2012年12月14日金曜日

9条改憲にノーを 東京沖縄県人会 島袋さん他 +


 今回の総選挙で改憲勢力の大躍進が有力視されるなかで、なぜか大新聞は、平和憲法の危機について取り上げようとしません。
過去1年余りにわたって“反原発”に熱心に取り組んできた東京新聞は、公共新聞という限度の中で“改憲の危機”も取り上げています。 

14日の東京新聞に、“9条 この1票で <下>” 「不戦の誓いに価値 改憲『ノー』の声を」 と題する記事が載りました。
 そこには3人の方々が登場し、それぞれ「憲法9条は『武器を持ちません』という外国に対するメッセージだ」、選挙を通じて改憲が大きな論争にならないのは「現在の日本には軍事的な文化がなく、戦場で人を殺すことを想像できないから、改憲に強い反対もないのではないか」、「現憲法は民主主義の結晶。だから改憲はもっと慎重に話し合って欲しい」、「9条があったから自衛隊は海外で誰も殺さずにきた」、選挙後も「憲法改正までの手続きを踏ませずに」、「最後は国民投票でノーと言えるようにしなくては」などと語っています。 

 以下に紹介します。
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不戦の誓いに価値 改憲「ノー」の声を
東京新聞 20121214

 「あれだけ日本は戦争で犠牲を払い、二度と戦争しないという憲法九条ができた。国内向けというより『武器は持ちません』という外国に対するメッセージだ。改正は絶対反対」
 東京沖縄県人会事務局長の島袋徹さん(75)=東京都東久留米市=は、改憲論が政党を超えて広がる衆院選を、もどかしい思いで見つめている。北朝鮮が選挙期間中の十二日、ミサイルを発射し沖縄上空を通過。尖閣諸島問題をめぐる日中間の緊張の現場も沖縄だ。

 父親の一夫さんは沖縄県首里市(現那覇市)出身。名古屋大で学び、四十代半ばだった一九四一年に沖縄に戻り病院を開業したが、三年ちょっとで空襲で全焼。その後軍医として働き、沖縄戦で戦死した。
 疎開先の大分市内で食堂を開き、女手一つで徹さんら七人のきょうだいを育てた母親園子さんは、口癖のように「憲法は守るんだよ」「選挙は棄権しちゃだめ」と話していたという。
 米軍の新型輸送機オスプレイの普天間飛行場への配備では国会前で抗議活動をするなど、沖縄出身者らは東京でも怒りの声を上げ始めている。「改憲で日米の軍事同盟関係が強まれば、追随する形で日本が戦争に加担する恐れだってある」。その前線もまた、基地が集中する沖縄だ。


 衆院選を通じ大きな論争にならない改憲問題。その要因を、米国出身の映画監督で早稲田大教授のジャン・ユンカーマンさん(60)は「現在の日本には軍事的な文化がない。戦場で人を殺すことを想像できないから、強い反対もないのでは」とみる。
 六〇年代、ベトナム戦争に突き進む米国の姿勢に疑問を感じ、日本に留学。二〇〇五年にドキュメンタリー映画「日本国憲法」を製作した。世界の知識人に平和憲法の価値を聞いて回った。
 現在、世論調査では九条改定の賛否が拮抗する。米国の占領下で生まれた平和憲法。日本人にとって自らつかみ取ったとの意識は薄く、空気のように隣にあった。「改憲が議論なく進むのは怖い。憲法は民主主義の結晶で、社会の心臓。もっと慎重に話し合ってほしい」 

 学徒出陣の経験を持つ政治学者、石田雄(たけし)東大名誉教授(89)=東京都文京区=も「憲法九条が戦力の保持や交戦権を認めなかったから、自衛隊は海外で誰も殺していない」と、その価値をあらためて強調する。
 今回の選挙結果で改憲勢力が多数になったとしても、改憲を白紙委任したとは考えていない。石田さんが選挙後も希望をつなぐのは首相官邸前の脱原発や反貧困のデモ。「生活に根差した個人の運動で、選ばれた議員に『次の選挙は危ないぞ』と圧力をかけられる。かつてのように国会を物理的に占拠するのでなく、心理的に包囲するんです。憲法改正までの手順を踏ませず、最後は国民投票でノーと言えるようにしなくては」

(橋本誠、上條憲也、加藤文、栗田晃が担当しました)