2012年8月22日水曜日

テニアン島を巡り二つの動きがありました



テニアン島はグアム島近くにある島で、沖縄から約2000キロ離れていますが、21日付でこの島に関連する二つの重要なニュース=動きがありました。 

 一つは、テニアン島で米軍海兵隊と共に上陸訓練を行うために、自衛隊員が沖縄から(強襲)揚陸艦に乗り込んだというニュースで、海兵隊の敵前上陸は相手国との戦闘を想定したもので、これに自衛隊が参加するのは勿論初めてのことです。5月の日米首脳会談で野田首相が約束した「動的防衛力」構想が、今後具体的に展開されて行くことの一環と思われます。 

 もう一つは、米軍普天間飛行場(海兵隊基地)を国外移設する場合に、テニアン市が基地を受け入れることを表明したというニュースです。テニアン市のラモン市長は、米軍の海兵隊基地を受け入れることで、周辺の生活のインフラが整備されるし、市民の雇用も期待できるためで、同時に沖縄の負担も減るからと説明しています。
 実はこの意向については2年半前にも宜野湾市の伊波市長(当時)が、普天間基地を視察に来た衆院の安保委員会に紹介したのですが、当時それを聞きつけた国内のいわゆる『安保で喰う人たち』が大反対(※)して、政権も米国に対して何の対応もとらないままに沙汰やみになったのでした。
(※)海兵隊は敵地に侵攻する部隊なので日本の防衛とは関係のない軍隊です。そのときも米軍が何も言わない中で、彼らが必死になって「地政学上沖縄に海兵隊が必要だから」という、意味不明な言辞をもって海兵隊を沖縄に存続させようとしたのでした。 

米軍の基準では、軍事飛行場隣接地に対して建物などが制限される「クリアゾーン」の規定があり、海外における米軍飛行場においても「クリアゾーン」の確保が義務づけられています。しかし普天間基地では、この「クリアゾーン」内に約3600人の沖縄県民が暮らしており、住宅約800戸、公共施設・保育所・病院が18カ所も存在しています。米軍自身が世界一危険な飛行場と呼ぶ所以です。米国の法律で許されない危険な基地が、日本ならば許されるという道理はどこにもありません。 

 そんな中オスプレイの安全性については、沖縄ではより厳しい見方が出ています。

操縦性の不安定さに加え、ヘリモードでエンジンが停止した場合、次の操作に移るまでに12秒が掛りその間に490mも落下する問題も明らかになりました。
さらに沖縄県は17日に、当初のオスプレイ配備に伴う米軍の環境審査報告書について、安全性や騒音、動植物への影響など、具体的には着陸地帯6カ所の騒音予測図の提出や普天間飛行場での夜間運用が増える理由、またオスプレイの下降気流が台風並みの風速約21メートルであっても「鳥類の巣やねぐらに被害を与えない」とした根拠などを詳細に尋ねる、44項目の質問状を防衛省に提出しました。 

 どの問題をとっても、曖昧な答えで済ませられるものでも、「日本がとやかく言える問題でない」などの逃げ口上で済ませられるものでもありません。
 今度こそテニアン市の提案に対して、真剣に向き合う必要があります。 

 以下に二つの記事を紹介します。
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テニアン島で日米が上陸訓練へ
NHK NEWSweb  2012821 

陸上自衛隊は、沖縄のアメリカ海兵隊と、離島が攻撃された場合を想定した上陸訓練を、西太平洋のテニアン島などで初めて行うことになり、現地に向かうため、21日、沖縄県の基地で、アメリカ海軍の艦艇に乗り込みました。
訓練には、陸上自衛隊で九州・沖縄を担当する西部方面隊のおよそ40人が参加します。
 隊員たちは、沖縄の海兵隊員と共に、21日昼ごろ、沖縄県うるま市のアメリカ軍基地「ホワイト・ビーチ」で、アメリカ海軍の強襲揚陸艦、「ボノム・リシャール」(4万500トン)と、揚陸艦「トーテュガ」(およそ1万6000トン)の2隻に乗り込みました。
 基地では、甲板に、車両やコンテナが積み込まれたり、強襲揚陸艦が、エアクッション揚陸艇を収容したりするなど出港の準備が行われていました。
2隻は数日後に出港し、陸上自衛隊の部隊は、およそ2000キロ離れた西太平洋のテニアン島やグアム島で、海兵隊と共同で、ボートやヘリコプターを使った上陸訓練を行うことにしています。
陸上自衛隊が、沖縄の海兵隊とテニアン島などで上陸訓練を行うのは初めてで、中国が活動を活発化させているアジア太平洋地域で、日米の連携を示そうというねらいもあるとみられます。

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普天間:テニアン市長が受け入れ表明
沖縄タイムス  2012821 

 【東京】米自治領・北マリアナ諸島テニアンのラモン・デラクルーズ市長は20日、東京都内で沖縄タイムスの取材に応じ、日米両政府が将来的に米軍普天間飛行場の日本国外移設を検討した場合、テニアンへの移設に応じる考えを表明した。日米両政府が在日米軍見直しで合意した同地域での米軍と自衛隊の共同訓練についても歓迎する姿勢を示している。(銘苅一哲)

 デラクルーズ氏は2009年の政権交代後、当時の鳩山政権が県外移設を検討する中で、10年2月にも「テニアンは移設先になりうる」との考えを示していた。
 両政府は名護市辺野古への移設案を維持しているが、12年4月の米軍再編見直しで在沖海兵隊9千人のグアム移転、米軍と自衛隊の共同訓練を前提としたテニアン・パガン両島への米軍施設整備で合意。デラクルーズ氏はこれらの動きを受け、沖縄の米軍基地視察のため来日した。 

 普天間受け入れの意向を示す理由について、島の3分の2を米政府が賃借していることに触れた上で「賃料は約100年前に支払われ、現在はゼロ。これまで米軍は土地をほとんど使ってなかったので市の収入にならず、基地建設をするか返還を米政府に求めていた」と説明。普天間代替建設による周辺の生活インフラ整備、雇用効果が期待できるとし「何より沖縄の負担も減る。ウィンウィンの案だ」との考えを説明した。

 また、太平洋戦争時、沖縄からの移住者が多く居住していたことにも触れ「今でも日本や沖縄の姓を持つ家族がいる。これまで遺骨収集に協力してきた。今後も連携したい」と述べ、南洋群島帰還者会が当時の捕虜収容所や学校跡地に記念碑を建てるため取り組んでいる調査に協力する考えも示した。
 (ウィンウィン=双方が満足できる ※事務局