2012年7月23日月曜日

福島放射能災害による死者予測数は1300人・・・しかし共同通信は


19日、「がん死者130人と試算 福島原発事故で米研究者」と題する記事が共同通信のニュース面に載り、東京新聞、北海道新聞その他の地方新聞に一斉に転載されました。これは政府が主催した先の"原発依存度に関する意見公聴会"で、電力会社の幹部が行った「放射能で亡くなった人はこれまで一人もいないし、今後も発生しない」という発言の欺瞞性を明らかにするものでした。
ところが何と元の記事では、死者の予測数は130人ではなくその10倍の1300人であり、「福島原発から放出された放射能で最終的に1300人が亡くなり、死にいたらないまでもガンになる人々は2500人に上る」と記載されていたことが分かりました。
1300」の数字は元の記事のタイトルにもリード部分にも算用数字で書かれているので、誤訳などは考えられないことです。これまで通信社の記事は、新聞社の記事などとは違って客観性のあるものとして評価されてきました。もしも今回の記事が意識的に過少に誤訳したということであれば、 それこそ政府の隠蔽体質と軌を一にするもので、あってはならないことです。
以下に元の記事の正しい全訳と共同通信の誤訳?記事を紹介します。 

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日本の核災害による死者数は全世界で1300人に及ぶと研究者が試算
Health Day  web  2012718


1,300人の死亡者のうちのほとんどが放射能によるもので、それは
日本で起こるだろうと、スタンフォード大の科学者チームが予測 

去年の福島第一原発事故が、世界の人々の健康にどれほどの影響を与えるかアメリカの研究者チームが試算したところ、放射能によって、最終的に1,300人の人々が死に至り、死に至らないまでも、ガンになる人々の数は2,500人に上るということである。
放射能に起因する死亡者、ガンに罹る人のほとんどは日本でのことだろう、とスタンフォード大のチームは述べた。

彼らの試算は、かなり大雑把である。しかし、この見方は、損傷した原発から放出された放射能が、健康への重大な結果をもたらすことはないだろう、という、それより以前に出ていた主張に挑むものになる。
研究者チームのこの試算には、311日の地震、津波、そしてメルトダウンが起こった後、原発周辺地域から避難したことによって亡くなった、約600人の人々は加えられていない。

雑誌「エネルギーと環境科学」(the journal Energy and Environmental Science)の717日号の中で公表された研究結果は、この災害が世界中に、どのようにして健康的影響を与えるのかを、詳細に分析した初めての研究である。
この研究に当たっては、原発から放出された放射性物質がどのようにして遠くに運ばれるかを予測する地球規模の大気圏モデルが使われ、放射能の健康への影響を試算する、もうひとつのモデルが使われた。

「健康への影響は、圧倒的に日本で現われ、アジア本土や北アメリカでの影響は微小である。たとえば、アメリカ合衆国では、福島第一原発からの放射能に由来する死者数は0人から12人の間、ガンになる人の数は、0人から30人までの間である」と予測されていた。
「分かったことは、この災害が世界規模で広がるので、他の国々で起こる不安を、しっかり管理すべきである」と、この研究報告を書いたジョン・テン・ホェーベ氏(最近、博士課程を卒業した)は、スタンフォード大学新聞の中で述べた。

WHO(世界保健機構)は、福島災害と深い関係のある健康問題についてより多くの情報を持っている。
 Robert Preidt
スタンフォード大学新聞 2012717日号

(「カレイドスコープ」ブログの訳による)

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がん死者130人と試算 福島原発事故で米研究者
共同通信 2012719 21:55

 東京電力福島第1原発事故で放出された放射性物質により、今後50年以内に世界で130人ががんで死亡する可能性があるとする試算を米スタンフォード大のチームがまとめ、19日までに発表した。被害のほとんどが日本人という。
 チームは、大気の動きのシミュレーションと地表の汚染データなどからセシウムやヨウ素による被ばく線量を算出。米環境保護局(EPA)の計算式を基に、発がんの危険性を求めた。「事故の放射性物質による健康への悪影響はないとする意見もあるが、そうではないことが分かった。ただしチェルノブイリ事故より少ないだろう」としている。