2013年2月14日木曜日

泉田知事が『犯罪行為』と批判 +


 12日、柏崎市と三条市で震災がれきの本格的な受け入れと焼却が始まりました。
 泉田新潟県知事が両市の対応を「犯罪行為」とやゆしたことに対して、柏崎市長は「一体どういう法に触れるのか。災害廃棄物を受け入れている自治体がすべて犯罪者ということになる。」と記者団に怒りをぶちまけたということです。^○^ 

 泉田知事は原発再稼働禁止を求める県民条例の制定への対応では分かりにくい点がありましたが、震災がれきの焼却や浄水場の高汚染汚泥の埋立処理に対しては一貫して反対し、浄水場の汚泥については「東電に引き取ってもらう」として埋立処分を禁じています。(⇒ 東京都の下水処理汚泥からは12,700B/kg5,400Bq/kgなどの放射性セシウムが検出されています) 

 震災がれきの処理に対する知事の立場は、環境大臣宛の平成24年4月6日付けの質問書と同521日付けの再質問書のなかで明瞭にされています。 

    以下に読売新聞産経新聞の記事と泉田知事の再質問書の要約文を紹介します。
 読売新聞15日の記事2番目位置に追加
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知事「犯罪行為」と批判…がれき焼却灰の管理で
読売新聞 2013213

 震災がれきの本格的な受け入れと焼却が12日、新潟県内で初めて柏崎市と三条市で始まった。
 焼却後の灰の管理を巡り、泉田知事は両市の対応を「犯罪行為」とやゆしたが、柏崎市は強く反発した。

 この日、柏崎市と三条市のごみ焼却場に木くずそれぞれ約3トンを載せたコンテナが到着。コンテナ周囲の空間線量が通常の範囲で、木くずの放射線量も基準値以下だったので、一般のごみと混ぜて焼却を行った。

 これに対して泉田知事は「被災地支援に名を借りて放射能管理の基準を緩和することにほかならない。このまま焼却灰をずさんな管理で埋却を進めることは将来の世代への犯罪行為と言わざるを得ない」と両市の対応を痛烈に批判した。

 一方、会田洋・柏崎市長は「一体どういう法に触れるのか。国や全国の災害廃棄物を受け入れている自治体がすべて犯罪者ということになる。知事の発言としては極めて不穏当」と記者団に怒りをぶちまけた。
 両市は、焼却灰などを最終処分場に埋め立てる予定で、灰の放射性物質濃度や木くずの線量などは定期的にホームページで公表する。325日までに柏崎市が111トン、三条市が145トンを受け入れる。 
 

知事、怒り爆発「殺人に近い」…震災がれき焼却
読売新聞 2013215

 新潟県柏崎市と三条市で始まった震災がれきの本格焼却について、泉田裕彦知事は14日の記者会見で、「亡くなる方が出れば傷害致死と言いたいが(放射能の危険性を)分かっていて(埋却を)やったら殺人に近い」と述べ、両市の対応を改めて厳しく批判した。

 12日にも両市の対応を「犯罪行為」とやゆした知事。この日の記者会見では、「未来に対して責任を持てるのか」と怒りを爆発させた。 

 三条市の国定勇人市長が知事の姿勢を「独裁」と批判している点については、「意見を言うなというのか。言論封殺をしろというのか。住民の声を聞かずにどんどん(埋却を)進めることを独裁と言うのではないか」と反論。さらに「国定氏は将来は(新潟に)住まないと考えているのですかね」などと名指しで非難した。


知事、汚染汚泥の集中管理を表明 新潟
 産経新聞 2012年1月18日

 泉田裕彦知事は18日、定例会見で県内各地の浄水場から出た放射性物質を含む汚泥が処分されずに保管されたままになっている問題について、県内に一時的に汚泥などの保管場所を設けて集中管理する方針を明らかにした。

