2012年11月30日金曜日

電気が止められ介護の老母が病死し障害者の娘は凍死


 電気が止められた家で80歳の老母が心臓を悪くして死亡し、その翌日障害を持つ54歳の娘さんが凍死しました。45歳の長男は入院中でした。
 JDPが世界第3位の日本でも、貧しくて電気料金が払えなければ有無を言わさずに電気を止めてしまう現実があるわけです。

政治を預る野田首相と三井厚労相は一体どういう見解なのでしょうか。
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電気なく、介護母と障害の娘死亡 石川・志賀町
東京新聞 20121130 

 石川県志賀町の民家で、無職の女性(80)と障害のある長女(54)が死亡していたことが30日、石川県警羽咋署への取材で分かった。外傷や部屋が荒らされた様子はなく、同署は在宅で介護をしていた母親が周囲に気付かれないまま病死し、残された娘もその後死亡したとみている。

 同署によると、20日に死亡しているのが見つかり、司法解剖の結果、女性は18日ごろに心臓の病気で、長女は19日ごろに低体温症で死亡したとみられる。

 女性と長女は長男(45)と3人暮らしだったが、長男は入院していた。料金の滞納により電気が止められており、発見時にはセーターなどを着込んでいたという。 (共同)
 
 
 

大新聞やテレビの報道は国民に信頼されていない


新聞通信調査会が毎年行っている全国世論調査で、NHKや新聞は70%の人たちがまた民放は40%の人たちが「信頼」しておらず、原発報道でも40%の人たちが「事実を正確に伝えていない」と感じ、政治報道では75%の人たちが「公平でない」と思っていることが分かりました。
08年の調査開始以来「信頼度」が最も低くなったということです。 

 大手メディアは福島原発の異常が伝えられるやいち早く福島から退避して、自分たちは支店や支所を空家にしておきながら、福島県民に対しては東電や政府が強調する「爆発の危険はない」「原発は安全」「放射能は怖くない」のニュースを垂れ流しました。
まさに戦前の大本営発表の報道機関がそのまま復活したのですから、当然の評価と言えます。 

 今回の選挙に於いてもマスメディアは一致結束して、国外からは「右派」「極右」と評価されてい「維新の会」を第3極だと祭り上げましたが、本当に不可解なことでした。ここに来てやっと真の第3極が登場したようですから、目論見の外れたメディアがこれからどう対応するのか、どう新しい動きを否定し「けなそう」とするのか見ものです。 

 以下に日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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誰も信じていない大新聞 テレビ報道
日刊ゲンダイ20121127

34割が疑っている」も納得

大マスコミは真っ青になっているのではないか。公益財団法人「新聞通信調査会」が毎年行っている全国世論調査で、新聞やテレビの調査は今年9月、全国の18歳以上の男女5000人を対象に実施し、うち、3404人から回答を得た。それによると、各メディアの信頼度は、100点満点中、NHKが「70.1」、新聞が「689」、民放が「60.3」で、昨年度の調査結果より4.23.5点も下落した。裏を返せば、回答者の34割が新聞テレビを「信頼していない」という意思表示だから、深刻な状況である。 

特に不信感が強いのは新聞の「原発報道」だ。「政府や官公庁、電力会社が発表した情報をそのまま報道していた」と感じた回答者は63.1%にも達し、「事実が正確に報道されていた」(57%)を上回った。昨年3月の原発事故後の政府、東電発表の「タレ流し」報道を国民はとっくに見抜いていたというわけだ。

新聞の「政治報道」に対しても冷ややかだ。「主張の異なる政党の主張を公平に扱っている」(255%)、「政治家と適切な距離を保っている」(245%の回答がそろって2割台と低迷。表向きは「不偏不党」を装いつつ、恣意的な報道を流す新聞のイカサマに国民は辟易しているのだ。 

ジャーナリズム研究の第一人者である桂敬一氏(元東大教授)はこう言う。
「昨年3月の福島原発事故がメディア不信が広がる転換点となったのは間違いありません。事故に至った経緯を振り返った時、多くの人は、そこに政府、東電だけじゃなく、メディアも一枚噛んでいたことに気付いた。そこで、よく考えてみると、消費増税や社会保障をめぐる報道でも、政府に同調するだけで、深刻な影響を受ける若者らの声に耳を傾けようとしない無責任な姿勢が分かった。衆院選でもメディアは『第三極』と大騒ぎするだけ。マトモな人ほど白けるわけです」
信頼されていない新聞テレビの世論調査がいかにアテにならないか、よ~く分かるというものだ。
 
