2013年1月6日日曜日

日本版NSCや集団的自衛権の解釈改憲が・・・

 安倍首相は、外交・安全保障関連の3つの課題として次の事項を挙げています。
(1)国家安全保障会議(日本版NSC)の創設 (2)集団的自衛権の行使を禁じた憲法解釈の見直し (3)政府の歴史認識に関する新たな首相談話
具体的にはそれぞれについて有識者会議を立ち上げて、その答申をまって実現しようとするわけですが、その中でも「日本版NSCの創設」を最優先にするということです。NSCと集団的自衛権は第1次安倍内閣以来の再挑戦となります。 

 安全保障会議(198671日制定)は既にあるのですが、現行では首相が必要と認めるときに、議案を限って関係国務大臣を議員にして審議するというスタイルであるため、まず審議事項を国家安全保障に関する事項に拡充し、専門会議と常設の事務局を置き、中長期的な国家戦略の立案機能を首相官邸に持たせようとすると言われています。
国家安全保障会議担当の首相補佐官に予定されている礒崎陽輔氏は、旧自治省、総務省の役人を経験したのち参院議員になったひとで、昨年、民党がまとめた「憲法改正草案」起草委員会の事務局長をつとめました。 

 有識者会議というと、いかにもフリーな専門家によって適正な判断が下されるかのようなイメージがありますが、人選を行うのは政府なのでその望む方向の結論に落ち着くのはミエミエであり、それらは単なる隠れ蓑に過ぎません。現に、「集団的自衛権についての憲法解釈の見直し」の有識者会議のメンバーは、第1次安倍内閣時に任命されて「攻撃された米軍艦船の防護など4類型の憲法解釈変更」を提言した懇談会の人たちを中心に指名すると言われています。 

 第1次安倍内閣のときには途中で首相を辞任したために、「集団的自衛権についての解釈改憲」などは成立しませんでしたが、今度は実現する惧れが大いにあります。 

 以下に毎日新聞の記事を紹介します。
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安倍首相:再挑戦、日本版NSC 最も急ぐ構え
毎日新聞 20130105 

 安倍晋三首相が有識者会議に検討を求める3課題のうち、最も急ぐ構えを見せているのが国家安全保障会議(日本版NSC)の創設だ。第1次安倍内閣時に法案を提出した経緯に加え、「外交・安全保障強化」であれば公明党の理解を得やすいためだ。国家安全保障強化担当相を兼務する菅義偉官房長官は4日のインタビューで、第2次内閣の優先課題として経済、復興を挙げて「安全保障・外交を同時に進めなければならない」と強調した。 

 日本版NSC構想が手本とするのは米国の国家安全保障会議(NSC)だ。安全保障政策について大統領に助言し、各省庁の政策調整も担う機関で、大統領のほか、副大統領、国務長官、国防長官らで構成される。

 074月に閣議決定された日本版の設置法案は首相(議長)、外相、防衛相、官房長官らが中核になる点で現行の安全保障会議と変わらない。中長期的な国家戦略の立案機能を首相官邸に持たせようとしたが、同年7月の参院選をにらんで法案化を急いだため、安保会議の小幅改編にとどまり、9月の退陣後を継いだ福田内閣のもとで廃案になった。 

 今夏も参院選が予定され、安倍首相はその前の通常国会に法案を再提出する意欲ものぞかせるが、菅氏は「有識者懇談会の進み具合(を見る)。そんなに時間をかけるべきではないとも思っている」と述べるにとどめている。政府内には、尖閣諸島を巡る対中政策などで「政府全体の戦略がないと各役所は対応しにくい」(防衛省幹部)と日本版NSCへの期待がある半面、「関係閣僚会議とさほど変わらない」(政府高官)との慎重意見も根強い。 

 米NSCの運営は国家安全保障問題担当の大統領補佐官が主導しており、安倍首相は国家安全保障会議担当の首相補佐官に礒崎陽輔参院議員を起用。礒崎氏は総務官僚出身で、安全保障担当の内閣参事官を務めた経験もあり、「日本版NSCの法案練り直しを担う」(政府関係者)という。【朝日弘行】