の長女、資料館へ
中國新聞 2013327 

 連合国軍総司令部(GHQ)の一員として日本国憲法の起草に関わった米国人女性の故ベアテ・シロタ・ゴードンさんの長女で弁護士のニコル・ゴードンさん(58)が26日、広島市中区の原爆資料館を初めて訪れた。

 ニコルさんは夫のロジャー・バーンスタインさん(60)と約1時間かけて館内を巡った。原爆投下直後の市街地を再現したパノラマ模型や写真の前で足を止めていた。ニコルさんは「母は広島は特別な場所だと言っていた。原爆の悲惨さを知り、母の言葉の意味が理解できた」と話していた。

 ベアテさんは1946年から、憲法第24条(両性の平等)など人権に関する条項を書き上げた。晩年は日本での講演活動に力を注ぎ、2003年には広島市にも訪れた。

 ニコルさんは30日に東京であるベアテさんをしのぶ会に合わせて来日した。昨年12月に89歳で亡くなるまで平和憲法の必要性を訴え続けた母親の足跡をたどるため、広島への訪問を日程に組み込んだ。


 

2013年3月27日水曜日

手放しで喜べないと・・・ 秀逸なブログです


 天木直人氏が27日付で「一票格差選挙の無効判決を手放しで喜べない理由」と題する秀逸なブログを載せました。同氏のブログは有料なので通常は一部しか公開されません。 

 以下に公開された全文を紹介します。
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一票格差選挙の無効判決を手放しで喜べない理由
天木直人20130327

一票格差をめぐる訴訟はついに選挙無効判決が出されるまでに至った。これは確かに衝撃的だ。
やれ安倍政権は無効だ、いますぐ解散・総選挙をしろ、などという声さえ聞こえる。
しかし、私はこの大騒動をさめた思いで眺めている。なぜならば、この判決が、今我々が直面している政治の閉塞状態を打開してくれることにはならないからだ。安倍自民党政権の暴走を止めることに結びつくとは思えないからだ。

まず指摘したい事は、そもそも一票格差の是正とは何かということだ。この訴訟を指揮した弁護士によれば一人一票の実現だという。人口比例選挙の実現であり米国がそれを実現しているから日本でも出来ないはずはないという。確かに一人一票の実現まで行かないと一票格差の問題は終らない。5倍が違憲で2倍が合憲などという線引きはできないからだ。しかしそのような選挙制度改革や区割り変更は政治家に任せていては不可能だ。すべての政党が満足する区割り変更はありえない。 

二つ目に、たとえ区割りが抜本的に変わり、人口比例選挙が実現されたとしても、少数野党が有利になるという保証はどこにもないということだ。たとえ衆参同時選挙になったとしても安倍自民党が負けて反自民党連合が勝つ保証はまったくないということだ。 

三つ目に、確かに今度の判決は、国会の怠慢に対する司法からの痛烈な批判である。司法権が立法権に対してその存在を示した。しかし今求められてるのは行政権に対する司法権の優越である。官僚の集まりである最高裁には、日米同盟の違憲は正せず、原発被曝訴訟をはじめとしたあらゆる国賠訴訟について国民を勝訴させる判決を書けるはずは無い。原発は止められない。緊急に実現さるべきは国家権力に対する司法権による「法の支配」の実現なのである。 

そして極めつけは、今度の一人一票実現運動に関わっている人たちの顔ぶれだ。護憲・人権擁護の立派な弁護士たちは多い。しかし同時に小泉政権を徹底的に支持した新自由主義者たちが顔をそろえて混在している。私が手放しで一票格差是正について懐疑的に見る理由がそこにある。
この大騒ぎが意図された目くらましとは思わない。しかし結果的にこの問題をメディアが大騒ぎし続ける事は、目の前の安倍政権の強引な対米従属政策に対する目くらましにつながる。私はむしろそれを警戒する・・・
 
 

