2014年8月6日水曜日

メディアに人を自殺させる権利はない

 小保方晴子氏のSTAP細胞研究に関する論文の指導役(最終段階のみ)を務めた理研の笹井芳樹副センター長(52)が、5日、職場で自殺しました。本当にいたましいことです。

 笹井氏は傷ついた臓器や組織を治療する再生医療研究の第一人者で、36歳の若さで京都大学の教授(医学部最年少)になった人でした。

  この事件について、武田邦彦氏は「メディアによる殺人」であるとして、5日のブログでNHKと毎日新聞の報道態度を厳しく批判しました。
 毎日新聞のある記者(女性)は異様な執念を持って小保方氏をバッシングする記事を書き続けたそうですが、本来であれば政権を倒す力さえも持っているといわれる新聞が、私人である個人バッシングをする・・・ましてそれを連載ことが許される筈もありません。
 
 武田氏は7月25日にも、小保方氏に対して行ったNHK取材班の蛮行=逃げる小保方さんをオートバイで追いかけまわし、ホテルに逃げ込んだ彼女をエレベーターで両脇をカメラマンがはさんで動けないようにし、さらにトイレに駆け込んだところ一緒にトイレに入って、個室に隠れた小保方さんの前で外部と携帯電話で連絡を取り、監禁状態にした=を厳しく批判するブログを発表しています。
 
 同氏は、STAP細胞問題についてのメディアや学者たちの反応の「特異さ」に早くから注目していた人で、「STAP事件簿01~18」(4月6日開始)をブログで発表するなどしています。独特な視点で構成されていて、小保方氏たちを批判する側を批判するという説得力のあるブログです。
 
 参考までに「TAP事件簿」の全タイトルを降順で示します。
 この他にもいくつか発表していますが、先ずは0あたりをご一読ください。
 
 
 理研理事長の哀悼の言葉と、武田氏の5日と7月25日のブログを紹介します。音声ブログの方がより詳細な説明になっています。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
笹井芳樹 発生・再生科学総合研究センター副センター長の訃報に接して
 
 この度 笹井芳樹 発生・再生科学総合研究センター副センター長の訃報に接し 驚愕しております 衷心よりお悔やみを申し上げます
 世界の科学界にとって かけがえのない科学者を失ったことは 痛惜の念に堪えません
 長年にわたる先導的ご研究に敬意を表し 謹んで哀悼の念をこめ ご冥福を心からお祈り申し上げます。
2014年8月5日  
理研・理事長 野依 良治
 
 
また起こったメディア殺人・笹井さんの自殺と浅田農園の老夫婦の自殺
 武田邦彦 2014年8月5日
2004年、日本でほぼ初めての大規模な鳥インフルエンザを起こした浅田農園の老夫婦が首を吊って自殺した。直前に記者会見で散々、痛めつけられ、メディアは「とんでもない農園」とバッシングを続けた。
 
「家禽」を取り締まる法律がある。家禽の管理が悪くて病気などを起こした場合、その責任で罰せられるが、それは最大で100万円の罰金である。しかし、NHKを中心として毎日のように鳥インフルエンザの怖さを報道し(実際には感染の可能性は低く、現実にも患者は出なかった)、私も記憶にあるが、NHKの特集で鳥インフルエンザの感染トリがでた府県を真っ赤に塗った地図を出して、男性と女性のアナウンサーが今にも恐怖が訪れるばかりに声を張り上げていた。
 
鳥インフルエンザで死んだ人はいないばかりか、患者さんも一人もでなかったのにメディアのバッシングで2名の自殺者を出した。これが殺人でなくてなんであろうか!
 
