2013年1月4日金曜日

安倍首相は「日本の歴史を否定するのか」とN.Y.Timesが


 自民党の勝利に高揚した安倍首相が早速「原発ゼロ志向」を否定しても、村山談話・河野談話の見直し等に言及しても日本のマスメディアが沈黙を守っているなか、ニューヨーク・タイムズが3日、「日本の歴史を否定する新たな試み」と題する社説を掲げ、安倍首相が従軍慰安婦問題を含む過去の侵略に対する日本政府の謝罪を見直す考えを示唆したことを厳しく批判しました。 

 安倍氏は5年前の首相時代にも「慰安婦の強制連行を直接示す資料は見つかっていない」ことを強調し、それに呼応する形で当時(2007年)日本の政治家・学者など44人が『ワシントン・ポスト』紙に、「日本軍によって強制されたことを示す歴史的な文書は発見されていない」旨の広告を出しましたが、それはアメリカ人に大いなる違和感や反感を与えました1
また橋下 維新の会共同代表も昨年全く同様の発言をして、「アジア女性資料センター」などから手厳しい批判を受けましたが、同氏からの反論や弁明はなかったようです2
1 2012921日付 「憲法時評 『日米同盟と慰安婦問題』 の紹介」
 2 201297日付 「『アジア女性資料センター』が橋下市長の慰安婦問題発言を批判」
 そもそもそうした資料が現存しないことは(いくつかの理由で)あり得ることであるし、従軍慰安婦が軍によってどのように非人道的な管理をされて「女性の尊厳と人権」を踏みにじられたのかを思えば、「連行の強制性の有無」などは重要ではないことも、識者間では一致しています。 
安倍首相(や橋下氏)には、せめて「アジア女性資料センター」などの説くところを学んで、早く低次元・管見の隘路から脱して欲しいものです。 

 以下に時事通信の記事を紹介します。
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歴史否定の「重大な過ち」=安倍首相を批判-米紙社説
時事通信 201314 

 【ニューヨーク時事】米紙ニューヨーク・タイムズは3日、安倍晋三首相が12月31日付産経新聞に掲載されたインタビューで、従軍慰安婦問題を含む過去の侵略に対する日本政府の謝罪を見直す考えを示唆したとして、首相を厳しく批判する社説を掲げた。

 「日本の歴史を否定する新たな試み」と題する社説は、首相が1995年の村山富市首相談話に代わる新たな談話を出す意向を示したことや、慰安婦の強制連行を直接示す資料は見つかっていないと述べたことをとらえ、「韓国との緊張を激化させ、協力を一層困難にさせるという重大な過ちで政権をスタートさせたいらしい」と指摘した。

 また「安倍氏はかねて戦争の歴史を書き換える願望を隠していない。戦争犯罪の否定は韓国、中国、フィリピンを激怒させるだろう」と批判し、こうした安倍氏の「恥ずべき衝動」は北朝鮮の核開発などの問題について地域の協力を脅かす恐れがあると懸念を示した。