原発新基準の5年間適用猶予は撤回を と


 原子力規制委が原発の新基準の適用で一部の対策に5年の猶予期間を設ける方針であることに対し、市民団体が26日、撤回を求める要請書を規制委事務局に提出しました。

 千代田区で行われた記者会見には、金属材料学の井野博満東大名誉教授や元原発設計技術者の後藤政志氏が出席し、「できることは全てする姿勢が大切」、「猶予期間に事故が起こらない前提に立っている」と、安全よりも電力会社の都合を優先する規制委の姿勢を批判しました。 

 以下に東京新聞の記事を紹介します。

.  井野名誉教授は金属材料学の権威で、玄海原発の原子炉圧力容器内に入れたテストピースの強度を評価するなどして、早くから圧力容器が中性子線による脆化を起こして爆発する危険性を指摘してました。
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「原発新基準対策 5年猶予撤回を」 市民団体、規制委に要望
 東京新聞 2013327 

 原子力規制委員会が原発の新規制基準導入に向け、一部の対策に5年の猶予期間を設ける基本方針を示したことに対し、「原子力規制を監視する市民の会」が26日、撤回を求める要請書を規制委事務局に提出した。
 要請書では「安全のためには何でもするのが規制委の出発点だったはずが、安全よりも電力会社の都合を優先した」と批判。「地震も津波もテロも猶予期間を待ってくれない」と指摘した。

 井野博満東京大名誉教授は同日、都内での会見で「猶予する理由の明確な説明がない。できることは全てする姿勢が大切だ」と強調。元原発設計技術者の後藤政志氏も「猶予期間に事故が起こらない前提に立っている。事故があれば最悪の事態になりかねない」と訴えた。
 基本方針では、第二制御室を備えた「特定安全施設」など、過酷事故対策やテロ対策のバックアップ設備の一部に猶予期間を認めている。
 
 
 

2013年3月26日火曜日

昨年の衆院選は「無効」の判決 戦後初


広島高裁は25日、「1票の格差」が是正されないまま行われた昨年12月の衆院選は無効であるとする判決を下しました。全国の高裁に合計31 選挙区の選挙は無効であると訴えた16件の訴訟のうち、これまで8つの判決が下されましたが、選挙無効の判決は広島高裁だけでした
内訳は「違憲で無効」:1件、「違憲」:5件、「違憲状態」:2件
国政選挙が無効とされるのは戦後初めてで、ここまで踏み込んだのはもはや司法が単に違憲を宣言するだけでは、国会の自浄能力は期待できないと判断したものと思われます。また全ての高裁がこれまでの審判に比べて格段に早く判決を出すべく動いているのは、「判決が出るのが遅くて、是正が間に合わなかった」という国会の言い訳を封じようという司法側の意思によるものと言われます。

 行政側は、違憲判決に対して全て上告の手続きを取るものと見られています。 

26日には東京、大阪、広島、岡山、松江、宮崎、那覇の7か所、さらに27日には秋田高裁や高裁支部で判決が言い渡され、全ての高裁判決が出そろうことになります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
昨年の衆院選「無効」 一票の格差で初
東京新聞 2013326 

 最大二・四三倍の「一票の格差」が是正されずに実施された昨年十二月の衆院選をめぐる全国訴訟の判決で、広島高裁は二十五日、小選挙区の区割りを「違憲」と判断し、広島1、2区の選挙を無効とした。同種訴訟の無効判決は初。ただ、混乱を招かないために無効となるのは、衆院選挙区画定審議会が改定作業を再開してから一年となる今年十一月二十六日を過ぎた時点からとした。
 