 

 

大飯原発の運転差し止め求め 29日に京都地裁に提訴


 昨日の記事「大飯原発運転差し止め訴訟を30日に提訴」でお知らせした福井地裁への提訴に先だって、京都や大阪など17都府県の住民約1100人が29日、関西電力大飯原発の運転差し止めや損害賠償を求めて京都地裁に提訴しました。
大飯原発は直近や地下に断層があって危険であり、原発は国民の安全や平和に暮らす権利に重大な脅威を与えていると主張しています。 

 以下に東京新聞の記事を紹介します。
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大飯原発の運転差し止め求め提訴 1100人が京都地裁に
東京新聞 20121129 

 原発で事故が起きれば、取り返しのつかない被害が生じるとして、京都や大阪など17都府県の住民約1100人が29日、関西電力大飯原発1~4号機(福井県おおい町)の運転差し止めや損害賠償を関電や国に求め、京都地裁に提訴した。 

 訴状では、東京電力福島第1原発の事故によって、過酷な事故が起これば、甚大な損害が発生することが明らかになったと指摘。大飯原発の直近や地下には断層があり、原子炉が地盤の隆起などで破壊される可能性があると訴えた。
 その上で、原発は安全や平和に暮らす権利に重大な脅威を与えていると主張。 (共同)
 
 
 

2012年11月29日木曜日

大飯原発運転差し止め訴訟を30日に提訴


大飯原発(34号機)は、夏場の電力需要ピークを凌ぐために必要だとして、野田首相の意味不明な安全保障のもとに再稼働しました。
しかし需要ピークが過ぎたいまも、敷地内に活断層があるという疑いを背負ったままで稼働しています。活断層の追加調査を正確に行うためにも、原子力規制委は大飯原発を停止させるべきだという声は、各所で上がっています。 

そうしたところ、大飯原発の運転差し止めを求める訴訟が、30日に福井地裁に出されることが分かりました。
①専門家同士で評価が分かれているF-6断層を、これから運転しながら調査するのではなく、直ちに運転を停止して行うべきだ ②大飯原発の稼働がないままでも夏場のピーク電力が賄えた ③大地震の際には制御棒の挿入が遅れるので危険だ (原子炉の核反応が直ぐに停止できない) 等を運転差し止め理由の骨子として、人格権と環境権を差し止め請求の法的根拠としているということです。 

これに関連する以下の3つの記事を紹介します。
福井新聞「原告団、訴状で活断層可能性主張 大飯原発運転差し止め、30日提訴」
毎日新聞「社説 大飯原発の断層 運転止めて調査が筋だ」
福井新聞「『専門家いない活断層調査は問題』 原子力規制委調査団の渡辺教授」
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原告団、訴状で活断層可能性主張 大飯原発運転差し止め、30日提訴
福井新聞 20121128

 30日に福井地裁に提訴する関西電力大飯原発34号機(福井県おおい町)の運転差し止め訴訟で、原告団は27日、訴状の内容を明らかにした。同原発敷地内を走る「F-6断層(破砕帯)」が活断層の可能性があると主張。大飯原発を再稼働させなくても電力は足りるとし、運転すべきではないと訴えている。 

 訴状でF-6断層は、原子力規制委員会が活断層かどうかを調査している段階とし「専門家同士で評価が分かれている。運転しながら調査するのではなく、直ちに運転を停止すべきだ」と指摘している。
 国の「安全審査の手引き」は、原子炉建屋など重要施設を活断層上に設置することを認めていないことから「活断層が疑われる場所に原発を建設することは許されない」と強調した。 

 電力需給の観点では、今夏で最も需要が多かった83日の最大需要は2682万キロワットで、ピーク時供給量の2999万キロワットを大きく下回ったことに着目。その差の317万キロワットは34号機の合計出力236万キロワットを上回っていたことや、関西電力と同じ60ヘルツで電力を融通しやすい中部電力以西の電力5社の供給余力は合計約670万キロワットあったことなどから、再稼働させる必要はないとした。 

 核分裂反応を抑えるための制御棒の挿入にかかる時間も問題視した。同原発では、周辺にある3つの断層が連動する地震の危険性を考慮しなければならないと指摘。この場合、振動が激しくなり制御棒の挿入にかかる時間は評価基準値を大幅に超えることが明らかで、重大事故につながると主張している。 

