2012年10月3日水曜日

原子力規制委・規制庁から二つの発表が・・・


 2日、原子力規制委員会・規制庁からつの発表がありました。

つは田中規制委員長の記者会見に赤旗の記者の出席を認めるということで、これはあまりにも当然のことですが、いわゆるフリーランス記者についての言及はないので、そちらは大変に問題です。
政権からも業界や学会からも完全に独立している機関が、政党機関紙やフリーランスの記者を煙たがる理由が全く分かりません。形式的にはともかく精神的には、いまだに政権べったり、業界べったりの保安院体質のままだから、としか考えられません。 

それにしても田中委員長が当初、「赤旗の記者が会見に出席すると、政治からの独立が少し怪しくなるかなという感じがする」と述べたのには驚きます。それについては平川秀幸大阪大准教授がツイッターで、「(要旨)政治的独立性というのは、その審議過程に政治が不当に介入し、審議内容が歪曲される可能性を排することのはず。記者会見での質疑が審議過程に介入し影響するとは考えられない」と、ばっさり切り捨てました。
これほどまで明晰な語り方は難しいにしても、その論旨は小学生でも理解できることなのに、田中氏にとってはどうもそうでなかったらしくて、それではこの先が思いやられます。 

もう一つは、関電の副社長が原子力規制庁を訪問し、緊急事態対策監らとやりとりしたことを簡単にホームページで公表したことです。いわば取締対象組織の幹部が取締機関を訪問した(⇒ たとえは悪いですが、ヤクザの親分が警視庁を訪ねた?!)わけですから、そのことは公表すべきことであり評価できます。 

 以下に各紙の記事を紹介します。
 
   「記者クラブ」制度と「クロスオーナーシップ」(大新聞の経営者とテレビ局の経営者が共通)は日本特有のもので、外人記者からはずっと奇異な目で見られてきました。
「記者クラブ」は記者間で記事の読み合わせをするなどの内部統制を行っているので、結果的に大手各紙とテレビ各局の論調は全てが殆ど同じという状態になります。
それに官僚は「記者クラブ」を通して報道機関を統制しやすくなる結果、「司法記者クラブ」に見られるような官僚と報道機関の癒着も生まれます。
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赤旗記者の出席認める 原子力規制委員長の会見
産経新聞 2012.10.2 

 原子力規制委員会の事務局の原子力規制庁は2日、田中俊一委員長の記者会見への参加を、政党機関紙であることを理由に拒んでいた共産党機関紙「しんぶん赤旗」の記者の出席を一転して認めると発表した。
 規制庁の森本英香次長は2日の記者会見で「これまでの会見への参加実績を勘案して判断することにした。赤旗は従来、経済産業省原子力安全・保安院の会見などに参加していた」と説明した。
 田中委員長や他の委員から、見直すべきだとの指摘や指示があったという。

 森本次長は「規制委は(発足したばかりで)試行錯誤している段階だ。改善すべきことは改善したい」と述べた。
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「赤旗」記者の会見出席認めず 原子力規制委員長
産経新聞 2012.9.26

 原子力規制委員会の事務局の原子力規制庁が、26日に開いた規制委の田中俊一委員長の定例記者会見に、共産党機関紙「しんぶん赤旗」の記者の出席を認めなかったことが26日、分かった。
 田中氏の記者会見は毎週定例で開かれる予定だが、規制庁は「(会見の対象は)報道を事業とする団体や個人という趣旨から考えて、政党の機関紙は少し違うのではないか」として、今後も出席を認めない方針。

 田中氏はこの日の会見で「政治の力を表に出す手段の一つとして使われるのが政党機関紙。(赤旗の記者が会見に出席すると)政治からの独立が少し怪しくなるかなという感じがする」と述べた
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関電副社長の訪問公表=規制委、詳細は不明
時事通信 2012.10.2 

 原子力規制委員会は2日、関西電力の豊松秀己副社長らが原子力規制庁を訪問し、安井正也緊急事態対策監らが応対した際のやりとりをホームページで公表した。規制対象業者との面談公表は初めて。ただ、公表された要旨は10行程度で、情報公開が十分か議論を呼ぶ可能性もある。
 要旨によると、面談は9月25日午後1時5分から20分間。関電側から電気事業連合会の資料について説明があったほか、「今後(原発の)安全規制について意見が述べられる場を設定してほしい」との発言があった。規制庁側は「まだ規制委では、そうした点は議論されていない」と回答したという。