 東京電力福島第1原子力発電所の事故後、新潟市、長岡市など10市の浄水場で河川などの水を濾過(ろか)した後に残る浄水汚泥から放射性セシウムが相次いで検出され、県によると昨年末までに約1万7千トンの汚泥が処分できないまま仮置されている。
 浄水場の保管負担の増大や最終処分先の確保が問題になっていることを踏まえ、泉田知事は「最終的には原発内の放射性物質と同様に東電に引き取ってもらう」とした上で、「放射性物質は人から離して厳格に管理することが必要だ」と述べ、県内に設置する保管場所で県が管理する考えを表明した。
 保管場所や収集時期など具体策については、今後、市町村と協議するが、地元住民の理解が得られるかが課題になる。

 泉田知事はまた、政府が原則40年とした原発の運転期間をめぐり、例外的に20年まで延長を認め最長60年とする方針を示したことについて「専門家に検証してもらう必要がある。再稼働を判断する条件にはならない」と述べた。
 

平成24年5月21日付 泉田知事再質問書

環境大臣 細野 豪志 様
新潟県知事 泉田裕彦 平成24年5月21
(長文のため事務局で要約)
 東日本大震災により生じた災害廃棄物の放射能対策及び広域処理の必要性に関する再質問について 

平成24年4月6日付質問に対しての平成24年5月10日付の回答は従来の説明の域を超えない内容であり、県としては受入れを決められる状況に至っていない。震災がれきの放射能対策と広域処理の必要性に関し再質問します。 

1 放射性物質に関する国の認識について
 原発施設から排出される低レベル放射性廃棄物(100Bq/kg)は、ドラム缶等に封じ込め、唯一の放射性廃棄物最終処分場において処分し、やむなく環境中への放射性物質を放出する場合は、厳格な基準を満たすことを確認するために排ガス等を常時監視するとされている。またその埋設にあたっては、放射性物質をセメント、アスファルト等で固化し埋立総量も上限を定め、周辺の放射線モニタリングを徹底し行うことが定められている。

(1) 震災後制定された法令により、市町村の廃棄物処理施設で放射性廃棄物の焼却や埋設等の処分を可能とし、排ガス、排出水中の放射性物質濃度を常時監視しないなどと震災以前の規制を緩めたことは、環境への放射性廃棄物の漏洩・拡散のリスクが高まってもよいという考え方なのか。

(2) ICRPは低線量・低線量率の発がん確率について「線量反応関係には真のしきい値を想定しうる十分な証拠はない」しているが、国がその考えを維持しているのであればその根拠を示されたい。

(3) 放射性物質を扱う専門組織及び専門職員が存在しない市町村に、放射性物質の管理をさせることは妥当なのか。環境省は、市町村が行う放射性物質の管理に係る予算措置や職員の教育訓練を実施しないのか。

(4) 震災後制定された法令では、放射性廃棄物を含む焼却灰等を市町村最終処分場で埋立可能とする濃度を8,000Bq/kg以下とし、濃度規制だけで放射性物質の総量を規制しない理由を示されたい。

(5) 震災がれきの処分方針を決定する「災害廃棄物安全評価検討会」を非公開とした理由は何か。

2 放射能対策についての技術的問題について

(1) 最終処分場の排出水中の放射性物質をゼオライトで除去するとしたのは、国が示した処理基準では完全に放射性物質を封じ込めることができないという意味か。

(2) ゼオライトの設置が事故の発生を想定したものであれば、法令や基準にその設置や措置方法を規定しない理由は何か。

(3) ベントナイトによる雨水の浸透の防止能力の科学的検証を示されたい。

(4) 土壌層による放射性セシウムの吸着能力の科学的検証を示されたい。

(5) 大雨により処分場が冠水した場合の安全性の検証について示されたい。

(6) 浸出水が漏洩した場合、周辺環境への影響の把握など恒久的な対応方法をどうすべきか国の考え方を示されたい。

(7) 環境省の資料では、「排ガスは冷やされて主に塩化セシウムとして固体状になり、ばいじんに凝集したり吸着する」とあるが市町村の廃棄物処理施設で焼却した場合、燃焼ガス中のセシウムは何%が塩化セシウムになるのか、また、ガス化するセシウムはないのか、科学的検証を示されたい。