 筏津(いかだつ)順子裁判長は判決理由で「選挙権の制約や民主的政治過程のゆがみは重大。最高裁の違憲審査権も軽視されている」と指摘。格差の抜本的な是正に乗り出さなかった国会の怠慢を厳しく指弾した。
 被告の広島県選挙管理委員会は上告するとみられ、無効判決が確定しない限り選出議員は失職しない。一連の訴訟で小選挙区についての判決は八件目で、違憲判断は六件目。最高裁大法廷が他の訴訟と合わせて統一判断を示す見通し。
 二〇〇九年の衆院選について最高裁大法廷は一一年三月、各都道府県にあらかじめ一議席を配分する「一人別枠方式」による最大格差二・三〇倍の区割りを違憲状態と判断。昨年十一月に議員定数を「〇増五減」する緊急是正法が成立したが、昨年十二月の衆院選には適用されず格差は拡大した。
 筏津裁判長は、一一年三月十一日の東日本大震災を考慮し、国会での是正期間が「ある程度長い期間になってもやむを得ない」と理解を示したものの、最高裁判決から一年半という基準を示し「憲法上要求される合理的期間内に是正されなかった」と指摘。「事情判決とするのは相当ではない」と結論付けた。

 一方で「直ちに無効とすると、選挙区の議員が存在しない状態になる」と、一定期間が過ぎた後に選挙を無効とする「将来効判決」を選択。その時期を「十一月二十六日の経過後」とした。

 二つの弁護士グループが全国十四の高裁・高裁支部に提訴した。今回の原告は山口邦明弁護士のグループで、現状の議席の配分は人口分布に比例していないため、三十一都道府県で議員の過不足があり、選挙権の価値に不平等を生じさせたと選挙無効を求めていた。
 これまで五高裁(支部を含む)が「違憲」、二高裁が「違憲状態」と判断したが、いずれも無効請求は棄却していた。
 議員一人当たりの有権者数の最大格差は千葉4区と高知3区の二・四三倍。高知3区に比べ、今回の訴訟の対象となった広島1区は一・五四倍、広島2区は一・九二倍だった。
 

衆院選「無効」判決 「国会全体の責任」
東京新聞 2013326 

 昨年十二月の衆院選を無効とした二十五日の広島高裁判決を受け、与野党からは「国会全体の責任だ」などと自戒の声も上がった。「一票の格差」是正を怠り、衆院解散に踏み切ったことへの批判も出たが、原因は立法府自身にもある。 

 衆院解散時に政権与党だった民主党の細野豪志幹事長は記者会見で「非常に衝撃を受けた。国会全体の責任であり、正当性に厳しい判断が下された」と指摘。「一刻も早く違憲状態を脱することが必要だ。札幌と福岡の高裁判決で(小選挙区の)〇増五減は不十分との判断も下されている」と制度の抜本改革を主張した。

 自民党の石破茂幹事長は記者会見で、格差是正に関し「憲法上の要請で極めて急ぐものだ」と強調。抜本改革を同時に進めるべきだとの意見に対し「セットで議論すると解消が遅れる。全党が責任を持つ認識を持ってほしい」と〇増五減の先行を求めた。

 公明党の山口那津男代表は政治の責任に触れ「結論を出す努力が十分でなかったことは肝に銘じなければならない」と表明。是正論議の進め方は「まずは〇増五減をやり遂げることが重要だ」と石破氏に同調した。

 日本維新の会国会議員団の松野頼久幹事長は「無効判決の可能性がある状態で選挙に突き進んだことを反省しなければいけない」と強調。生活の党の森裕子代表代行は「衆院解散に追い込んだ安倍晋三首相にも責任がある」と指摘し、みんなの党の渡辺喜美代表は「あるべき選挙制度を議論し、やり直し選挙をすべきだ」と夏の参院選との同日選実施を求める考えを示した。

 共産党の市田忠義書記局長は「比例代表中心の制度への抜本的な改正に全力を尽くし、衆院解散で信を問うのが判決に応える」と主張。社民党の又市征治幹事長も比例代表中心の制度か中選挙区制の導入を訴えた。
 
 
 

