2012年5月26日土曜日

衆院憲法審査会で各章の検証作業を開始しました


 衆院憲法審査会は5月24日、現行憲法を各章ごとに検証する作業を開始しました。審査会は原則として毎週開かれ、憲法の全11章と前文を、日本の実情に照らして審査することになっています。

この日は「第1章 天皇」(※)についてで、7党の代表者が意見を表明しました。
      ※第1条~8条 : 天皇の地位や皇位継承、国事行為などを定めている
 
 この作業は加憲(憲法の理念は変えずに付け加える余地がある)を主張する公明党が発案し、護憲を掲げて審査会の議論そのものに反対していた共産党と社民党は、改正を前提としないことを条件に審議入りに同意しました。 

 
 ところが会議の中で自民党は同党の改憲草案を配布し、「天皇を元首に」「明文改憲が必要」などと述べたので、「憲法審査会の役割は各党の改憲案を提案して議論することではなく、現行憲法をめぐる状況を、日本の社会のありように照らして検討することだ」(民主党の辻恵議員)など、民主・公明・共産などの各党の議員から批判が相次ぎました。

 
会長の大畠章宏元経済産業相は、作業の開始に先立って「改憲を前提としていない」と説明しました。憲法の条文と精神が国の中で活かされているかを検証することはとても大切ですが、その一方で憲法審査会が改憲の主張の場として利用されることには、十分に警戒しなければなりません。

「第一章 天皇」についての各党の見解は次のとおりです。
(毎日新聞のまとめによる)
【民 主】 女性天皇を認めるなど皇位継承順位が変わる場合は国民投票が必要
▽首相公選制で天皇の任命手続きがどうなるのか議論がない

【自 民】 天皇を元首と明記、国旗・国家規定を新設▽皇位継承は変更の必要なし▽(憲法上明文のない)公的行為を銘記すべきだ

【公 明】 改正を必要とする条文はない▽現在も元首と同様な扱いで改正の必要なし▽女性天皇は認める方向だが皇室典範の議論だ

【共 産】 前文を含め全条項を守るべきだ▽公的行為の明記に反対▽世襲天皇は人間の平等の原則に合わず将来は民主共和制を目指す

【きづな】 元首が天皇であるとの意識は国民にあり明文化の必要はない

【社 民】 元首の明記に反対▽女性天皇は皇室典範の改正で実現を▽公的行為の明記は政教分離の観点から重大な問題

【みんな】 首相公選制導入のため天皇を元首と明記▽国旗・国家を規定

           (国民新党 : 欠席、たちあがれ日本 : 自民とほぼ同じ)