2012年11月14日水曜日

放射能予測地図のミス 続報 +


 原子力規制庁の放射能予測地図のミスは、規制庁の前身の旧原子力安全・保安院が、原子力安全基盤機構(JNES)に作業を丸投げして起こりました。ところがそのJNESは、その作業をさらに関連会社のシー・エス・エー・ジャパンに、随意契約でほぼ丸投げしていたことが分かりました。
 放射能予測地図作成の作業は、実際には孫請けが行っていたわけで、官庁が如何にその外郭団体に依存しているかを示す好例です。
この件では、ミスが指摘されて再計算したのちにもさらにミスが起こっています。 

 先には福島の除染作業が1人1日当たり46,000円で予算が組まれながら、実際の作業員に渡るのは僅かに8,000円ということも報じられました。さらに複雑な段階を経由する中で、予算が消えて行っているからでしょう。 

その一方で、厚労省は、生活保護費を抑制するために、これまで実施して来た「生活保護受給者が働いて得た収入から仕事に伴う臨時経費分の特別控除」を廃止する検討を始めたということです。 政府はそうした姑息な弱者いじめに走るのではなくて、潤沢な予算を持つところの無駄な使い方をこそ是正するべきです。

 東京新聞の記事を紹介します。   

 (「被災地で使った復興予算額 復興相『分からない』 」 の記事を追加

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拡散予測図 孫請け業者が計算
東京新聞 20121114
 
 原子力規制委員会が先月公表した原発事故時の放射性物質の拡散予測図に相次いで誤りがあった問題で、規制委の前身、経済産業省の旧原子力安全・保安院が、原子力安全基盤機構(JNES)に作業を丸投げし、JNESはさらに孫請けのコンサルタント会社に随意契約で、ほぼ丸投げしていた。原発周辺の気象データは規制される側の電力会社頼み、予測も外部頼みでは、規制委の能力が疑われそうだ。 

 規制委事務局の原子力規制庁によると、孫請けの会社は、日本原子力研究開発機構の出身者が設立したシー・エス・エー・ジャパン(東京都港区)。民間信用調査機関によると、売上高の半分をJNESに依存している。
 旧保安院から指示を受けたJNESは今年四月、「作業の緊急性がある」などとして、シー社と九百七十六万円で随意契約。シー社の社員がJNESのコンピューター室に出向き、予測作業を行っていたという。

 今回の予測では、放射性物質が拡散する方位がずれていたり、風向きが正反対になっていたりする誤りが続出。規制委は総点検をJNESに指示した。
 電力会社によって気象データを記録する様式が異なるのに、様式を整えずに予測したのがミスの大きな原因の一つ。シー社へ丸投げしたことで意思疎通がうまくいかなかった可能性もある。

 田中俊一規制委委員長は外部頼みの姿勢を問題視し、「自らデータを検証できるような仕組みが必要だ」と規制庁に指示。同庁は今後、電力会社の気象データに頼らず、気象庁のデータを使った拡散予測のソフトウエアを独自に開発していく方針という。

 ただ、規制庁にプログラムを開発する能力はなく、また外部頼みになる可能性が高い。


被災地で使った復興予算額 復興相「分からない」
 東京新聞20121114

 平野達男復興相は十三日の衆院予算委員会で、東日本大震災の復興予算のうち、被災地で使われた金額や割合について「明確に整理したデータはない」と明らかにした。復興予算のずさんな扱いがまた鮮明になった。

 平野氏は二〇一一年度に計上された復興予算十五兆円のうち、執行されたのは全体の六割に当たる九兆円だったと説明。九兆円のうち、被災地で使われた額は「正確には分からない」と述べた。
 執行された予算が実際に現場の業者にどれぐらい回っているかと質問されたのに対しても、「聞き取り調査をしないと分からない。データを集めるのには時間がかかる」と答えた。

 復興予算が実際に被災地で使われた予算額については、現在、復興庁で集計中。
 もともと集計する計画はなかったが、復興予算が被災地の再生と無関係な事業に使われていることが明らかになったのを受けて、急きょ集計することになった。