2013年3月25日月曜日

大阪市の職員アンケートは不当労働行為


 大阪府労働委員会は25日、大阪市の橋下徹市長が昨年2月に実施した組合活動に関する職員アンケートは不当労働行為の支配介入に当たると認定しました。

 このアンケート調査は、弁護士資格を持つ橋下徹市長が、同じく弁護士資格を持ち法科大学院教授の野村修也氏に実務を依頼して行ったもので、なぜ共に法律のプロでありながらこのように憲法に抵触することを・・・と理解に苦しむものでした。
それにしても労働委の裁定も随分と悠長なものです。

アンケート内容に関する参考記事も添付しました。
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職員アンケートは不当労働行為 大阪市に誓約文命令
東京新聞 2013325 

 大阪府労働委員会は25日、大阪市の橋下徹市長が昨年2月に実施した組合活動に関する職員アンケートは労働組合法が禁じる不当労働行為の支配介入に当たると認定。「今後このような行為を繰り返さないようにする」との誓約文を市労働組合連合会(市労連)など組合側に手渡すよう市に命令した。

 アンケートは2011年の市長選をめぐり組合が前市長の支援活動をした疑いがあるとして、橋下市長が業務命令として約3万2千人の職員に実施。正確に回答しない場合は処分対象になると明記した。
 橋下市長は25日「きちんとした第三者機関で判断されたわけで、大変申し訳なく思っている。異議はなく、組合に対し謝罪しなければならない」と述べた。 (共同)
 

参考記事
【主張】 大阪市職員アンケート 異常極まる橋下流思想調査だ
    しんぶん赤旗 2012216

 「大阪維新の会」代表の橋下徹氏が市長の大阪市で、職員の労働組合への参加や政治・選挙活動へのかかわりを調査するアンケート調査が行われており、憲法違反の思想調査そのものだと、労働組合や弁護士、法律家団体などから批判が相次いでいます。
 調査は任意ではなく、「市長の業務命令」で強制されているものです。正確な回答がなければ処分の対象になりうるとまで脅しており、異常極まる調査です。憲法違反の調査は直ちに中止すべきです。

憲法への違反は明らか
 職員アンケート調査は16日までの1週間を調査期間に、大阪市の全職員を対象に行われています。調査項目は22項目にのぼりますが、インターネットを使った回答は答えたくない項目を飛ばせば次に進めず、全項目への回答を強制される徹底ぶりです。
 労働組合について、「活動に参加したことがあるか」「誰に誘われたか」「組合加入にどんなメリットがあるか」「組合にどんな力があると思うか」などの質問は、職員が自由に労働組合に参加し、活動することに介入するものです。
 憲法は労働者が自由に労働組合をつくり、団結して活動することを保障しています。大阪市の職員も例外ではありません。誰に誘われて活動しているのか、どんなメリットがあると思うかなどと質問するのは、職員が労働組合に参加し活動すること自体を妨害することになります。労働組合運動の抑圧は、労働基本権を踏みにじる不当労働行為です。
 「特定の政治家を応援する活動に参加したか」「誰に誘われたか」などの質問は、憲法が保障している思想・信条の自由や、政治活動の自由、選挙活動の自由を侵害します。質問は「職場の関係者から投票を依頼されたことはないか」「いわゆる『紹介カード』を受けとったことはないか」などとまで具体的な回答を求めています。

 公務員はその地位を利用した選挙活動は制限されていますが、個人としての政治活動や、どの候補を支持し誰に投票するのかはまったく自由です。質問は市役所の仕事と関係のない場での活動についても回答させるもので、思想・信条の自由を踏みにじっています。そのうえ「職場で選挙が話題になったことはないか」と聞くのは自由にものもいえない職場を作る狙いとしかいいようがありません。
 橋下市長は職員に「自らの違法行為」について真実を報告すれば、懲戒処分の量定を「軽減」するなどと「自白」を勧めています。こうした形で「自白」や「密告」を奨励すること自体、調査の異常さを浮き彫りにするものです。

