2012年10月3日水曜日

福島健康調査でも「秘密会」という暗闇が・・・ +

 福島県の子供たちの甲状腺を中心とする健康管理調査では、その手法等でいろいろと問題があるうえに、8万人余りの第1回検査が終わった段階で既に重大な結果が現れています。
ところがその県民健康管理調査について議論する検討委員会を巡り、県が委員らを事前に集め秘密裏に「準備会」を開き、本会合でのやり取りを事前に打ち合わせていたことが分かりました。確認されている“がん”患者について、「“がん”の発生と原発事故に因果関係はない」を共通認識とすることも、その秘密会で決められたということです。

県民の健康障害を一刻も早く見つけ、重大事に至ることを防止するための機関において、政治的な意向から各委員の判断を統制して、医学的見解の自由な表明を妨げることなどは、あってはならないことです。現に、「チェルノブイリでは“がん”は4年後から発生したから」という理由付けの虚偽性は、多くの人々に指摘されているところであり、とても学問的に太刀打ちできるような見解ではありません。
またしても原発事故に伴う大きな闇が見つかりました。恐ろしい話です。 

 毎日新聞の記事を紹介します。
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福島健康調査:「秘密会」で見解すり合わせ
毎日新聞 20121003 
 東京電力福島第1原発事故を受けて福島県が実施中の県民健康管理調査について専門家が議論する検討委員会を巡り、県が委員らを事前に集め秘密裏に「準備会」を開いていたことが分かった。準備会では調査結果に対する見解をすり合わせ「がん発生と原発事故に因果関係はない」ことなどを共通認識とした上で、本会合の検討委でのやりとりを事前に打ち合わせていた。出席者には準備会の存在を外部に漏らさぬよう口止めもしていた。 

 県は、検討委での混乱を避け県民に不安を与えないためだったとしているが、毎日新聞の取材に不適切さを認め、今後開催しない方針を示した。
 検討委は昨年5月に設置。山下俊一・福島県立医大副学長を座長に、広島大などの放射線医学の専門家や県立医大の教授、国の担当者らオブザーバーも含め、現在は計19人で構成されている。県からの委託で県立医大が実施している健康管理調査について、専門的見地から助言する。これまで計8回あり、当初を除いて公開し、議事録も開示されている。 

【写真説明】 (写真は省略)
秘密会を終え、検討委員会の会場に向かう委員会メンバーら=福島市杉妻町で2012911日午後155分ごろ、武本光政撮影 

10/3 毎日新聞 最新版の記事により以下を追記)
県や委員らはこうした秘密会を「準備会」と呼ぶ。関係者によると、昨年7月24日の第3回検討委までは約1週間前に、その後は検討委当日の直前に開かれ、約2時間に及ぶことも。第3回検討委に伴う秘密会(昨年7月17日)は会場を直前に変更し、JR福島駅前のホテルで開催。県側は委員らに「他言なさらないように」と口止めしていた。配布した資料を回収し議事録も残さず、存在自体を隠していた。 

9月11日に福島市内の公共施設で開いた第8回検討委の直前にも県庁内で準備会を開いていた。同日は健康管理調査の一環である子供の甲状腺検査で甲状腺がん患者が初めて確認されたことを受け、委員らは「原発事故とがん発生の因果関係があるとは思われない」などの見解を確認。その上で、検討委で委員が事故との関係をあえて質問し、調査を担当した県立医大がそれに答えるという「シナリオ」も話し合った。
実際、検討委では委員の一人が因果関係を質問。県立医大教授が旧ソ連チェルノブイリ原発事故で甲状腺がんの患者が増加したのは事故から4年後以降だったことを踏まえ因果関係を否定、委員からも異論は出なかった 

毎日新聞の取材に、県保健福祉部の担当者は準備会の存在を認めた上で「あらかじめ意見を聞き本会合をスムーズに進めたかった。秘密会合と言われても否定できず、反省している。(今後は)開催しない」と述べた。
福島県の県民健康管理調査は全県民を対象に原発事故後の健康状態を調べる。30年にわたり継続する方針で、費用は国と東電が出資した基金で賄う。【日野行介、武本光政】 

◇「今後はやめる」
秘密会の日程調整などを取り仕切っていた福島県保健福祉部の担当者との主なやり取りは次の通り。
−−検討委の会合ごとに秘密の準備会を開いていなかったか。
……記憶にない。
−−昨年7月、秘密会の会場を急きょ変更し、口止めを図ったことはないか。
……覚えていない。
−−検討委の約1週間前に委員を呼び出したり、検討委と別に会場を設けたりしていなかったか。
……確認のため時間をください。
<約1時間中断>
−−確認できたか。
……指摘の通りの事実があった。毎回準備会を開催していた。
−−調査結果や進行についてあらかじめ話し合っていたのか。
……事前に調査結果を説明し、委員に理解してもらったうえで臨んでほしかった。事前に調査結果を配りたいが、それができない。
−−マスコミに漏れるからか?
……それもある。
−−なぜ隠していたのか。
……隠していたつもりはないが、積極的に知らせるのは避けた。ナーバスになっていた。
−−県民に不安を与えないように検討委を進めたかったのか。
……それはあった。秘密会合と言われても否定できず、反省している。こうした準備会は(今後)開催しない。