 訴訟では県内を中心に約120人が原告団に加わり、人格権と環境権を差し止め請求権の法的根拠としている。
 原発差し止め訴訟の福井地裁への提訴は、1985年の高速増殖炉「もんじゅ」差し止め訴訟以来となる。
 

【社説】 大飯原発の断層 運転止めて調査が筋だ
毎日新聞 20121125

 敷地内に活断層はあるのか、ないのか。白黒の決着がつかないまま、関西電力大飯原発34号機(福井県)の稼働が続いている。
 原子力規制委員会は、関電に追加調査を指示し、その結果を踏まえて稼働の是非を判断する方針だが、活断層が動くことがあれば重大な事故につながりかねない。追加調査を進めるとしても、運転を止めてから行うのが筋だろう。規制委は稼働停止を関電に要請すべきだ。 

 島崎邦彦・委員長代理と関係学会から推薦された専門家4人で作る規制委の調査団は今月上旬、現地調査を行い、2度の評価会合を開いた。
 現地調査では、敷地北端の調査溝(トレンチ)から地層のずれが見つかった。関電は地滑りが原因だと主張した。調査団も、活断層なのか地滑りなのかで意見が分かれたが、活断層の可能性を否定する専門家はいなかった。現行の原発耐震設計審査指針が「活断層」とする「12万13万年前以降」に動いた点については意見が一致した。現時点では「ずれ」が活断層である疑いは否定できないことになる。 

 だが、規制委の田中俊一委員長は「何の根拠もなしにこういったものを簡単に判断できるほど世の中は甘くはない」と語り、全国で唯一稼働中の大飯原発の停止を、直ちに求めることを否定した。調査前に田中委員長は「濃いグレーの場合もそれなりの判断をする」と話していたが、どの段階から濃いグレーになるのかもはっきりしない。規制委との意見交換会に出席した有識者から、停止を求める声が出たのは当然だ。 

 そもそも大飯原発3、4号機は、政府が暫定的にまとめた安全基準に従って7月に再稼働された。事故時の対策拠点となる免震棟建設など時間がかかる対策は後回しで、地域防災計画の見直しもできていない。活断層の現地調査も、本来なら再稼働前に実施すべきだった。 

 東日本大震災をきっかけとした原発周辺の断層再評価作業の過程で、活断層が見逃されていた可能性のある原発が相次いで浮上している。規制委は福井県の日本原子力発電敦賀原発など5施設も現地調査する。見逃しの背景に、電力会社と規制当局のもたれ合いがなかったかも、あわせて検証を進める必要がある。 

 島崎委員長代理は大飯原発の追加調査について「データがきちんとそろえば一致した結論に至る」と言うが、他の原発の調査を含め、活断層の存在が否定できないケースも出て来るはずだ。その際に、最優先されなければならないのが、国民の安全だ。規制委は、「グレー」判定にとどまる原発に対しても、稼働停止や廃炉を求めていくべきである。
 

「専門家いない活断層調査は問題」 原子力規制委調査団の渡辺教授
福井新聞 20121125

 関西電力大飯原発(福井県おおい町)の敷地内断層(破砕帯)に関する原子力規制委員会調査団メンバーの渡辺満久・東洋大教授(変動地形学)が24日、福井県敦賀市福祉総合センターで講演した。敦賀半島の活断層と原発敷地内断層の関連などについて話した。
 市民団体が中心となって組織した実行委員会が開催。市民ら約200人が参加した。 

 渡辺教授は「若狭湾の原子力発電所と活断層」と題して講演。過去の原発敷地内の活断層調査に変動地形学の専門家が加わっていなかったことが大きな問題とし「事業者の調査方法、国の審査は不適切だ」と述べた。

 渡辺教授は、1212日に日本原電敦賀原発敷地内で行われる破砕帯の現地調査団メンバーではないが、専門家による詳細な調査の必要性を訴えた。
 
 

2012年11月28日水曜日

城南総合研究所 脱原発への強力な援軍に +


 原発がなくても電力不足にならないことなどを情報発信していくシンクタンク「城南総合研究所」が今月設立されました。

経団連や電力会社、あるいは電力会社(の広告費)に頭の上がらないマスメディアが盛んに、「原発を動かさないと日本経済は大変なことになる」と主張していますが、本当にそうなのか、「原発やむなし」と考えている人たちを理詰めで説得するデータが、これからどんどん発信されるということです。 