市民の信頼取り戻せぬ
 橋下氏は市長就任以来、職員による違法・不適切な政治活動、組合活動を批判してきました。しかし、「市役所ぐるみ選挙」などの異常を正し市政に対する市民の信頼を取り戻すことと、大阪市の全職員を対象に、職員一人ひとりの思想にまで立ち入って調査するのは、何の関係もありません。
 職員が自由にものがいえ、市民全体の「奉仕者」としてのびのびと仕事ができる職場をつくることこそ市民の願いにこたえます。
 異常な調査を続けること自体許されません。職員へのアンケートは直ちに中止し、提出済みの回答も破棄すべきです。
 
 

TPPのISD条項は憲法違反


22日の衆院委員会で、国家の主権を侵害するとされるISD条項による訴訟の実績で、米国が無敗であることが明らかにされました。共産党の佐々木議員は「主権を危うくするもの。TPP参加をやめるしかない」と強調しました。
 
ISD条項に関しては、2月に行われた「TPPを慎重に考える会 勉強会」(衆院第2議員会館)で、講師の岩月浩二弁護士は要旨次のように述べたということです。
ISD条項が適用されると、投資家が直接に国家と交渉することができるようになり、外国投資家が国家を超える存在となる。
ISD条項は日本国憲法第761項(司法権の独立)に、『外国投資家と国・地方公共団体に関する紛争については、司法権は外国投資家の選択による私設国際仲裁裁判所に属する』という但し書きをつけることになり、憲法違反。
憲法違反の協定を結ぶことは誰にもできない。」
                                                http://iwj.co.jp/wj/open/archives/59414
ISD条項の異常性が良く分かります。 

 またTPPにはISD条項の他にも、米国により数々の独善的な条項が盛り込まれています。
「驚愕の不平等条約TPPの毒素条項を解明する~これでもTPPに参加するのか!」 http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=273291&g=123201 にそれらの条項がリストアップされ解説も載っていので、以下に抜粋・要約させていただきます。 

ISD条項
例えば参加国に投資した米国企業が同国の政策変更により損害を被った場合に、世界銀行傘下の国際投資紛争仲裁センター(米国の制御下にある)に提訴できる。

☆ラチェット条項
貿易などの条件を一旦合意したら、後でどのようなことが発生してもその条件は変更できない。一度決めた開放水準は逆戻しできない。(ラチェットとは、一方にしか動かない爪歯車機構

NVC条項Non-Violation Complaint条項)
「非違反提訴」(米韓FTAで新しく登場)。米国企業がある国で期待した利益を得られなかった場合に、相手国がTPPに違反していなくても米国政府が同企業に代わって国際機関に提訴できる。例えば米国の民間医療保険会社が「日本の国民皆保険のせいで売上が伸びない」と米国政府に対し提訴を求めることができる。

☆スナップバック条項
米国が相手国の違反や米国が深刻な影響ありと判断するときは、関税撤廃を反故にできる。(米国にはラチェット条項はかからない

☆米国の最恵国待遇
将来、参加国が他の国に米国よりも条件の良い最恵国待遇を与えたときは、自動的に米国にも付与・適用される。

☆ネガティブリスト方式
「非開放分野」として明記されたもの以外は全てが開放される。

☆規制必要性の立証責任と開放の追加措置
ネガティブリストにうたっても規制の必要性を立証できない場合は、市場開放の追加措置が取られる。例えば「コメ」をネガティブリストに加えていても、その規制の必要性を立証できなければ無条件で開放させられる。(立証の成否は誰が判断? 

