2012年6月26日火曜日

「柏崎・刈羽原子力発電所の再稼働を認めない意見書」が採択されました


 6月の湯沢町議会で、議員発議の「柏崎・刈羽原子力発電所の再稼働を認めない意見書」(注1)が採択されました。すでに3月議会で柏刈原発の再稼働に反対する議決はなされていたのですが、同主旨の意見書を、あらためて町議会議長名で政府の各機関と県知事に送付することになりました。

原発再稼働の問題では、上村・湯沢町町長も議員からの一般質問に答えて、「福島原発事故のきちんとした検証と原因究明もなされないまま、再稼働だけが議論されていることに対し、私は柏崎・刈羽原発も含めて再嫁働には賛同できない。また原発に依存しない脱原発社会を目指して、段階的に再生可能エネルギー政策を実現すべきであると思っている」、と述べたということです。

また新潟県の泉田知事も、昨年11月に国当局に「被曝限度は、内部被曝と外部被曝の合計で論じるべきではないか」という質問書を出した(注2)のを皮切りに、国のガレキ処分の方針に対しても、大飯原発再稼働に対しても厳しい批判(注3、4)をし、その論旨の正当性は元原子力安全委員など識者からも高く評価されています。

意見書の送付を機に、これら町議会・町長・知事が反原発のトライアングルを組むことになるわけで、これによって柏崎・刈羽原発の再稼働に対する反対世論がますます高まることが期待されます。

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(注1) 湯沢町議会で採択された意見書 

柏崎・刈羽原子力発電所の再稼働を認めない意見書

 平成23年3月11日発生した大地震により、福島県をはじめ東北地方を中心に10メートルを越える大津波が襲来しました。これは東日本大震災と命名され、福島第1原子力発電所の事故となり、未曽有の大惨事として世界中が驚愕しました。日本の国難と言われ、国を挙げて対応しましたが、被災地は元より近隣の県、市町村も対策に苦慮している現状です。

 新潟県も柏崎・刈羽に発電機7基の原子力発電所を有し(平成24年3月26日に6号機が定期検査のため停止)、全国54基ある中で全国一の規模となっています。また、新潟県は全国有数の長い海岸線を有し、更に地震王国と言われる日本の中で、この発電所が地震の破砕帯の上に建つとも言われ、危険この上ないと注目されている原発です。

 万一の危険地帯を示す圏内として、湯沢町は50キロメートル圏内から外れているとはいえ、冬期間の風は間違いなく湯沢方面に吹いてきます。

2000メートル級の山が壁となり、雪と一緒に放射性物質が降れば、スキーと温泉が基幹産業の湯沢町が受ける損害は量りしれません。さらに、雪解け水が下流に流れれば、米どころ新潟県の受ける損失は農業県として成り立たなくなる位甚大で、大問題です。

 以上の問題が予測され、湯沢町のため、そして新潟県のためにも柏崎・刈羽原子力発電所の再稼働を容認することはできません。湯沢町の安心、安全を守るため強く要望します。

以上地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

平成24年6月13

新潟県湯沢町議会議長  田 村 正 幸

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(注2) 2011.11.2付「新たな食品中の放射性物質の規制値について国に要望します」で、泉田知事は、国が食品による被曝限度を1ミリシーベルトとしたことに対して、いち早く「1ミリシーベルトは外部被ばくと内部被ばくの合計の限度」の筈なのでおかしいという指摘をして、元原子力安全委員の武田邦彦氏等の識者から高く評価されました。

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(注3) 東日本大震災の被災地のガレキの広域処理問題で、細野豪志環境相が「(被災地以外の地域が)受け入れられない理屈は通らない」などと述べていることに対し、泉田裕彦知事は19日、『どこに市町村ごとに核廃棄物場を持っている国があるのか』と批判し、『国が環境整備をしないといけない。国際原子力機関(IAEA)の基本原則で言えば、放射性物質は集中管理をするべきだ』と訴えました。

これも識者から極めて正しいと評価され、あるブログは「正し過ぎる」と激賞しています。

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(注4) 6.10原子力発電に関する野田総理の発言に係るコメント(全文) 

泉田裕彦新潟県知事20120610

 本日、野田総理が、大飯原子力発電所について「安全性を確認した」と表明しました。

 現在、福島原発事故はいまだ収束しておらず、事故の検証も進行中であり、換言すれば、意思決定過程や組織のあり方なども含めた事故原因の特定も行われていません。

事故原因が特定されなければ、対策を講じることができないことは自明の理であり、専門家である原子力安全委員会も班目委員長が安全を確認していないことを明言しています。

 このような状況下で専門家でもない総理が安全性を確認できるはずもありません。

 実際、「福島を襲ったような地震や津波が起きても事故を起こさない。」と限定付きでの「安全宣言」であり、福島を襲ったものとは異なる直下型の地震等の場合は再び「想定外」という言い訳が通る説明になっています。

 「電源が失われるような事態が起きても炉心損傷に至らないことが確認されている。」との発言についても、現実には、「電源が失われなくても、炉心冷却に失敗すれば、大惨事になる」ということが福島の教訓であることを無視した説明です。

 さらに、政府の安全性の基準は暫定的なものであるとまで説明し、責任回避が可能な内容となっています。

 この他にも指摘しなければならない事項が含まれていますが、新たな安全規制機関も未設置であり、万が一の事態が生じた場合の対策も固まっていない中で、「安全を確認した」と表明することは、新たな「安全神話」を創造することとなり、極めて無責任であります。

 米国NRCでは、爆発や火災によってプラントの重要な部分が失われるようなシビアアクシデントに備えて対応(B.5.b[※])を準備しています。

 国民生活を人質にして、安全を軽視した宣言となっていることは極めて遺憾であります。

※ 米政府の原子力規制委員会(NRC)が9.11テロの翌年に米国内の原発に対し策定命令を出した「原子力施設に対する攻撃の可能性に備えた特別対策」