たとえば私たちは火力発電の燃料の大半が「石油」だと思いがちですが、石油の占める比率は火力発電の僅か15 に過ぎません。他は、石炭40%、天然ガス(LNG)が40%、その他が5%です。石油=原油が高価であることを宣伝する一方で、この事実は殆ど語られません。
  第二次石油危機後の1980年代に、多くの発電所で重油ボイラーを微粉炭ボイラー(石炭を粉にして吹き込む方式)に改造し、燃料を値段の安い石炭や天然ガスに切り替えました。

因みにそのコストは2008年時点で、1kcalあたり原油は75円弱に対して石炭は12円です。天然ガス(LNG)も石油よりもかなり安く購入していますが、それでも米国の6倍かそれ以上の価格だと言われています。 

また現行の原発の発電コストには、廃燃料の処理費が含まれていませんし、電気代に電源開発促進税の名目で含まれている年間4000億円の金額(これらは原発地域への交付金など、殆ど原発関係に使われます)なども含まれていません。
勿論、結局は国民が負担することになる今回の原発災害関係費数十兆円も含まれていません。
ですから原発の発電コストが安いというのはウソです(単に手持ちの核燃料を使う限りは当面燃料の出費がないということ)。
実際にアメリカで最近発電所が売りに出されたそうですが、原発に関しては割高なので買い手がつかなかったということです。 

いずれにしても今後電力事情や原発に関しての正確な情報が得られるのは、脱原発を進めていく上で大変に心強いことです。

    以下に東京新聞の記事を紹介します。
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シンクタンク新設 城南信金 「理詰めで原発ゼロ」
東京新聞 20121128 

 原発がなくても電力不足にならないことなどを情報発信していくシンクタンク「城南総合研究所」を今月新設した城南信用金庫(本店・東京都品川区)。
吉原毅理事長は、本紙のインタビューで「原発に関する正確な情報を行き渡らせるためには、独自のシンクタンクを立ち上げるしかなかった」と意義を説いた。 

 経済団体や電力会社が、原発を動かさないと日本経済は大変なことになる-と主張していることに対し、吉原氏は「『原発やむなし』と考えている人たちを理詰めで説得するため、データや事実で勝負したい」と述べた。

 活動の第一弾として「事故が再び起こる前に原発を廃炉にすることが、経済的にも正しい」とするリポートを発表。
 大学教授ら専門家の研究成果を足がかりに、原発を稼働し続けると、かえって電気料金は大幅に上がるはず、といった試算を示している。


より詳しい記事を追加

「原発やむなし」 目覚まして 
 東京新聞 [3.11後を生きる]  20121128 

 「原発に頼らない安心できる社会」を目指す方針を掲げる城南信用金庫が今月スタートさせたのが「城南総合研究所」。原発がなくても経済や社会は成り立つという専門家の分析を、分かりやすく情報発信していくのが狙いだ。旗振り役の吉原毅理事長は「原発やむなしと考えている自称『現実主義者』に目を覚ましてもらいたい」と訴える。(白石亘)  

◆「お金中心に考えすぎ」 

原発を動かさないと、電力不足になって停電が起きる─。こうした情報が盛んに流される中、電力不足が懸念された夏場を乗り切ったのは周知の通り。 

幼い子を持つ母親らは、放射能の被害など安全面からも原発の恐ろしさを痛感している。それでも各種の世論調査を見ると、経済的な理由などから「原発はやはり必要」と考える人たちが一定程度、存在するのも事実だ。 

 彼らに脱原発を思いとどまらせているのは、原発を止めると、電力が足りなくなったり、電気代が大幅に上がってしまうという「二つの懸念」というのが吉原氏の見立てだ。原発に関する正確な情報が行き届いていないとみる。 

 城南信金は原発事故を受け、昨年4月に脱原発を宣言。以来、専門家と意見交換を重ね、蓄積してきた知識をベースに、シンクタンクを設立した。主に原発のコストと電力不足をテーマに、専門家によるさまざまな切り口での分析を分かりやすい言葉で世の中に広げる「媒体」を目指す。 

 シンクタンク業務を手掛けるのは、城南信金企画部の担当者11人で、専門家に取材した結果をリポートにまとめる。第一弾のリポート(A44枚)は1万部作製し、店頭で預金者や取引先の中小企業などに配っている。 