今回、ある新しい細胞が見つかったと思って論文を学術誌に載せた。それが結果的にどうだったかは別にして、研究者を追い詰め、追い詰め、最終的に自殺するまで追い込んだ。特にNHKは自ら1月末のSTAP細胞の記者会見を大々的に報じ、ネットで論文の疑義が出ると、今度は一転して攻撃側に回り、2014年7月30日にはまるで笹井さん、小保方さんが犯人のように仕立て上げた番組(クローズアップ現代⇒正しくは27日の「NHK報道特集」=事務局)を放映、その取材過程で小保方さんを追い回して全治2週間の傷を負わせ、女性トイレに閉じ込めるという暴力団まがいのことをした。
 
番組では(故)笹井さんを「研究もできないのに文章だけがうまい」という放送を流した。笹井さんには取材はしたが、およそ放送法で定めている「意見が異なるときには中立的に」という法律も破った。まさに「アウトローNHK」である。
 
「死ぬまで追い詰める日本社会のリンチ」そのものである。たとえ、浅田農園の老夫婦が若干の手抜かりがあり、笹井さんが何かを間違ったにしても、日本は法治国家だ。必ずだれもが「弁明の機会」を十分に与えられることが前提である。
 
STAP事件ではこのブログでも再三、指摘したように毎日新聞も「弁明の機会なきバッシング」を続けた。日本のメディア史上、松本サリン事件、狂牛病報道、鳥インフルエンザ報道など多くの犠牲者を出し、そのたびに「バランスを失ったバッシング」、「記者が居丈高に小さなミスをした人を責めたてる」ということが続いている。
 
私たちは、リンチを加えて死においつめるNHKなど絶対にいらない。万が一、浅田農園の老夫婦や理研の笹井さんが悪いことをしていたとしても、裁判でもないのに人を死に追いやる権利はNHKにはない
 
肉体的に殴ったりしてイジメて自殺に追い込むのと、精神的にバッシングして自殺させるのは同じ罪だ。NHKはまず番組の責任者を懲戒解雇し、NHKの放送を通じて6か月にわたって「NHK(自分)の報道」をバッシングし、NHKの番組を作った人を追い回して女子トイレに追い詰める必要がある。
 
毎日新聞も学説が対立している時に、バッシング記事を続けて死に追いやったのだから、もちろん暴力行為である。
 
 
NHK:「公序良俗」に反する組織は存在できないし、協力してはいけない
武田邦彦 2014年7月25日
いうまでもなく私たちの日本社会で守らなければならないもっとも重要なことは「公序良俗」に反しないことだ。やや抽象的ではあるが、これが社会の基本である。道端で弱っている人がいれば手を差し伸べる、泥が入ったのを見たらそのラーメンをそのまま人が食べるのを見ていてはいけない、人に声をかけたり何かを聞いたりしたとき相手が嫌がったら「失礼しました」と引き下がる・・・など、どの法律に触れるという前に私たちが守らなければならない社会の基本的規範だ。
 
法律を出すまでもないが、(民法第90条公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。)とか(放送法第四条  一  公安及び善良な風俗を害しないこと(放送内容))などがある。
 
2014年7月、NHKはSTAP事件の報道をするにあたって、取材班が小保方さんを急襲した。まずオートバイが逃げる小保方さんを追いかけまわし、ホテルに逃げ込んだ彼女をエレベーターで両脇をカメラマンがはさんで動けないようにし、さらにトイレに駆け込んだら一緒にトイレに入って個室に隠れた小保方さんの前で外部と携帯電話で連絡を取り、監禁状態にした。小保方さんは負傷し全治2週間だった。
 
NHKは抗議を受けて深夜の午前0時に謝罪に訪れた。NHKはパパラッチになった。私たちはパパラッチに受信料など払う必要はないし、もし払ったら「犯罪集団にお金を払う」ということで公序良俗に反する。
 
小保方さんは犯罪人ではない。理研という組織の一従業員であり、一般人だ。これほどのことは政治家でも芸能人でも許されないことだ。謝罪して済む問題ではない。報道局長の辞任は当然だが、予定されている番組は中止、さらにNHKはもし十分な説明ができなければこの際、解散するしかない
こんな組織が何を放送しても私は全く見る気もないし、まして「お金を払う」ことは絶対にできない。これは小保方さんの研究に不備があるかどうかなどとまったく無関係だ。毎日新聞の個人攻撃と言い、NHKのパパラッチ行為といい、日本社会はどうしてしまったのだ!!