以下にしんぶん赤旗の記事を紹介します。
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米国無敗のISD 佐々木氏“主権侵害は明白”
   しんぶん赤旗2013324 

 日本共産党の佐々木憲昭議員は22日の衆院財務金融委員会で、環太平洋連携協定(TPP)に盛り込まれる「企業と国家の紛争解決(ISD)条項」について「国の主権を侵害することは明白だ」と指摘し、交渉に参加しないよう求めました。

 ISD条項は、多国籍企業が進出先の政府から「不当な法律や規制で損害を受けた」とみなした場合、国際的な第三者機関に提訴し、それが認められると進出先の国から賠償を得られる制度です。
 外務省は (1) 第三者機関は仲裁人3人の多数決で決まり、上訴できない (2) 問題とされた制度の必要性は争われず、「不利益」の有無だけが裁定の争点になる  とのべました。

 佐々木氏は、米国がISD条項で訴えられた14件のうち負けたのはゼロ。一方で、カナダとメキシコが提訴された46件のうち30件は米国企業が原告だったことを紹介し、「ISDをいかにアメリカが有利に使ってきたかがわかる」と強調しました。さらに「企業の言い分が認められたら、国民の税金で賠償し、しかも結果的に外国企業の言うとおりの制度にしなければならなくなる。主権侵害の極めて重大な仕組みだ」と指摘しました。

 安倍晋三首相は「日本企業も外国政府を訴えられる仕組みであり、平等な条約だ」と正当化しました。佐々木氏は「主権を危うくするもの。参加をやめるしかない」と強調しました。
 
 

2013年3月24日日曜日

民主党が子どもの貧困対策法案を提出へ


民主党は「子どもの貧困率」の改善に向けた法案を取りまとめ、今の国会に提出することになりました。「子どもの貧困率」:平成21年現在15.7%(過去最悪)を平成33年までに10%未満に改善したいとしています。

民主党政権の時代になぜ注力しなかったのかという思いがしますが、実は公約であった子供手当が満額実施されていれば、「子どもの貧困率」は大幅に改善したのでした。
それが、「財源はどうする」、「バラマキではないか」という野党や官僚それにマスメディアの大合唱のなかで、無理矢理に潰されました。そして政権が交代すると不思議なことに、「財源はどうする」、「バラマキではないか」の声はピタリとなくなったのでした。 

それはともかく、ユニセフの発表によれば日本の子どもの相対的貧困率は、OECD35ヵ国中、9番目に高いということです。1人当たりのGDPが高い先進諸国20国の中では日本は高い方から4番目、日本より子どもの貧困率が高いのは、アメリカ、スペイン、イタリアだけです。(北欧諸国に比べると日本の子どもの貧困率は約3倍です)

これら4ヵ国に共通しているのは、税金や社会保険料などを生活保護、児童手当などに回す機能(政府の再分配機能)が全く不十分で、再分配の前後で貧困率が殆ど変わっていない点です。
その点北欧は勿論ですが、英・仏・独・オーストラリアなどでは再分配が機能していて、貧困率が再分配後には半分乃至それ以下に減じています。

 日本の再分配機能の不全度はギリシャ、イタリアに続いて下から3番目と言われます。
まさに政治の貧困に他なりません。
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民主 子どもの貧困対策法案を提出へ
NHK NEWS web 2013324 

民主党は家庭の所得が少ないために貧困の状態にある子どもの割合を示す「子どもの貧困率」の改善に向けて、国や地方自治体が保護者の職業訓練や子どもに対する無料の学習支援を行うなどとした法案を取りまとめ、今の国会に提出することになりました。
「子どもの貧困率」は家庭の所得が少ないために貧困の状態にある17歳以下の子どもの割合を示したもので、厚生労働省が平成21年に行った調査では過去最悪の15.7%となっています。

こうした状況を受けて、民主党は「子どもの貧困率」の改善に向けて、国や地方自治体の責務などを盛り込んだ法案を取りまとめました。

それによりますと、総理大臣を議長とする対策会議を内閣府に設置し、総合的な対策を講じるための計画を策定するとしたうえで、国や地方自治体は計画に基づいて、保護者の職業訓練の実施や保育所の拡充を進めるほか、子どもに対しては無料の学習支援や奨学金の充実を図るなどとしています。
民主党はこの法案を今の国会に提出することにしており、成立させて対策を講じることで、8年後の平成33年までに「子どもの貧困率」を10%未満に改善したいとしています。