 シンクタンクの「理論的な支柱」となる名誉所長には、加藤寛・慶応義塾大学名誉教授を迎えた。歴代の自民党政権下で経済政策のブレーンを務め、旧国鉄の分割民営化などに取り組んだ著名な経済学者。吉原氏は学生時代、慶大の加藤ゼミで学んだ門下生で、加藤氏は就任を快諾したという。 

 脱原発を宣言してから、休みも返上して講演会などに飛び回る吉原氏。志に賛同した取引先の中小企業が節電商品を開発して売り出すなど、活動の輪は着実に広がっている。 

 意外な応援団もいる。本紙が研究所の設立を報じた今月9日、城南信金本店に小泉純一郎元首相から電話が入った。「よくやった、と激励されました」と吉原氏。元首相は4月に城南信金が開いた講演会でも「原発を推進していくのは無理。原発の依存度を下げていくのが、これから取るべき方針」と訴えたという。 

一方で、「原発ゼロは非現実的」と言う人たちから、「会社に損失が生じるから、原発を止めるわけにはいかない」「電気代が上がると、生活が苦しくなる」との本音を聞くにつけ、「お金や自分のことばかり考えているのが現代社会の病理」と痛感するという。 

「みんな自分のことで精いっぱいなのは分かる。だけど、お金を中心にモノを考えすぎて、地域やお客さんの幸せを切り捨ててしまっていいのか。今こそ社会の連帯を取り戻し、間違ったことはやめるのが大人の責任だ」 
 

◆脱原発は雇用を拡大 

 シンクタンクの城南総合研究所が発表した第一弾のリポートに、名誉所長に就いた加藤寛慶応義塾大学名誉教授が寄稿した。「脱原発は新産業の幕開けをもたらし、景気や雇用の拡大になる」として、日本経済を活性化させる観点からも、原発ゼロを訴えている。 

 加藤氏は、電力9社による地域独占体制について「原子力ムラという巨大な利権団体をつくり、独占の弊害が明らか」と指摘。かつて自らが改革に取り組んだ旧国鉄を引き合いに「国鉄は独占を排除し、分割民営化により国民を向いた経営に転換した」と説明、独占にメスを入れるよう訴えた。 

 さらに「古い電力である原発を再稼働しても、決して日本経済は活性化しない」と指摘。太陽光や風力といった再生可能(自然)エネルギーなど発電方法が多様化し、節電や蓄電池の分野でも技術革新が急速に進んでいることを挙げ、「原発に依存したこれまでの巨大な電力会社体制も、近い将来は時代遅れになり、恐竜のように消滅するだろう」と予測した。 

 その上で「脱原発にかじを切れば経済の拡大要因になり、中小企業などものづくり企業の活躍の機会が増える。経団連は雇用が減ると言うが、むしろ脱原発は雇用拡大につながる」と、経済効果の大きさを強調している。 

 このほかリポートでは、原発のコスト構造を検証した。経済産業省のエネルギー白書によると、1キロワット時当たりの発電コストは原発が56円、火力が78円。しかし、これには原発のある地域に支払われる巨額の交付金は含まれていない。立命館大学の大島堅一教授の試算によると、原発が10.3円、火力が9.9円で、原発の方が割高になっている。 

 さらに、使用済み核燃料の保管や処理に掛かる費用もかさむことから、「原発のコストは恐ろしく高価で、将来、大幅な電気料金の値上げにつながる。原発を廃炉にすることが経済的にも正しい判断」と結論づけている。
 
 
 
 

福島の健康調査は「不十分」、問題がある と指摘

 26日、国連人権理事会の助言者アナンド・グローバー氏が都内で記者会見し、福島県民の健康調査について、対象範囲が不十分であり放射能汚染区域全体で実施すべきこと、健康診断・アンケートの内容が不足していること、検査結果の開示方法に問題があること、子どもの症状について別の医師の見解を聞いたり、検査を受けたりする権利が守られていないこと、などを指摘しました。 

 検査結果の開示が不十分であり、別の医師による再診断が福島県内では事実上受けられないことについては、当初から、そして繰り返し市民団体や人権団体から改善を要求されていました。 

 以下に二つの記事を紹介します。
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福島の健康調査「不十分」 国連人権理事会の助言者が指摘
朝日新聞 20121126

