2012年8月19日日曜日

米兵の自殺者が急増しています

 

 10年前には米兵の自殺者は年間約70人でしたが、イラク・アフガン戦争に突入してからは毎年増加して、2010年には年間約170人になりました。それが今年は7月末で187人に達し、年間の総数は300人を越える勢いです。
 アメリカは、イラク・アフガンの二つの戦争に延べ220万人の人員を投じましたが、その2割の人たちが現在心的外傷後ストレス障害(PTSD)に悩まされ、10万人が社会復帰出来ずいます。そして退役米兵の自殺者は年間6,500人にも達しているということです。 

国民から「二つの無駄な戦争(だった)」と呼ばれているイラク・アフガン戦争では延べ300兆円を超す国費を消費しました。そしていまや貧困大国に陥っているアメリカでは、経済難民となった若者にとって唯一の安定的職業が軍隊で、奨学金を借りて高校・大学を出ても就職難で返済が出来ないので兵役に就くしかないという実態があるということです。
そうして「敵地」に行けば、そこでは「正義」や「愛国心」とは無縁の、相手国民の殺戮行為を強制されます。子供でも武器を持っていれば殺せと命じられて、自らもそれを行い、他の兵隊たちが行った惨状にも遭遇することになります。
そうした状況の中で精神の平衡が保てなくなるのは当然のことで、現在、米兵の2割もが精神疾患をかかえて精神科の診療を受けているということです。そもそもPTSDはベトナム戦争のときに命名された症状で、あのときも正義とは無縁の侵略戦争として世界中から非難されました。 

 以下に東京新聞の記事を紹介します。
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米兵自殺者が過去最悪 7月38人、戦死者に迫る
東京新聞2012818 

【ワシントン 共同】 米陸軍は17日までに、7月の米兵自殺者が38人だったと発表した。月別自殺者の公表を始めた2009年以降では最悪。今年1~7月の総計は187人に達し、同時期のアフガニスタンでの米兵戦死者197人に迫った。年間自殺者も過去最悪を記録する可能性が高そうだ。
 イラクとアフガンで10年以上続いた戦闘が終息に向かう一方、米軍内部では心的外傷後ストレス障害(PTSD)や、社会生活への適応に苦しむ兵士の自殺が急増。パネッタ国防長官は自殺対策を最重要事項の一つと位置付け「あらゆる手を尽くす」と表明している。