2013年2月1日金曜日

中国の大気汚染が深刻化


中国で大気汚染が深刻化し、北京市では1月に入り霧が掛らなかった日は5日しかなく、深い霧だと50メートル先も見えにくい状態だということです。そして霧に含まれる有害物質の微粒子により、呼吸疾患(ぜんそく)などで病院を訪れる児童や老人が増えているそうです。
中国では工場排水による河川や近海の汚染が早くから指摘されていましたが、大気の汚染も相当に進んでいるようです。
北京市政府は29日、取り敢えず各機関に対し公用車の3割の運転を停止をするよう要求し、排気源となっている103の企業に操業を停止するよう通知したということですが、そんなことでは勿論恒久的な解決にはなりません。 

日本でもかつて高度経済成長時代に入った時期に、四日市石油化学コンビナートでの四日市ぜんそく、神岡鉱山廃液(カドミニウム含有)で汚染された河川水を農業用水に使った富山県でのイタイイタイ病、新日本窒素(熊本)や昭和電工(新潟)の有機水銀排水による水俣病などで多くの公害病患者が生み出されましたが、その後すぐに水質汚濁防止法、大気汚染防止法、騒音防止法などを制定して各工場に公害防止施設を作らせて、健康的な環境に戻すことに成功しました。
四大公害と呼ばれ、四大公害裁判が起こされました

 日本にはそうした痛い経験と排ガス・排水処理の技術・ノウハウがあるので、本来であれば“いまこそ出番”の筈なのですが、現在の日中関係を見るとそれは望むべくもないようです。
 霧を発生させている微粒子は黄砂(黄塵)と同様 当然日本にも飛来するので、その意味でも日本と無関係ではないのですが、残念なことです。 

    以下にしんぶん赤旗の記事を紹介します。
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中国 大気汚染が深刻化 
北京、霧なし1 5日間 呼吸疾患など健康に影響
しんぶん赤旗 2013131 

 【北京=小林拓也】 中国で今年1月から有害物質を含んだ濃霧による大気汚染が深刻化しています。北京市は27日から深い霧に包まれ、50メートル先も見えにくく、昼間でも薄暗い状態です。
 道を歩く市民の半数近くがマスクを着用。商店では在庫切れになるほどマスクが売れているといいます。人体に有害な直径25マイクロメートル以下の微小粒子状物質「PM25」を防ぐマスクもインターネット上などで売り出されています。

 北京市気象台によると、北京市で1月に霧がなかった日はわずか5日間。この時期としては1954年以降で最悪だといいます。
 濃霧は北京、天津、山東省、河南省、江蘇省など広範囲に拡大。各地で高速道路の通行止めや飛行機の欠航が相次ぎ、春節(旧正月、210日)で帰省する人たちにも影響が出ています。

 30日付の中国紙・京華時報は、今月に入り呼吸疾患などで病院を訪れる児童や老人が増えていると報道。北京市政府は29日、濃霧健康警報を初めて発令し、大気汚染がぜんそくなどを引き起こすため、外出を控えることや外出する際にはマスクを着けるよう市民に呼びかけました。
 深刻な大気汚染を受け、温家宝首相は29日の会議で「最近の濃霧が人々の生活や健康に影響を与えている。有効な措置をとり、産業構造の調整を早急に進め、人民が希望がもてる行動をとらなければならない」と訴えました。

 北京市政府は29日、各機関に対し、公用車の3割の運転を停止をするよう要求。汚染物質排出源となっている103の企業に操業を停止するよう通知しました。さらに、バスや地下鉄などの運行数を増やし、公共交通機関を強化する方向も打ち出しました。
 また春節を控え、年越しに大規模に行われる爆竹や花火で大気汚染が深刻化する懸念があり、禁止すべきだとの意見がネット上で広がっています。