 東京電力福島第一原発事故の影響を調べるため、来日した国連人権理事会の助言者、アナンド・グローバー氏が26日、都内で記者会見した。福島県民への健康調査について「不十分」と指摘。さらに「除染のあり方などを決める場に住民が参加していないのは問題」と述べた。  

 インド人弁護士のグローバー氏は、福島県民らの「健康を享受する権利」が守られているか調べるため、政府や東電関係者、県民らから事情を聞いた。この結果は来年6月の国連人権理事会(前身・人権委員会)に報告され、日本政府に勧告すべきか議論される。 

 福島県などが行っている子どもの甲状腺検査や一般的な健康診断、アンケートについて「内容が不足している。チェルノブイリの教訓や、100ミリシーベルト以下でもがんなどの健康影響があるとする疫学研究を無視したものだ」と批判した。具体的な提案、改善策にはふれなかった。 

 また、甲状腺検査を受けた子どもの保護者が検査記録を入手するには、県の複雑な情報公開請求手続きが必要なことについても言及。「別の専門家の意見を聞いたり、検査を受けたりできる権利が守られていない」と懸念を示した。

 さらに、健康調査だけでなく、避難区域の解除や除染の枠組み決定のプロセスについて、グローバー氏は「住民が参加していない。健康に影響が及ぶ意思決定やモニタリングなど、すべての過程に住民が参加すべきだ」と指摘しました。(大岩ゆり)
 

原発事故、健康調査の拡大求める 国連報告者
東京新聞20121126 

 東京電力福島第1原発事故後の日本政府による健康対策などの調査のため来日している国連人権理事会の特別報告者アナンド・グローバー氏は26日、福島県が実施している健康管理調査について「対象が(福島)県民などに限られ範囲が狭い」と述べ、政府に対し、より広範囲での調査実施を求める考えを示した。東京都内で記者会見した。 

 グローバー氏は15日から来日し「健康を享受する権利」の保護を目的に宮城、福島両県の被災者や政府関係者らからヒアリングを実施。来年6月、人権理事会に最終報告書を提出する。

 健康調査の拡大について、具体的な範囲は明示しなかったが「放射能汚染区域全体での実施」を要請した。
 
 
 

2012年11月27日火曜日

平和憲法の危機 自民党の改憲案


27日付で毎日新聞が「自民の「国防軍」 名称変更の意図を疑う」と題する社説を載せました。読んでみると、「国防軍」という呼称に徹頭徹尾こだわったもので、あたかも自衛隊が現状の在り方を続けることを前提にして、それをどう呼ぶのかという議論であるかのようです。

自民党の改憲案は、果たしてその程度の底の浅いものなのでしょうか。
以下に彼らの改憲案について見てみます。 

自民党改憲案 第9条の第1項では、現行の憲法の条文とほぼ同じ文言にしてありますが、第2項では「前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない」とうたっています。
古来殆どの戦争は自衛のためを口実として行われて来たので、これではあらゆる戦争を行うことが可能になります。※1
※1  アメリカが行ってきたベトナム戦争、イラク戦争、アフガニスタン戦争でさえも、全て自由主義陣営の防衛・自衛を口実に行われました。
日本の新憲法制定のときにも「侵略戦争だけを禁止すれば良い」という主張がありましたが、当時の吉田首相が、「今日までの戦争の多くは自衛権の名によって始められた事実があり、自衛権による戦争と、侵略のための戦争の二つの交戦権に分けて論じること自体が有害無益である。」として退けて、今日の平和憲法が制定されたのでした。

そして自民党改憲案 第9条の4では軍の統制及び機密の保持を法律で定めとし、同5項ではその機密に関する罪その他を裁く国防軍  審判所を置くとしています。
つまり今問題になっている「秘密保全法」を厳しさの点で上回る機密保護法が制定されて、一般の人はドラマの世界でしか知らない軍事裁判所(軍法裁判所)が出現し、国民の知る権利が封じられ、機密事項に対する調査や議論自体も封じられ、違反すれば勿論重い刑罰が科されます。
    自民党の改憲案は、憲法9条に関してもこれだけの実体持っています。