(8) 震災がれきを焼却している施設では、「排ガス中のダスト」中のセシウム量をもって排ガス中の放射性セシウム量としているが、ガス化している放射性セシウムがある場合は正確な測定でない。これに対する科学的検証を示されたい。

(9) 静岡県島田市の震災がれきの試験焼却の結果では、放射性セシウムの物質収支において4割の放射性セシウムが所在不明となっているが、その理由を示されたい。

3 放射能対策についての管理面の問題について

(1) 震災以前は厳格に国が規制していた放射性廃棄物の処分を、処分の経験がなく放射能に関する専門職員及び組織を持たない市町村に委ねることは、放射性物質の漏洩によるリスクを高め、本来国が負うべき責任を市町村に転嫁しているように見えるが、トラブルが生じた場合、国はどのような具体的な責任をとるのか。

(2) 青森県六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センターでは、管理期間を概ね300年と見込んでいる。市町村の一般廃棄物最終処分場で封じ込む期間や封じ込めのレベルをどの程度と見込んでいるのか。

 また、市町村最終処分場の埋立期間は概ね15年とされているが、その期間を超えた後、どのようにして管理するつもりか。

(3) 群馬県伊勢崎市や千葉県市原市の廃棄物処理会社の排水から、国が示した排水基準を超える放射性セシウムが検出されるなど、実際に放射能の漏洩等、現に管理できていない事例が見られる

 放射性物質の取り扱いの経験のない多数の事業主体が、なぜ厳格に管理できると考えているのか、本来、国で一元的に管理すべきではないか。

4 「がれき処理の全体計画の明示」について

(1) 5月10日付けの回答によれば、岩手、宮城両県の災害廃棄物の発生量、処理量等や広域処理の必要量は依然未確定である。それらを明らかにした上で、改めて4月6日提出の質問に回答いただきたい。

(2) 今回回答いただいた参考資料及び環境省ホームページ等を基に推計すると、平成263月末における地元未焼却量の推計は98.4万トンとなり、これは平成263月末から岩手県では2か月弱、宮城県では7か月弱で焼却処理が終わる量である。一方、既に162万トンの広域処理が現実的なものとなりつつあるとのことなので、これ以上の広域処理は不要ではないか

(3) 仮設焼却炉を岩手県で2基、宮城県で29基、合計31基が稼働中又は設置予定であるとのことだが、これらによって全ての災害廃棄物を本当に域内処理できないのか、改めて明確な根拠を示されたい。

(4) 今回回答いただいた参考資料では、宮城県で災害廃棄物を処理する焼却炉に既存の焼却炉がないが、なぜ既存の焼却炉も活用しないのか。地元で埋立の反対運動があったことが原因なのか。

(5) 仙台市では地域内の処理が進み、他地域の災害廃棄物についても10万トンの処理を引き受ける一方、来年12月までには焼却処理を終了するとのことである。

 国は、被災地の災害廃棄物処理を全体的に見通しつつ、被災地域間の災害廃棄物処理の進捗の違いを調整して、できるだけ域内処理できるよう調整すべきと考えるが、現在どのような調整を行っているか。

(6) 阪神淡路大震災においては、仮設焼却炉は発災後約3か月後には設置され始めたが、今回仮設焼却炉の大半の設置が約1年後以降と著しく遅れているのはなぜか。

(7) 阪神淡路大震災では、兵庫県内において、可燃物の23%程度が埋立処理がされたが、なぜ、放射性物質の濃縮の危険がある東日本大震災の可燃物の埋立処理を行わないのか。

(8) このように、広域処理の必要性が明確でない中では、むしろ広域処理により生じる多額の国家予算を、被災地支援に有効利用すべきではないか。

(例)岩手県のホームページによれば宮古地区広域行政組合の処理単価が1トン当たり16,300なのに対し、財団法人東京都環境整備公社の広域処理単価(運搬費含む)は1トン当たり59,000となっている。広域処理引受量162万トンで差額を算出すると、約700億円となる。)

(9) (省略)