2012年7月18日水曜日

外国のメデイアも日本の反核運動に注目しています


毎週金曜日に官邸前で行われている原発再稼働反対の抗議集会は、回を追うごとに参加者が増えて、6月末以降は主催者発表で毎回15万人前後を維持しています。この抗議集会についてNHKをはじめとして日本のマスメディアがまだ殆ど取り上げなかった629日(金)に、ニューヨークタイムズがいち早く同日夜の抗議集会を写真入りの比較的長文の記事で報じ、 無視を続けている日本のメディアと好対照をなす姿勢が注目されました。
 また、16日に行われた「7.16さよなら原発 10万人集会」には、主催者発表で17万人もの人が集まり、デモの最後尾が会場の代々木公園を出発するのが夕方近くになったということです。  


 この集会についても、ニューヨークタイムズは16日付で、「これまでで最大の規模の原発抗議集会」と題して、会場の様子とデモ行進の様子を写した2枚の写真を添えて、かなり詳細に報じました。

 また18日付のしんぶん赤旗によれば、イギリスのフィナンシャル・タイムズやドイツの公共第1テレビや第2テレビでも、この集会を大々的に報じたということです。
  以下に629日付のニューヨークタイムズと18日付けのしんぶん赤旗の記事を紹介します。
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東京で何万人もの人々が原発の再稼動に抗議
ニューヨークタイムズ 2012629 

反核スローガンを叫んだり、ドラムをたたいたりして数万人というデモ隊が金曜日、首相官邸前に集まった。原子力発電所を再稼動するという政府の決定に対し、これまでで最大の国民の怒りを示したことになる。

小さな子供連れの母親や仕事帰りのスーツ姿の男性を含む群衆は、「ノー・モア・フクシマ!」と唱え、それが警察によって封鎖された住居や国会議事堂近くの広い大通りを埋め尽くした。

参加者の推定人数は発表元によって大きく異なる。主催者によると15万人だが、警察は1万7千人と発表した。地元メディアは、2万人から4万5千人と推定し、1960年代以降、東京の中心部で行われた最大の抗議と報じた。

どんな規模の抗議行動も、長く政治的に無関心であった日本では稀である。しかし、内閣総理大臣野田佳彦が今月、西日本の大飯発電所の再開を命じたとき、多くの日本人の間で、安全性に関する国民の懸念を無視していると感じられ、不満が高まっている。

大飯原発は、関電の電力の三分の一を供給し、日本に50基ある原子炉のすべてを停止させることにつながった昨年の福島第一原発事故以来、再稼動予定の最初の原発だった。巨大地震と津波が重要な冷却システムを停止させた後、福島第一原発の3つの原子炉がメルトダウンした。

野田氏は、大飯原発の2基を再稼動させるように命じたのは、電力不足によって、うだるように暑い夏に停電が発生する可能性や企業が機能しなくなるのを回避するためだと述べた。しかし政治アナリストの多くは、世論調査で日本の三分の二が再稼動に反対したことが明らかになった後、政府はプラントが安全に再稼働することを説得できなかったとして、国民から反発が出ると警告した。

金曜日に抗議した者の多くは、野田が「密室で強力な官僚や業界幹部が決定を行う政治的な旧態依然状態に日本を戻そうとしている」ことに対して不満を述べた。再稼動の決定への怒りが、政治的覚醒の契機となって、初めて街頭に出て抗議することになったと説明する人もいた。

1歳の息子を抱いた29歳の主婦、梶山洋子さんは、「これまで、日本人は政府に反対することはなかったけれども、今、私たちは政府に反対しなければなりません。さもなければ、政府は私たちすべてを危険に晒すでしょう。」と語った。

「安全性を確保することなく、原発を再起動するのは狂っています。」と、もう1人の主婦でデモに参加するのは初めてと言う山崎なおみさんが述べた。「電力と仕事のために原発が必要なのはわかっていますが、政府が私たちを守ってくれるとは思えない。信用できない。」

主催者はそのような不信が3月下旬以来、毎週開催されている抗議者の規模の急速な拡大につながっていると述べた。抗議は数百の参加者で始まったが、野田氏の再起動決定後、数千人に増加したと主催者の1人、東京在住のイラストレーターであるレッドウォルフ・ミサオさんは述べた。

環境エネルギー政策研究所で東京に本拠を置くエネルギー政策グループのディレクターを務める飯田哲也さんは、抗議は福島第一原発事故後、公衆衛生を保護することに失敗し、再稼動を急いだ政府に対する幅広い不満を反映していると述べた。

「政府への怒りと信頼の喪失がある。」「これは不可逆的な変化であり、私はこのタイプの運動が継続することを期待しています。」と飯田氏は語った。

首相は、抗議に全く動じていない様子だ。野田氏が首相官邸を出て公邸に移動する途中、「大きい音だね。」と記者団に述べた。

騒々しいながら、金曜日の抗議者たちは、よく整理され、潔癖なほどに礼儀正しい日本人の傾向を示した。多くの場所で、彼らは歩行者のための明確な通路を維持し、歩道に沿ってきちんとしたラインに立った。抗議が午後8時に終了したとき、主催者は迅速にメガホンを使って参加者を分散させた。その後に残されたゴミはほとんどなかった。   (「カナダde日本語」ブログの訳による)


英独のメディア 日本の運動に注目 “原発反対 世界に影響”
しんぶん赤旗   2012718 

 【ロンドン=小玉純一】英紙フィナンシャル・タイムズ電子版は16日、最近、日本で広がる原発反対の運動について「本気の力を出し始めた」として、「世界第3の経済大国のエネルギー政策、したがって原発部門の世界的動向に対して、非常に大きな影響を与えうる」と論評しました。

 同紙は最近の一連のデモを「数十年間で日本最大の抗議行動が相次ぎ、それぞれ数万人が参加している」「首都で最大の反原発イベントとNHKが述べた」と報じました。

 同紙は「最近のデモが1960年代以来、政治問題を街頭に持ち込むことが少ない国での根本的変化を示していると、主催者や参加者がみなしている」と紹介。官邸前デモについては、「ソーシャルメディアによって組織された新しい活動家集団」や「左翼の労働組合組織・全労連」を含む「連携によって導かれている」と報じました。
 16日の原発反対デモをドイツ公共第1テレビ(ARD)と第2テレビ(ZDF)は20万人以上のさまざまな人たちが東京で原発再稼働に反対したと大きく伝えました。
 うちARDは「子どもや孫たちに汚染されていない日本を残したい」という参加者の声を紹介しました。