自民党改憲案の問題点は他にも広い範囲に及びますが、特に強調したいのは現行の憲法では、個人の自由や幸福を求める国民の権利は、「公共の福祉に反しない限り」最大限に尊重されるとなっているのを、改憲案では「公益及び公の秩序に反しない」限りで認めるとする点です。
「公共の福祉」から「公益及び公の秩序」への言い変えは、決して看過することはできません。個人の自由と権利を最大限に認めようとすれば、当然他人の自由や権利との干渉が生じますが、その時にそれを調整するのが「公共の福祉」の概念で、それが憲法に明記されていれば、それを根拠にして個人が行政を訴えることも可能となるわけです。
ところがそれを「公益及び公の秩序」に変えてしまうと、最早「公共の福祉」の持つ原理性とはまったく無関係になって、国民の自由と権利は、法律や政令によって簡単に制限できることになってしまいます。
つまり国が国民をいか様にも統御できるという「戦前」の世界に戻るわけで、それこそが旧体制側が最も望んでいることなのです。

こうした自民党の改憲案の本質はもっともっと明らかにされる必要があります。
(自民党改憲案の詳細な検討については、531日付の「自民党の憲法改正草案は非常に反動的です※2」で行っていますので、ご参照下さい。
              ※2 http://yuzawaheiwa.blogspot.jp/2012/05/blog-post_4342.html  ) 

世論調査によれば、今回の選挙では改憲勢力が第1党を形成しそうな状況です。
加えてメディアがもてはやす「第3極」=「維新の会」も紛れもない改憲勢力なので、正に平和憲法の危機であるといえます。一部の有識者は「改憲は秒読みに入った」と警鐘を鳴らしています。

しかしながらマスメディアはそういう観点での論説は一切行っていません。そんな中で登場した毎日新聞の社説であったのですが、内容は前述のとおりで拍子抜けを通り越したものでした。 

 以下に毎日新聞の社説を紹介します。
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【社説】 自民の「国防軍」 名称変更の意図を疑う
毎日新聞 20121127 

 自民党の「国防軍」設置公約をめぐり、民主、自民両党が激しい応酬を繰り広げている。
 自民党は、衆院選の「政権公約」で憲法改正をうたい、「国防軍の設置を規定」と宣言している。
 同党は今年4月に決めた「憲法改正草案」で、戦力不保持・交戦権否認を定めた憲法第9条2項の表現を削除し、代わりに「国防軍を保持する」などの項目を設けた。自衛隊を国防軍と明記して位置付け直すのが狙いで、これを公約に盛り込んだということなのだろう。

 この公約について野田佳彦首相は「名前を変えて中身が変わるのか。大陸間弾道ミサイルを飛ばす組織にするのか。意味がわからない」と批判した。これに対し、自民党の安倍晋三総裁は「憲法9条を読めば、軍は持てないという印象を持つ。詭弁(きべん)を弄(ろう)するのはやめるべきだ」と反論した。民主、自民両党幹部からも同様の批判や反論が相次いでいる。

 自衛隊を国防軍と名称変更する積極的意義は、確かに不明だ。安倍氏は国防軍設置に合わせ、「そのための組織を作り」、武器使用基準など戦闘行動要領を定めた交戦規定(部隊行動基準)を整備すると語った。

 しかし、日本の防衛戦略である専守防衛を基本に、現在の交戦規定の一層の充実が必要だというなら、国防軍に名称変更しなくても対応できる。そして、国際社会では自衛隊はすでに軍隊と認識されている。

 1954年に設置された自衛隊は、侵略戦争の経験を踏まえてあえて「軍」の表現を避けて名付けられた。「軍」の復活はかつて日本が侵略したアジア諸国に、よけいな反発を呼び起こしかねない。

 名称変更には、その先に、他国並みの軍隊に衣替えしようという意図があるのかもしれない。日本は今、自衛権行使についても限定的に解釈している。もし、改憲による国防軍設置によって、専守防衛の原則を取り払い、自衛隊の攻撃能力を向上させることを目指しているとすれば、重大な戦略・政策の変更となる。

 こうした疑念が湧くのも、安倍氏が自民党「タカ派」の代表格と見られているからである。
 国防軍構想には他の党からも批判が出ている。自民党が選挙の支援を受け、衆院選後の連立相手に想定している公明党の山口那津男代表は「定着している自衛隊という名称を変える必要はない」と述べた。日本維新の会の橋下徹代表代行も「(自衛隊の)名前を変えるのは反対だ」と語った。

 かつて自民党は「自衛軍」を提唱したことがある。「軍」に執着があるようだ。今回の安倍氏らの正確な意図は不明だが、単純な名称変更なら、それこそ必要ない。
 
 
 

2012年11月26日月曜日

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